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優しい魔王サマ  作者: いつき
オマケ・短編
31/40

オマケ 其の十一

 ブログに載せた拍手の再録。

 しょうもないです。

『眠れる森の美女』(パロディーでさえない)



「で、眠れる森の美女をするの? わたしたちが? ノア、ふざけてるの?」

「いいえ、ふざけてませんよ」

「わたしは忙しいのよっ! 本編見れば分かるでしょ。それどころじゃないのよ! 常に!!」

「まぁ、まぁ。ユキノ」

「まぁまぁ、じゃない!」

 言い争う三人。その手にはそれぞれ『眠れる森の美女』の台本が。

「で、役決めます」

「勝手に話し進めるな。この傲慢秘書兼側近っ!!」

「黙りなさい、たかだか賢者の分際で」

「なっ」

「お、落ち着け。二人とも」

 ノアと雪乃がにらみ合っている間で、一番権力があるはずの魔王がオロオロと彷徨う。

「大体、どうするの。三人で。

姫は? 王子は? 魔法使いだって十二人ぐらいいるでしょう? あとは……、悪い魔女? これはノアで決定ね。ぴったりよ」

「自分は何するつもりですか」

 ノアがきらりと見るので、雪乃は『わたしもやるの?』と驚いたような顔をした。

「じゃぁね。十二人いるうちの一人。台詞少ないし、冒頭以外出番ないし」

「ユキノ……。曲がりなりにも、本編で主役だと紹介されているお前が、その他大勢になってどうする」

 もっともな突込みを受け、雪乃は口を押さえた。元来の面倒くさがりが出てしまっていたらしい。

「だって。柄じゃないし。王子様も、お姫様も」

「そうか。美人だから似合うと思うぞ、姫様役」

「なっ」

 がっと、ジルとは別の方向を向き、慌てて顔に手を当てた。

 こういうことを、平気で言うのが天然の怖いところなのだ。しかも自分が何を言ったのか、それが周りにどんな影響を及ぼすのか考えていない。

「よかったですね。ユキノ(笑ってるのに、怖い)」

「い、いや。わたし、そんな面倒なの、いいです。辞退します。もう二人でやっちゃえば??」

 すすーと視線を泳がせて、次いで部屋から出ようとする。

 できることなら、関わらないのが一番だ。

「ユキノ。俺が相手役では不満か?」

「いや? そういうことでもなくってだね。そう、ジルがかっこいいから、わたしは不釣合いだなぁと」

「おや、自覚があったのですか?」

「喧嘩売ってるんだね、ノア」

「もちろん(ニコッ)」

 役が決まらぬまま終わるのでした。



オマケ


「で、結局誰がどうするの? 人不足だし」

「だって、これ以上人を出すとネタばれになるでしょう。ほら、あの不思議な声のひ……」

「あら~。何言ってるのかしら、ノア!!」(がっと口元を押さえつつ)

「誰のことだ?」

「さぁ、わたし、まだ何も知らないし??」



    ――――――――――――――――――――

 劇さえしてない、この三人。

 でもこの三人の絡みが好きなんです。




『みにくいアヒルの子』



「あなたにお似合いですよ。『みにくいアヒル』」

「そう? ノアに言われても正直、何ともないのよね」

 ばちんと火花が散った。その間でジルはおろおろと二人の顔を見つめる。

「だ、だが、このアヒル、最後は美しい白鳥にっ!!」

 必死に言い募るが、その言葉をノアは一蹴した。ふっという、嫌味な笑顔つきだ。

「ジル様、よく考えても見なさいませ。これのどこが、白鳥に成長するって言うんですか……。アヒルのまま生涯を終えるクチでしょう。ユキノは」

「ケンカ売ってるの?」

 笑顔で聞いてくる雪乃。それに返すノアも当然のごとく笑顔だ。怖いくらいに美しい笑顔の二人を見て、ジルはわずかに震えた。

 怖すぎる。

「ええ。もちろん」

「買ってやるわーー!!」

 ついに雪乃が声を上げた。ぎっと目が鋭い。

「可哀想に。自分の身の丈も知らず、かかってくるなんて。返り討ちにしてあげますよ」

「その台詞、そっくりそのまま返すわ、ノア」

 二人の視線が交わり、火花がバチンと散った。と、同時に止める様に声が入る。これも前同様恐る恐るといった感じで、まったく説得力がない。

「おーい。そのへんで止めないか」

「「ジル(様)は黙ってて(ください)」」

 あえなく撃沈。

「分かった……」

 で、誰がアヒル役なんですか、結局。



オマケ


「疲れた……」

「ノアとケンカするのもほどほどにな、ユキノ」

「だって、かかってくるんだもの。売られたケンカは買う性質」

「(嘘を吐くな、基本、小心者の癖に)」

「ううーー。悔しい、ノアのやつー。人をブスブス言って。そりゃ、ノアやジルとかみたいに美形じゃないけど、あそこまで言われるほどひどいの??」

「いや。美人だと思うが」

「……。ジルに聞いた私がバカだった」

「え、何でだ、ユキノ」

「何でもーー」

「何でもって、どういうことか分からないだろう。それじゃ」

「分からなくてもいいよ、きっと……。説明するのも疲れるし」

「何か、今のため息、俺のせいみたいな感じだ」

「お前のせいだっ」



      ――――――――――――――――――――

 なんだかんだ言いつつ、彼らが好き。


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