247 【朗報】微S設定、やっと活かされる!
キャラ崩壊注意
寝る前のベッドの上にて。ボクは皆と少し遊んでいた。
シャルは少し疲れて来たのか、大量の玉汗を浮かべて息を荒げている。
だが、疲労を感じさせない笑顔を向け、汗を宙に飛び散らせながら身体いっぱい使ってコミュニケーションを取っていく様は小動物的でなんともかわいらしいものだ。
因みに此処に居るのは婚約者だったり愛人だったりと法的に認可されている関係であります。念のため。
「あっ♡あっ♡あっ♡お兄様が妾の中を蹂躙して全てを染め上げようとしているのじゃ♡っ!」
「そうだシャルっ!全てを委ね、心も身体もみんなボクに捧げて支配されてしまえっ!」
「ああっ、お兄様っ!♡嬉しいっ!!♡♡♡
身体の奥まで来てえええええええ!お兄様を刻み込んで欲しいのじゃあああああっ!♡♡♡」
少し前に父上は「ボクの中にケダモノが居る」と言った事があるが割と正しい。だがそれは、別に勇者の記憶があるとか特殊な事じゃない。
もっと万人向けな性だ。
実は夜のお仕事の最中のボクは『過激に攻める派』にスイッチが入る。平たく言えば『ドS』。
普段は内気な分、全てを曝け出し合う場においては、その感情が爆発してしまう傾向にあるのだ。
ともあれ、この性質は悪い事ばかりでもない。
疲労をコントロール出来るように自分がリードを取れるという意味では、ハーレムという状況に対し相性が良いのだ。
別にM属性ではない人がMとして快楽を貪る場合は沢山あるし、そうでない人を『調教』で気持ち良く感じさせる自信もあるけれど、此処に居る皆がはじめからM属性なのは都合が良かった。
皆揃って、めっちゃノリノリだった。
因みにエミリー先生は、子宮こそ取り上げられてしまったが当時の『商売』で使えるようにする為に、卵巣は切除されておらず、体内に残っている。
だから女性ホルモンは出るので、性欲にも溢れていた。不幸中の幸いではある。
「おや、どうしましたかエミリー先生。動きが緩んでいますよ。そんなに欲しいですか……この変態っ!変態っ!変態っ!」
「はひいいい〜、ごめんなちゃいい〜〜♡♡♡
ずっと年の離れたショタ生徒に情けないところを見られて、興奮を我慢出来ませんでしたぁ♡
私に君の欲望、全部受け止めさせてぇぇええええええ♡」
読心術があるから『見極め』が比較的容易に行えるという事も都合の良い点ではあるね。
意外かも知れないが、優しい人ほどSに向いている。
Sに一番求められる能力とは『人の気持ちを理解する能力』なのだから。
自分の嗜虐心を一方的に吐き出し痛めつけるだけの人間は3流のSだ。暴漢と変わらない。
Mの人は気持ち良くても「もう駄目」とノリで言う時もあれば、限界ギリギリでも「もっとやって」などを言う場合だってある。
だからそのラインを見極めて、安心して非日常的な快楽の渦に身を任せるを楽しんで頂く。
それがSの仕事だと、ボクは思っている。
「アセナは踏まれるのがそんな嬉しいかい!つくづく駄犬だね!
そんなどうしようもないペットにはコレで躾けてあげる必要があるねっ!」
「ワッヒィィィン!♡
バカになっちゃうぅぅぅ♡気持ち良すぎて頭がクルクルパーになっちゃうぅぅぅ♡んぎもちぃぃぃぃぃ〜〜♡♡♡」
常人だったら一気にこんな人数を相手にすればスタミナ切れを起こしてしまうだろうが、健全な少年諸君には言えないようなコツがある。
大貴族は子供を作る事が大事な仕事でもあるので、こうした技術は洗練されていた。もしかしたら『伝統の武術』なんかよりずっと洗練されているかも知れない。
少し脱線するが、ウチ程の大貴族となるとハニートラップ……つまり色仕掛けにはかなり警戒している。
貴族の結婚とは権力を強める為の政略結婚が普通だが、ウチは放っておいても権力が上がる程にはあり余っている。
寧ろ他貴族からの干渉は足枷になる他、嫁自身が実家の為に裏切る事も考えられた。
富や権力が上がれば上がる程、信じられる人間と言うのは減っていくのが貴族社会の残酷な所。
なのでウチの場合は政治ではなく、愛情で結ばれている結婚が推奨されている。損得を抜きに味方でいてくれるのはとてもありがたい。
ボクの周りがシンデレラストーリーや恋愛婚ばかりなのもそうした都合がある訳だね。ボクのお婆様なんか元メイドだっていうし。
尚、一方で「貴族社会の為に」を謳う伝統派貴族等からは反対の声が上がるが、そういうのは大貴族の権力で簡単に黙らせている。
身分違いの結婚は習慣のカルチャーギャップで上手くいかない事が多いが、そこは全力でサポートするのがラッキーダスト家の家柄だ。
恋愛感情というやる気に完成された貴族婦人作成システムがあるので、意外とどうにかなっていた。
それでも日常的に離縁工作などというのは行われる。この辺は恋愛も政略も大差ない。
なので愛情をより強固にする為に『他では絶対に満足できない快楽』というものも身体の芯から常に与え続けているのだった。
少なくともただ大きいだけだったり、魔術的要素で操作したりするだけの連中には負けない。
そうした訳で小さい頃からハンナさんに実践を通して仕込まれたボクは、毎日のように楽しい夜を満喫するのだった。
確かエミリー先生と初めて会った頃には、もう大分仕込まれていたっけなぁ。
「ふう……」
と、攻め続けて全員に結構な絶頂を与え続け、一息ついている時の事だ。
休憩中と丁度良いタイミングでドアがノックされたので、招き寄せる事にする。
「坊ちゃま。お夜食になります」
現れたのは予想通りにハンナさん。ワゴンを押して夜食を持ってきてくれたのだ。
彼女は高級レストランとかで温度を逃がさないために料理に被せる丸い蓋を取る。
因みに正式名称はクロッシュ。『吊り鐘』って意味だ。ドームカバーやディッシュカバーなんてそのまんまな名前で呼ばれる時もあるよ。
素材は銀製だけど、ケーキなんかの保温を必要としないお菓子に被せる場合なんかは中身が見えるようにガラスで作る時もある。
そんな銀の吊り鐘が持ち上げられると、フワリと優しく甘い香りがした。
目に入ったのは少し高価な柄付きの皿。そこには九枚の大きな貝が並べられていた。牡蠣だ。
「牡蠣の酒蒸しで御座います。皆様でどうぞ。殻から啜るようにお召し上がり下さいませ」
「おー。気が利いているね。この時間だと食器を使うのも億劫になってねえ」
牡蠣は様々な食材の中で特に亜鉛が多い食材で、精が付きやすい事で有名だった。夜食でではガツガツ食べられる訳ではないので、効率の良い物はありがたい。
一枚を手にして口に運んだ。身はツルツルと口に運ばれ、プリッとした食感が食べやすい。数滴ほど垂らされた醤油の旨味とレモン汁が、苦味への良いアクセントになっていた。