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493 家族でニュースを見てダラダラ会話するあの現象

 ボク達は、以下の様な雑談をしながら新聞を読み進めていた。



【恐怖の殺人虫!切り裂きジャックの正体判明する】


 これが見出しかあ。

 犯人が虫な事をアピールしているんだね。


「ああ。侯爵様は『新種の虫型モンスターによる事件』と、いう事で事件を収めるそうだ」


 ふ~ん、なるほどなあ。

 都市伝説に魔物という『実体』を与えて、正体不明から見える恐怖に落とし込んだ訳だ。

 此処で『裏組織』という『未知』が出しゃばって再び恐怖を煽ってきても、それは『既知の魔物の使役』の認識にグレードダウンする。

 『仮』に、裏組織の更にバックに居る組織があったとしても、同様だろうね。

 戦略ではあるが、せこいとも言うな。


「こら、侯爵様になんて事を言うんだ」


 はいはいサーセン、グリーンさん。

 目の前に居る訳じゃないから良いではないですか。

 そういう問題じゃない?

 几帳面だなあ、ジャムシドどいい勝負だ。


【徹底解明!新モンスターの構造と弱点】


 で、頑張って短期間で研究した結果がコレと。

 凄いなあ。冒険者ギルド公式の魔物図鑑でも此処まで詳しくないんじゃないか?

 なんか【お家で出来る虫対策】ってコーナーまであったりするね。

 「更に便利グッズも発売予定」ってあるけど、これはレコードと携帯蓄音機の事だろうな。

 新聞作成時は、正式な契約……ていうか、風俗ギルドとの協力関係もまだ決まってなかったから。


 お、懸賞金も付いている。

 虫駆除にしてはかなり高額だ。


「だから今朝の冒険者ギルドは大荒れだったな。

新聞にある道具を持ち出して、虫が居そうな金属管がありそうな通りや下水道は冒険者だらけだった。

多分今も居るんじゃないかな」

「ほへ~、ご苦労様なのじゃ」


 しかし虫の研究を出した『侯爵領の優秀な研究チーム』については細かに書かれていないんだね。


「あっはっは、質が良くても総数3名だなんて言えないからねえ」

「研究者が全員無欲な天才だったのが幸いしたな」

「いや、無欲じゃないよ。先生はアダマス君からいっぱいご褒美貰いたーいっ!

先生ダーイブ!シャルちゃん、アダマス君の膝枕ちょーだい」

「仕方ないの。特別ですじゃ」


 取り敢えず、シャルと同様に撫でなでしておけば良いのだろうか。

 あ、サラサラで良い匂いする。

 撫でて髪を掻き上げる度に、フワッとフローラルな香りが鼻腔に来るね。


「にゃー♪」


 なんですかソレは。

 銀行でのボクの影響ですか、そうですか。

 可愛いから良いですけれど。


 それにしても、研究内容を此処まで分かり易く纏められるなんて凄いな。

 ……って、うわわ。

 ピーたんが突撃してきた!


「でしょ~!

ジャムシドと相談して、一般が理解できる専門知識とそうでない専門知識を分けたり、嘘でも良いから分かり易く置き換えたり、色々擦り減ったんだから~!」


 酒入っているがな。

 セリン、良いのこれ?

 なに、勝手に冷蔵庫を漁っていったって?

 研究後の打ち上げに飲みたくてキープしていたヤツがあったけれど、皆がダウンして飲めなかったから、お祭りムードに便乗して開封したと。


「……まあ、これで一番活躍したのはバルザックなんだけどさ」


 ピーたん、実は酔ってない?


「この身体、毒耐性強いからねえ。

ぶっちゃけ酔えない。生きる上では便利だけど、娯楽が減ったのは痛い。

まあ、旦那が帰って来ないって、酒浸りになるよりずっと良いさ」


 口調の割に、パワフルにジャムシドを撫でるなあ。

 髪長いから千切れないかとちょっと心配。


「私の事も壊れる程撫でて良いんだよ?おっぱい揉む?」


 いや、先生、やりませんよ?

 先生の綺麗な髪は、大切に扱いたいですから。

 おっぱいは後で揉みますから、出そうとしなくても結構です。

 揺らすのは……まあ、構いませんが。


「妾も揺らした方が良いかの?」


 シャルはシャルのままで大丈夫だよ。

 撫で撫で。


 それでピーたん、バルザックの話題に戻ろうか。


「彼って研究の事になると脱線したり話が長くなったりするでしょ」


 確かに、お爺様の『家』のパーティーに呼んだ時もやらかしてましたねえ。

 関係ない話でも、それは天才の閃きなので止める人の居ない『論文』を突然作り出すやつ。


「そうそう、それそれ。

でも、彼はシャルちゃんとちゃんと話せるように徹底的に自分自身を矯正するようになってね。

その過程で、子供でも理解できる喋り方を研究するようになったのさ。

だから今回の新聞は彼の努力の集大成とも言える」


 はあ~……まさかそこまで頑張っていたとは。

 おや、シャル。

 下唇を突き出して、どう感情にしていいか悩むような表情をしているね。


「う~む、肉親なのじゃから喜びたいのじゃが、やはり褒める対象が『アレ』じゃとなあ……」


 まあ、それで良いんじゃないかな。

 ボクも父上の事は褒めたくないし、『認めたくないが~は認める』って項目も十や二十で効かないのも自覚している。

 だから、本音では許している自分を自覚するところからはじめれば良いさ。

 時間は幾らでもあるんだ。


「むう。お兄様が言うのじゃからそうなのかのう」


 ああ、ボクはシャルに不利になるような嘘はつかないからね。


「つまり本当って事じゃの。

その捻くれた言い回し、如何にもお兄様じゃのう」


 苦労かけるね。

 腹を割って話せるシャルには、何時も迷惑をかけっぱなしだ。

 さて、次の項目で新聞の内容の大体は終わりか。


 切り裂きジャックの関わった事件が軽く紹介されているんだね。

 大きく載っているのは、やはり前のナイトクラブでの事件だ。

 若者層なんかは、特に真実を知りたがっていそうだしね。


【ルパ族のアセナ、華麗に事件を解決!】


 おや、アセナ。

 どうしたんだい、顔を真っ赤にして。

 自分の事をベタ褒めする記事を書くのは恥ずかしかった?


 そりゃそうか。

読んで頂きありがとう御座います。


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