7.フェリスの呟き
「私は、情けないな」
数日前に殿下の召喚により現れたのはヒトだった。ミルフィー殿下は、幼少の頃から飛び抜けて魔力の保持量が多く、また優秀だった。ただ、好奇心の塊であり度々予期せぬ行動をする。
「力をあまり大っぴらに使用しないよう注意と夜の灯りについての事をを聞くだけだったはずが」
何故こんな流れになったのか。
彼女が自分の容姿が目立っているとは全く気にしていないのは驚きだった。
その容姿だと騎士達がちょっかいを出す可能性がある旨を説明をしない私が悪い。
容姿に対しての違いにより、なんの躊躇いのない彼女と接するのは心地がよかった。そのまま知らなければいいと思うくらいに。
『なら全然問題ないので、街に誘ってもらう日は帽子なしで行きます』
私の外見が見目がよいと言う表情に嘘はみられなかった。容姿について説明しても何も変わらないのは拍子抜けしたが。
「羨ましい」
良い環境で育ったのだと彼女と話せばすぐにわかる。隙だらけなのは戦もないのだろう。思った事を口にできる環境。相手を思いやる様子。
「──遠いな」
生きる世界が違いすぎる。
ならば、無事帰路に着くまで不安が少しでも和らぐように憂いなく過ごせるようにしよう。