表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/95

0.00  【'46年 新入委員 診断報告書】卯ノ花結姫の所感


VII. 所感

 上層部の人間がこれを読んでいるように思えないが。念の為、報告したぞ、という意思表示のためにここに所感を記載する。文句があるなら卯ノ花結姫まで意見願う。


 今回は、今年度入会した【暁星一也】1名について同調・共鳴能力に関する診察を行った。


■共鳴遺伝子型

 前委員長、東雲零樹に酷似した遺伝子型である。

 従って、彼が殉職するまで特定共鳴者(以下、特鳴)であった瀧源シュン(以下、瀧源)の特鳴として研究棟第二部隊が定めたのも正しい判断と思われる。


*遺伝子型「甲」

下記、一度も私の報告書を読んだことのない上官皆様のために概要を書いて差し上げよう。

※この遺伝子型は、同調・共鳴能力がある人間が必ず所持する遺伝子要素である。

※丹に対する同調アプローチに影響を与える遺伝子型であり、「白」「紫」が存在し、同調・共鳴能力のある人間はどちらか一方を所持している。両方の遺伝子を持つと相殺され、遺伝子型として発現しない。この遺伝子を持つ者同士のみ「共鳴」を行うことが可能となる。共鳴するにあたり所持する色は問われないが、違う色同士で共鳴すると最大限に力を発揮できるようだ。特鳴に指定される者同士では、基本的にお互いに違う遺伝子型を持つことが必須事項として挙げられる。


 暁星一也(以下、暁星)には「紫」の遺伝子の発現を確認した。「紫」は同調速度が基準値を大きく下回る(基準平均値:500 m/s)ことが多いが、暁星の場合、502 m/sとそこまで悪い数字ではなかった。入会から3ヶ月にしてここまでの速度があるのは極めて優秀だと言えるだろう。(努力の結果だな。えらいぞ一也)

 速度が基準値以下の場合「丹」との距離が遠い(500m以上離れた)場合に同調が不安定となることが多いが、彼の場合それも然程気にならないだろう。


*遺伝子型「乙」

※この遺伝子型は丹との同調・共鳴深度に強い影響を与えるものであるが、能力を決定付けるものではない。

※「赤」「黒」が存在し、両方の遺伝子を持つと相殺されるようだ。(遺伝子型「甲」と同様である)

※特鳴に指定される者同士では、基本的にお互いに違う遺伝子型を持つことが必須事項として挙げられる。(同上)

※この遺伝子を持たずして同調・共鳴能力がある人間も理論上存在する。(委員をスカウトしている輩から情報が降りてこないのでこの理論が正しいのか確かめる術はない。情報の開示を要求する)


 暁星には「黒」の遺伝子の発現を確認した。「黒」の遺伝子を持つ者の特徴の例に漏れず、同調深度は0.14ptと低い。同調速度は502 m/sと基準値を満たしているものの、この深度では単独任務に向いているとは言いにくい。

 ただし、 丹侵食率(これは丹に侵食される危険度を示したものだが)は0.00である。共鳴を行わず単独でこの数字は異例と言えるだろう。さらに、解離強度は1.00(つまり100%)と最高強度を記録している。あくまで研究室内で再現できる環境下での結果だが、同調した丹にほぼ飲み込まれることなく、安定した環境下では解離(離脱)を失敗する事がない。

  丹侵食率の低さ、および解離強度も「黒」の遺伝子の特徴ではあるが、数字が特出しているのは間違いない。稀有な能力が彼には備わっていると言えるだろう。


■特定共鳴者との共鳴

※まず、共鳴を行う際に重要な項目の一つが「信頼」である。診断では計り知れないこの心的項目について、これを読む上官の皆々様に理解があることを切に祈る。


 暁星と瀧源の共鳴深度は0.32ptであり、特鳴としては低い数値である。これは暁星の能力不足というよりも瀧源との「信頼」やお互いの「理解」が不足している結果だと考える。参考として「乙-赤」の遺伝子を持つ和泉魁を暁星の共鳴者とした時の数値は0.46ptであり、特鳴でなく、3ヶ月前に会ったばかりの相手としては然程悪い数字ではない。

(傳は同じ共鳴に向かない「乙-黒」の遺伝子を持つので、相性がそもそもいいとは言えないだろう)


 ただし、共鳴深度が低いにも関わらず、同調侵食・解離強度の数値は著しく良い。瀧源の単独同調時の数値が非常に危険な値であることを考えると、暁星の能力の高さに驚くばかりである。


■他

 今後、特鳴との共鳴訓練を強化する事で、共鳴深度を高める事は十分に可能だと考える。また特鳴者である瀧源と、より多くの時間をかけてお互いに今以上の信頼関係を築いていく事が、暁星にとって目下一番の課題だろう。

 共鳴深度が上がれば、瀧源と前特鳴者東雲零樹の共鳴に匹敵する、あるいは凌駕する能力の高さを発揮できるはずである。


以上



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ