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第59話 ピーターの指示

都合により、前回の予告より早く更新します。

「………そうか……」

 ピーター父さんは、ポール兄さんからの報告を聞くと、そう(つぶや)く。

 か細い声だ。

 元気な時なら「ひっひっひ」と大きな声で笑っていたのに。

 頬はこけ、手足の筋肉は落ちて棒のように細くなり、やつれている。

 元気な姿を知っているだけに、この姿は見るのがつらい。

「お義父様、どうしたら良いでしょうか」

 だが、オリーヴ義姉さんは、そんな状態の父さんに指示を(あお)ぐ。

 それを見て彼女の夫である兄さんは唇をかみしめる。

「……寝たままはつらい………悪いが体を起こすのを手伝ってくれないか……」

「かしこまりました」

 傍に控えていた老執事が、両手で父さんの上半身を持ち上げる。

「これを使ってくれ」

 俺は部屋にあるクッションを何個か父さんの腰のあたりに置く。

 体を支えるのに役立つはずだ。

「……ふぅ」

 やっとの事で上半身が起き上がる。

 これだけで一仕事だ。父さんは大きく息をつく。

 つらそうだ。

「大丈夫か」

 俺が心配すると、父さんは「ああ」と軽く頷き、老執事から用意してもらった水を一口飲む。

「寝てばかりだと尻が痛くなる」

 元気な時には及ばないが、声に力強さが戻る。

 目に光が戻る。

 周囲の空気が引き締まる。

 体調は悪いままなのだろうけど。

 全身に気合でも込めたのだろうか。

 凄い精神力だ。

「オリーヴ」

「はい」

 父さんに指名されてオリーヴ義姉さんは背筋を正す。

「今回の件は、マイエット子爵に伝えておいてくれ」

「分かりました」

 マイエット子爵もパイル男爵も同じ法衣貴族だ。

 双方面識もあるはずだ。

 今後連携してパイル男爵へ対応する必要があるかもしれない。

 情報の共有は大事だ。

「次にパイル男爵についてだ」

 そう言い、父さんは俺を見る。

「お前の可愛い巨乳姉ちゃんが何か考えただろう」

「巨乳ってシェリーの事か。もっと品の良い呼び方をしないと嫌われるぞ」

「ひっひっひ。今さら嫌われたって構わないさ」

 久しぶりに聞く、品のない冗談に品にない笑い声。

 俺は嬉しくなる。元気な時はいつでも聞けたのに。

 それにしてもよくシェリーが策を考えていると見抜いたな。

 凄い洞察力(どうさつりょく)だ。

「父さんの言う通り、シェリーから策を考えてもらっている」

 俺の言葉に兄さんは驚きの表情を浮かべる。

「考えが(まと)っていないとは言ったが、考えがないとは言っていないぞ」

 あの時、エセルとシェリーの二人を間抜けと言わなければ話すつもりだったのに。

 それを聞いて兄さんを(うつむ)く。己の早とちりを恥じ入っているのだろう。

 俺はシェリーが考えた策を説明する。

「それは大丈夫なのか」

「ひっひっひ。面白いじゃないか」

 兄さんは難色を示すが、父さんは興味を示す。

「処遇も含めて俺に任せてもらって良いか」

「やってみろ」

 速攻でGOサインが出る。

 シェリーの策を使う事が決まった。

「父上。それで、パイル男爵への抗議の使者については」

「それは効果が期待できない。やめておけ。そのまま知らん振りしていろ」

「……分かりました」

 兄さんは不満そうだったが、抗議せず引き下がる。

「ひっひっひ。早速行動に移そう。パイル男爵にやり返してやろう。倍返しだ!」

 前世、テレビか何かで聞いたようなフレーズだな。

 なんで父さんが知っているのだろう。きっと偶然だと思うが。

 

 それにしても、父さんが仕切ると決まるのが早いな。さすがだ。

 こうして俺達は父さんの部屋を出て、各々指示された件を実行に移すのであった。



当初は第59話は、次回更新予定の第60話と同一話として更新する予定でしたが、前半と後半でシーンが違うので、分かりやすくする為、2つに分ける事にしました。

その為、第59話、第60話はいつもより短くなります。

次回の更新は予告通り12月28日月曜日になります。

これからもよろしくお願いします。

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