雪を照らすもの3 武器ステータス
「・・・・・・おそろしいな・・・」
報告して、きてもらった兵士たちの一人がそうつぶやいた。
そうだろう。そこには死があった。すでにしおれている花弁は、いまだに紅の色を保っている。細切れにされた魔物は体中の血液をそこにぶちまけていた。これはさながら赤い絨毯を広げたようなものだ。
「・・・血の池だな」
うん。・・・そうね。
血の池と言うか、血の池地獄な感じだった。
鉄の匂いが充満しているうえに、魔物の体内から放出された糞尿の匂いも充満している。
めっちゃ臭そう。
オレは鼻がないからいいが、兵士の何人かは朝の食事を戻していた。
シアは風の通りのいい場所でのほほんとしている。
あの紅いスキル、どうしてもあの夜を思い出してしまうな。
シア、スキルはどうだった?
「ん。十分な威力。でもヒュリオの使ってたのより花の数が少ない」
半分くらいだったな。
それは仕方ない。オレの《魂吸収》は50%の吸収力だからだ。
《魂吸収》は<魂を奪った対象から50%の元素吸収を可能にする。元素蓄積に50%を捧げる>というもの。
聖剣の中には魂があったらしく、聖剣を壊した時にオレはその魂の半分を得たらしい。魂とは固有スキルのことでもあるようで、聖剣の持っていた固有スキルも獲得していた。
威力は半分だが、さらに50%の蓄積料を取られなかっただけありがたい。
それからもう一つ。オレの形状のことだ。
崖の岩にひっかかったアンナを助けようと、オレは自分の体を伸ばすために《変化》を使った。
《変化》は<要魂値。30%の代償を払い自身を変化させる>というもので、今のオレはいくつもの刃物が連なった鞭のような槍の姿をしていた。
ステータス欄にも変化があった。
個体 魔鎗六
種族 魔動槍
属性 無機/魔
耐久 100
魔力 0
・剣術《風刃》100
・刺突術《風突》100
・刺突術《三段突き》19(16)
・槍術《操槍》--
・槍術《円舞》53(50)
・槍術《円舞陣》10(6)
・神技《ノコギリ草》--
特
《変化》
《魂吸収》
《女王花》
《ノコギリ草》は神技だったらしい。説明は<150s時間の切断の花弁を放つことができる>とある。
そして《女王花》。おそらく《ノコギリ草》はこの固有スキルのおまけで覚えたのだろう。説明にはこうある、
<自然治癒力50%/s。土魔術威力増加50%、武器威力増加50%>
きっとこれも半分でこの数値なのだろう。元の性能が怖い。
さて・・・
さてさて・・・・これで終わりだ。
「・・・・・・」
うん。ウソです。
えーと、言ってしまうと、名前が変わった。
自身を変化させる代償に、いらないのは名前だよな、と考えていたら名前が・・・減った。
”魔鎗冥父”から3割減って”魔鎗六”に。
六ってなんだよ・・・・・・
六なのか。どうするんだこれ。今後六として生きていかなくてはいけない。1~5はいません。よろしくお願いします。
穴にならなくてよかった。
というか、名前減るんだ・・・
《変化》はオレが、ずっと封印してきたスキルだった。代償の割には使い勝手の悪い、メリットよりもデメリットしかないようなスキルだった。
質量が減ることはあっても、増えることはない。そう思っていた。
だがどうやら違うらしい。
名前が減った。
オレがいらないと思ったからだ。
これは変化の可能性を考え直さないといけないかもしれない。
それは追々やっていくとして・・・どうだろうか。
新しくなったオレの使い勝手は。
「んー・・・、まぁ、そこそこ」
判断に困る評価だな。
手になじむはずもないが、これでやっていくしかないから、しばらく使って慣れていくしかないか。
迷惑をかけることになるけど、よろしくな
「・・・・・・ん。」