家族2
シアは座っていた。
座ってぼーっとしていた。
いつの間にか近くに火がたかれていた。コモンな奴のおかげだ。コモンはあんな状況で荷物を持って逃げてきたらしい。
投げ捨てられていたオレをコモンが拾って近くの岩に立てかけてくれた。
いいやつだな、コモン。
コモンはシアの向かいに座る。
そしてシアに話しかける。
シアも言葉は少ないが返事をしている。
オレにはわからない言葉。
おそらく、あの集落にいた他のリザードマンはみんな死んだだろう。たった二人。
かわす言葉も重いだろう。
それでも、生きてよかったと思う。
生き残ってくれて、良かった。
朝になり、いつのまにかコモンがいなかった。
ごはんでも探しに行ったのかなと思っていたが、いつまでたっても戻ってこない。・・・・・・どうやらシアとは別れたらしい。
シアは火の消えた焚火跡をじっと見ていた。
オレはシアを見ていた。
返り血で汚れたままの恰好。髪はボサボサで、目はまだ少し腫れて泣きあとがのこっていた。
・・・・・・うん。
うん。
良かった。
・・・・・・うん。
・・・・・・。
チラッとシアの視線が動く。
オレは気付かないふりをしつつ再び瞑想にもどる。
「・・・・・・」
・・・・・・うん。
「・・・・・・パパは、」
はいいぃ、何でしょうか!「うるさい」
ゴメンナサイ。
「・・・・・・パパは、前はどんな生活をしていたの?」
あぁ、うーん。オレの生活か・・・。
あまり人に話せるようなカッコイイ生き方をしてこなかった。むしろカッチョワルイな。
それでもシアはじっとオレの言葉に耳を傾けている。
・・・・・・しかたないな。