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邪武器の娘  作者: ツインシザー
魔族領
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学校生活6

 魔物の出る森は街から少し離れたところにある。

 ゴブリンもその森を拠点として住んでおり、気を付けて探せばそこそこ出会うことができる。


「ひだりちょっとさき・・・2体。ゴブリンです」

 ポステリアの指示のとおり、左に2体のゴブリンがいた。

 ゆっくり囲み、1体はシアが、もう1体をみんなで殴りかかる。


「ギギャアーッ!」

 ボコスカボコスカ


 数は暴力である。

 9人もの敵に囲まれたらゴブリンもただのサンドバッグでしかない。


 ゴブリンが動かなくなったのを確認し、声をかける。

「ん。終わった。これで5体目」

「は、はい。ふぅ・・・これくらいなら何とかなりそうです」

 少しは自信がついてきたのだろう。初めは武器を持つ手もふるえ、オドオドしていた男子生徒がそう言う。

「なら、次は2体を相手にする。ポステ、3体までの、みつけて」

 できるかぎり彼らにも経験を稼いでほしいので、シア一人でさっくり終わらせるようなことはしない。

「それにしても・・・シアさんはすごいですね。ぼくらの年じゃ、スキル2個持っていればじゅうぶんすごいのに」


 シアは風刃と風突しか使っていない。熟練度かせぎにオレの風突をはさんでいるので勘違いしたのだろう。

「別に・・・」

 照れておる。


 同年代とこうして行動するのはいいことだ。いろいろ思いがけなかった経験ができる。

 というか、シアは子供時代が短かったように思う。

 だからこうして同年代の子と、もっと仲良くしてほしいと、親目線で思う。


「いたです。前のほうにゴブリン3体・・・でも、なにかちがうです。そうびが、おもそうな?」

 ゴブリン戦士か。

 ゴブリン族でも武器スキルを使ってくるやつだ。最初に撃ち漏らすと負傷者が出るかもしれない。

「ん。重そうなのは、私がやる」

 シアはみんなに指示を出し、ゴブリン達をゆっくりと囲む。たしかに一体だけ装備が他と違う。あれは鉄製か?。防御力が高そうだ。


 シア、オレの風刃も使え。合図で撃つからな

「ん。」


 シアが周りとアイコンタクトを交わし、隠れていた草場から走り出す。

「しっ!」

 シアの風刃。

 とっさに武器を構えようとしたゴブリン戦士の左腕に当たり、そのまま切断し胴体へ風の刃が届く。シアは速度を緩めないまま風突を放つ。

 胴に。

 完全に入った。しかしもう一発、今度はオレの風突を頭に向けて放つ。


 ――瞬殺。

 3連続の攻撃はゴブリン戦士を無残な死体に変えた。

 シアは死んだことだけ確認し、残った2体のゴブリンを確認する。

 うん。そちらも問題ないようだ。


 一体づつを5人と4人で囲んでボコボコにしている。時折反撃しようとゴブリンが腕を振り回すが、生徒の持つ武器に阻まれてダメージにならない。

 これで8体。

 初めての助っ人は危うげなく終わりそうだ。



 終わってみれば余裕があった。

 ポステリアの耳は余計な魔物との戦闘を減らし、戦いやすいゴブリンを選別できた。ポステリアさまさまである。

 彼女のおかげで大分安全にみんなを戦闘に参加させられた。


 それにゴブリン戦士との戦闘だ。鉄製の鎧であっても《風刃》の攻撃が通ることがわかった。

 今後の引率にも使える情報だ。

 ゴブリンは討伐対象である。学園の事務で報告すれば少ないが報奨金が出る。それをみんなと分け合い、解散となった。



「報酬・・・」

 初報酬か。前にダンジョン行ったときは冒険者カードなかったしね。おめでとう!これでシアもいっぱしの冒険者だ!

「ん。・・・ありがとう」

 シアが嬉しそうに笑う。


 今日はいいことが多かった。

 シアがみんなから頼りにされていた。パパとしては鼻が高い。そして――、気付いてないとは思わないが、あの男子生徒、彼は人間だった。人族。シアが憎んでいた存在。

 けれど仲間として、普通に話し、戦っていた。

 これは大きな一歩だったろう。

 良かったと思う。

 良かった。

 少しずつでいいから、そうやって成長していってくれればいい、と。


「君がシアさんだね」


 少し甲高い、女の子みたいな声がシアを呼んだ。

「?」

 振り返ると校舎の階段から降りてくる一人の男の子がいた。


 初対面・・・いや、会ったことがあるな。

 確かブヒ蔵の配下だ。そうだ、配下選びの催しの時にブヒ蔵の配下になった一人だ。


「ボクも初等部一年なんだけど、討伐テストの手助けをお願いしていいかな?」

「・・・・・・配下、でしょ?」

 そうだな。

 確かにブヒ蔵の配下だよな。ブヒ蔵は確か自分の配下には討伐テストの手助けをするって言ってたはずだが・・・。

 もしかして契約を解除されたのだろうか。


「ん?、あぁ、そうだね。でも主様は謹慎中で僕らの手助けができなさそうなんだ。だから、手伝ってくれる人を探してるんだけど。・・・君の話を聞いて、どうしても頼みたくなっちゃってね。お願いできないかな」

「・・・・・・」


 言ってることは正しい気もするが、どうなんだろう。

 ブヒ蔵の配下のお願いをわざわざ聞いてやるのもなぁ。というか、なんでシアに頼むのかね。

 100人・・・は、解除されたのでいないとしても、大量にいるっていうブヒ蔵の配下に頼めばいいだろうに。


 オレとしては受けなくてもいいと思うぞ。

 でもブヒ蔵の配下とつながりができるってのもありっちゃありかもしれん。今はライバルでも、いつかは肩を並べて戦う戦友になるかもしれないしな。

 シアの判断にまかせるよ。


「ん。・・・・・・あなたからは、あの時の兵士の匂いがする」

「兵士?、ふうん」

「だから、やらない」

 シアは断った。


 兵士か。オレにはわからない、シアの感覚に触れるなにかがあったのだろう。

「そうなんだ。わかったよ。ゴメン、時間をとらせちゃって。ボクはボクでがんばるから、気にしないでね」

「・・・ん。」


 男の子は、それじゃまたね、と言いおいて去って行った。

 何だろう。何やら思惑がありそうだったが。

 考えてもしかたない。帰るか。

「ん。」


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