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おまけ2 人選 続き

前回のあらすじ:リックはノーマと共に兄ポールに会う為に王都へ旅立つ。

※今回は第81話の続きとなります。

 

「………ん?」

 俺は閉じていた目を開く。

 どうやら俺は眠ってしまっていたようだ。

 休んでいた脳が少しずつ動き出し状況を確認していく。

 青い空と白い雲が目に(うつ)る。

 小鳥のさえずりが耳に届く。

 そして、後頭部に伝わる(やわ)らかく弾力(だんりょく)がある感触。

 気持ち良い感触。

「ご主人様、おはよう」

 若い女性が(のぞ)き込むように俺を見る。

 黒に近い濃い栗色の髪。

 俺より少し年上のお姉さん。

 そうノーマである。

 昨夜、俺とノーマは『超人』の力を使って屋敷を旅立ち、それから…………

「そろそろ(しび)れてきたから動いてもらえないかしら」

 あっ!

 俺は気が付く。

 後頭部の感触は太ももだ。

 俺の頭はノーマの太ももの上に乗っている。

 世の人々はそれを膝枕(ひざまくら)と呼んでいる。

「わ、悪い」

 俺は起き上がる。

 思い出した!

 街道から少し外れた野原で、俺達はエセルが用意してくれた弁当を食べた。

 ただ、王都の城門が開く夜明けの鐘が鳴るまで時間があった。

 そこで俺は鐘が鳴るまで間、横になって仮眠を取っていたのだ。

「あれ?」

 俺は首を(ひね)る。

 体を横にした時、自分の右腕を枕代わりにして眠ったはずなのだが。

「寝苦しそうだから膝枕をしてあげたのよ」

 ノーマは顔を赤くしてモジモジする。

 初対面の時こそ顔を青ざめさせ怯えていたが、普段は表情を変える事が少なく淡々と仕事をしている。

 そんな彼女が初めて見せる表情。

 かわいい。

 俺は見惚(みと)れる。

 ………って、そんな場合ではなかった。

「今何時だ!?」

 夜明けの鐘。日本で例えれば午前4時頃。日が昇るかどうかの時間で薄暗い。

 しかし、俺の視界に写っている空は明るい。

 それは、日が高く昇っている証拠。夜明けの鐘はとっくに過ぎている。

 寝坊した!

 前世日本人だった頃、目が覚めたら会社が始まる時間を過ぎていて携帯電話に多くの着信が来ている……その時に近い焦りを感じる。

「大丈夫よ。落ち着いて」

 ノーマが俺の背中を優しくなでる。

「もう少しで朝の鐘が鳴る頃よ」

 朝の鐘は午前6時頃に鳴る。つまり俺は2時間程度寝過ごしたことになる。

「屋敷を出発した早馬が王都に着くのはどんなに早くても明日の夕方。そこまで焦る必要はない。むしろ、今の内に眠っておいた方が良いと思って起こさなかったのよ」

 言われてみればそうである。

 俺は徹夜してここまで来た。

 時間に少しばかり余裕も出来た。眠って体力を回復させる手段は有効と言えるだろう。

「そうだな。おかげで体も楽になった。ありがとう」

「………良いのよ」

 ノーマは、再び顔を赤くして恥ずかしそうにしている。

 日本には『ギャップ萌え』というという言葉があるが、普段見せない表情というのは本当にかわいいものである。

「それじゃ出発するか」

 ノーマのかわいさを存分に堪能した俺は背負子(しょいこ)君2号を担ぐ。

 『超人』の力の効果は終わっているので、背負子に乗せているのは自分の荷物だけ。

 ノーマは歩く事になる。

 あれっ?

 そこで俺はある事に気が付く。

「ノーマは男が苦手じゃなかったか」

 屋敷にいる時は極力男性を避けていたし、男性の近くにいると震えていた。

 そんな彼女が男である俺を膝枕できたな。

「そうなの。なぜかリック様だけは大丈夫なの」

 顔を赤くする事もなく、不思議そうな表情をする。

 淡々とした様子。いつも通りのノーマだ。

「興味深い謎だな」

 こんなに悪人顔をした男が大丈夫だとは。

 ポール兄さんみたいに貴公子の様なイケメンが大丈夫だったら分かる気もするのだが。

 不思議である。

「そんな事はどうでもいい事よ。そろそろ行きましょう」

 そう言ってノーマは自分の荷物を担いで歩き出す。

 良くも悪くも彼女は常にマイペースだ。

「待ってくれ」

 俺も急いで彼女を追ったのであった。



読んで頂いてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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