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13.ミルフィー殿下とテオドール

「フェリスはどう? 最近会わなくてね」


よい時刻だというのに専門書の説明をして欲しいと殿下に呼ばれ、訪ねれば相変わらず脱線する。まぁ殿下は昔からそうでしたね。


「噂とたまにお見かけした様子ですと以前より影はあるかもしれません」


フェリスという男は、表情が乏しく容姿は少し劣るが優秀な者を代々輩出している古い家柄であり、彼は優れた戦術は勿論の事、人柄も評判がよい。


そんな彼が、ある女性と関わって明るくなったのもつかの間、また暗くなってしまった。いえ、彼女が来る前より悪いかもしれませんね。


「任務は問題なさそうだけど」

「やはり心ではないでしょうか」


他の騎士から聞いた話だが別れの際、彼女は力の使い過ぎで吐血し危険な状態だったと言っていた。


「せめて安否がわかればよいですが」

「生きてるよ。多分」


殿下は、書物を捲りながらあるページを私にみせた。


「これ、知ってる?」

「聞いたことはありますが。共鳴石ですね」

「そう。僕さ、滅多に手に入らない、だけど使い道があまりないソレを割って二人に渡したんだ」


真意がわからず黙っていたら殿下は、子供の様に実に楽しそうに話す内容に驚いた。


「この石ね、夜の光を毎日浴びさせると力を溜め込む事ができるんだ。そして持ち主と波長が合うほど力を発揮する」

「殿下、貴方は」


容姿が劣るからと早々に継承権を放棄したミルフィー殿下は桁違いの魔力と優れた知能を持っている。ただ、その能力の使い方が幼少の頃から少し変わっていた。


「今日は、とても天気がよかったね。きっと風がある今宵の空は星がよく見えるよ」


──まさか。


「君のモウもお気に入りでしょ?」

「…殿下」

「フェリスとは冴えない者同士、友には幸せになってもらいたいんだよね。まぁ、共鳴石は、互いの持ち主の波長、力、意思がぴったり合わないと意味がない」


横に大人しく寝そべっていたモウが急に顔を上げた。


「ほら見て、噂をすれば」


殿下が指差した窓の先には、白い光の柱が闇夜に浮かんでいた。





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