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5. 悩みは口にするといい

「貴方が護衛対象とされているのはご存知ですか?」

「はい」


こっそり護ってくれているとは言われている。


「それは夜もです。そして部屋の明かりは小さいながらもずっと灯されたままだと報告を受けました」


ちょと待って。


「えっと、フェリスさんがまとめ役といいますか」


なんて言えばいいのかな。よい言葉が見つからなくて唸っていたら助け舟がきた。


「私というより第ニ騎士団の管轄になっています。騎士団は第三まであり、第一は主に王族、来賓の警護。第ニは王族以外の方々、また討伐などもあり、第三は、国内の市民に対しての対応で民との距離が一番近いとも言えます」


色々な仕事分担があるんですね。でも、やっぱりそれと私の睡眠は関係ないような。


「護衛と一見関係ないように見えますが、警護対象者の状況は把握してなくてはいけません。ただ……」


ただ何だろう?


「私、個人として今回は気になる部分も多いのかもしれません。甘い菓子だったので渋みが出る茶葉を選びましたが大丈夫でしたか?」

「とても美味しいですが」

「よかった。もう一杯いかがですか?」

「……お願いします」


はぐらかされている気がしないでもないけど、お茶のおかわりはありがたいのでのっておく。


「何か悩まれている事がありますか? 力になれるかは分かりませんが、溜め込むよりよいと思うので」


悩みというか。


「一ヶ月後くらいに帰れるのは聞いているし、寝ていた時に戻してくれるのは助かります」


頭では納得しているけど。


「……怖いからかな」

「何が怖いですか? いえ、無理に話さなくてもよいですよ」


私の顔が恐らく真面目になっているんだろう。フェリスさんが私を気遣ってくれているのを感じる。あまり暗い話はしたくないんだけどな。


「…帰る瞬間、何処か違う場所に飛ばされないかなとか。本当に此方にきた時と同じ日時に戻れるのかなとか」


茶葉を蒸らす為であろう砂時計を眺めながら応えた。


「昼間は不安なんて全くないくらいなんですけど」


砂が下へ落ち山が出来上がる。


「この国の夜はとても静かで真っ暗なんですね」


部屋に一人になる夜は、普通ならリラックスタイムなはずなんだけど。眠くてベッドに入るまではいい。


眠いはずなのに身体が拒否しているかのように寝れない。


「あ、でも今日から働かせてもらうので疲労すれば大丈夫かもしれないです」


この話はやめましょうと笑いかければ。


「明日、遅くなるかもしれませんが、必ずミルフィー殿とお会いできるようにします」

「え?」

「どうぞ。茶葉を変えてみました。乾燥させた果実の皮なども入っているので香りか良いと思います」


カップに注がれたのは、薄い黄色をしている。


「美味しい」

「口に合ってよかった」


ふっと目が細まり口角が少し上がっただけで、一気に親しみやすく感じる。


「果実が多く入っていますか?」

「はい。主に皮を乾燥させたもので、数種類混ざっています」


飲む前からオレンジに似た香りが漂っていた。口に含めば渋みは少なくてフルーティーだ。なんか華やかな感じだな。


「殿下からより具体的に転移の際の説明を聞けば完全とはいかないまでも気持ちが落ち着くかもしれません」


──そうだよね。悩んだら尋ねればいいんだ。答えは出ないかもしれない、スッキリはしないかもしれないけど。聞かないより、相談しないよりマシかもしれない。


「あとは、何か困っている事や気になる言葉にはありますか?」


気になる事。


「えっと、困ってはないのですが気になる事が一つありまして」

「なんでしょうか?」


フェリスさんの言葉の端々に違和感があったのが今思えば始まりだったけど、今日の治癒の仕事でなんか確信がでてきて。


「あの、この国の美の感覚ってどうなんですか?」


今度は、フェリスさんが困ったような顔をした。だけど人に聞くというのはタイミングだし気になる事だし。


「あの、例えで言いますと容姿とか、私からすれば殿下やフェリスさんは、滅多にお見かけできないほど整っているといいますか、イケメンなんです」


あ、驚いてる。綺麗な目を見開き固まっている。


「ちなみに此方での見かたとかって」

「ミヤビ様がご存知の者がまだそんなにいないかもしれないので例えができませんが」


また間が空いた後。


「見た目だけで言いますと陛下はとても美丈夫です。ミヤビ様はとても可愛らしく美しく見えます」


マジマジとフェリスさんを見た。彼は、冗談ではなく至って普通で。ドッキリとかでもなさそう。


というか。本当だったの?


「所で、どうして気づいたのですか? 今日、確信したような口調ですが」


フェリスさんが、笑みを浮かべておりますが急に怖くなりました。





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