館にて7
熟練度うんぬんはくわしく聞いていなかったな。
人間が50までだっけ?。
「一般の”人間”が50までですわね。一般の”魔族”が100です。これは絶対ではありません。魔物が魔族に昇位してもスキル獲得数上限しか上がらない。でも魔族が<位>を得て<位>持ち魔族になるとスキル上限数と熟練度上限が上がるのですわ」
<位>てなんだ?
「私で言えば<男爵位>がそれですわね。あとは<魔王>なんかの称号もそうですね」
魔王がいるんか。人類ほろぼしそうだな。
「今はいませんわ。いると迷惑ですし、いない方がいいですわね」
魔王・・・かわいそうなこっ
<勇者>の称号もありそうだな
「<勇者>は<魔王>を倒した者に与えられる称号らしいわ」
勇者が魔王を倒すのではなく、倒した者が勇ましき者<勇者>ってことか。倒したパーティーメンバー全員がもらえるのか、それともとどめを刺した者だけがもらえるのか・・・不明だ。
<位>を得て上限が上がるといいことがある?。
「人間を例にしますけれど、上限が50のままだと得意属性でも上級の魔術に到達しませんわね。初級の練度30以上で中級を覚えられる。中級の練度60以上で上級を覚えられる。だから50のままだと届きませんのよ」
得意属性ではないともっと上限が低い?
「必要な練度が倍ですわね。今のシアは得意でない属性は人間の得意属性と同じまでしか使えないですわ」
中級までってことか。ひとまずは十分だと思うが。
「まぁそうですわね、上級魔術なんてその道を目指す魔族が10年20年かけて覚えるものですからね。中級が使えれば十分ですかしら」
10年20年ってわりと覚えられそうだな・・・。
「人間の10年とは違いますから、まぁ覚えられるといえばそうですわね。軍の階級職の魔族なら、武器スキル使いでも上級魔術を覚えている魔族は多いですわね」
魔族は寿命が長いのか。
「人間が短いのですわ」
人間・・・かわいそうなこ
「ひとまず”無”属性を覚えるってことでいいかしら?」
お嬢様は自分のベッドに横になり、大きめのスライムクッションを抱きしめてゴロゴロしながら聞いてきた。
”無”と”闇”と・・・”風”でいいんじゃないか?
無も闇もオレとシアの得意属性だ。どっちが何をどう覚えても無駄にはならないだろう。・・・オレが覚えられるかは置いておいて。
風はお嬢様の支援用だ。
使いやすそうな4属性がどれも同じなのであれば、パーティーを強化できるやつでいいと思う。
「ん。」
「そんなにどれもこれもと選んでも、育たないと思いますわよ・・・」
まぁまぁ。やってみてダメそうなら減らしていくさ。
しかしそうなると各属性専用の教師が必要なのではないかと思うのですが。お嬢様、お給金で足りますかね。
ちなみにお給金は一人分しかもらえていない。お嬢様からの給金ではなく、お嬢様を世話している、ということでタウロン家からの給金だ。
オレの分?置物なので。(自虐)
「うぐっ、お金もそうですが、そもそも魔術師の伝手がないのですわ・・・」
お嬢様のポケットマネーにもそろそろ陰りが見えてきたようだ。
10歳に集る配下というのもどうかと思うので、オレとシアも資金調達を考えねばならない。
手っ取り早く冒険者かな。
教師役の冒険者を雇うとかできないかね。
「できますわよ。冒険者といっても冒険者資格が必要なものばかりでなく、街の雑事を手伝う仕事もありますから・・・そうだ」
ポン、と手をたたいた。
「いっそのこと学校にお行きなさいな」
学校。
前世は人生の半分くらい学校に行っていた記憶があるのですが・・・。
「高い技術は学べないですけど、幅広く学ぶにはいい場所ですわよ。いろいろなスキルを持った教師もいますし、やっぱり別の魔法を、となった時でも雇いなおさなくていいですから懐にも優しいですわっ」
確かにそうか。高い給金で専用の魔術師を雇ってダメでした、ではもったいない。何がしたいか、どのスキルを取ればいいか模索している状態なら、それらをまとめて教えてくれる場所というのは非常にありがたい。
「がっこう・・・」
シアに友達できるかなー?
「人間は・・・?」
・・・まぁ、いるんじゃないかな。
このあたりは魔族ばかりって土地でもないし。むしろスキル数に制限のない人間のいる学校の方が、スキルをいっぱい取るための効率のいい取得順とか知ってそうだけど。
「うぅ・・・」
シアも1/3は人間なのだからがんばれ。そこを嫌っても伸び悩むだけだとパパは思うぞ。
人間の良いところは人間から学ぶのが一番手っ取り早い。魔族も人間もごった煮の環境。人間と魔族を持つシアにとって理想の環境じゃないかな。
「うう。・・・お嬢様、は?」
いっしょに来ないのか、という質問だ。知り合いの魔族がいると心強いのだろう。
「教わることが無いのですわ・・・。欲しいスキルはもうだいたい決めてありますし、専門の教師を雇ったほうがいいんですの」
「うー・・・」
オレがいっしょに行くさ。
学生生活ならまかせとけ。これでも経験者だ、プロ学生というのを教えてやる。
「・・・ん。」
きっと、得るものは多いだろう。オレはそう、期待する




