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第92話 庭

前回のあらすじ

 リック達は食堂に捕らわれていた使用人達を無事に救出する事に成功した。

「アリサさん。これを主人(マイエット子爵)に渡してね」

「カミラ様。ありがとうございます」

 メイドのアリサはカミラさんから手紙を受け取る。

 宛先はマイエット子爵である。

「俺達はここまでしか送れないが、後は大丈夫か」

「ここまで送って頂ければ充分過ぎるくらいでございます」

 ここは、ウォーカー男爵家王都別邸の庭。俺達が潜入する時に穴を開けた場所である。

「リック様。皆を助けて頂いて、本当にありがとうございました」

 アリサや別邸で働く使用人達は深々と頭を下げる。

 人から感謝されるのは悪い気分ではないが、こそばゆい恥ずかしさがある。

「縛ってはいるが気をつけろ」

 俺は使用人達の傍に居る男達を見る。

 オリーヴ義姉さん達を監視していた男達だ。    

 両手を縛られ、一本の縄で繋がれている。

 男達は俺を睨んでいるが、自業自得だ。

 気にしないようにする。

 俺達はこれからポール兄さんと会う。

 ただ、兄さんは他の貴族の子息達と一緒に妙な儀式を進めているらしいし、エルフ耳の美女ソランジュの仲間らしいキイザーの存在もある。

 儀式の生贄候補にされていた事もある。この先、生命の危険も有り得るので、アリサ以下使用人達と捕まえた男達はマイエット子爵の家で保護してもらう事にした。

 カミラさんの手紙は、そのお願いが書かれているのだ。

 使用人達が縄で縛った男達を引き連れて穴を通って行く。

「皆様のご武運をお祈りしています」

 そう言ってアリサも穴を通って外へ出ていく。

「じゃーじゃー」

 オリーヴ義姉さんに抱っこされているティム君が手を振ってアリサ達を見送る。

 これからキイザーと一戦を交える可能性も有るので、ティム君はアリサと一緒にマイエット子爵の元へ行って貰うつもりだった。  

 しかし、ティム君は大泣きして抵抗した。

「ティム、この先は危険なの。ねっ、お願い」

 オリーヴ義姉さんが(なだ)めてもティム君は泣き止まない。

 無理やりでもアリサに連れて行かせようかと思ったが、意外な提案が出た。

「ティムも私達と一緒に行く?」

 カミラさんだった。

「ティムは、私やオリーヴと同じ戦士の血が流れている。きっと一緒に戦いたいのよね」

「うーうー」

 カミラさんの言葉に、ティム君が「その通りだよ」と言っているかのような声を出す。 

 だけど、間もなく1歳になる幼児では戦う事も出来ないのでは………。

 俺は連れて行かない方が良いと思うが、皆で話し合った結果、ティム君も俺達と一緒に行く事になった。

 

「皆、準備は良いか」

 建物の中に戻った俺は皆の顔を見渡す。

 カミラ夫人、オリーヴ義姉さん、ティム君、ノーマ。

 俺達は、これから兄さん達が儀式を進めている大広間へ突入する。

 気分はまるでボス戦を直前に控えたRPGの主人公である。

 それにしても、使用人達を救出してから、今に至るまで、相当の時間が掛かっている。

 その間、ポール兄さんもキイザーも何もしてこなかった。

 儀式を進めているとはいえ、大広間で一体何をしているのだろうか。

 ある意味、マイペースな人達なのかもしれない。

「ちょっといい」

 ノーマが小さく手を挙げる。

 彼女は懐から茶色の四角い固形物を取り出すと、俺達に一個ずつ渡す。

 見た目はキャラメルに似ている。

「眠気覚ましの薬よ。アリサの話を聞いて、もしかしたらが有るかもしれないから」

 今回の事件が起きた9日前の夜、アリサを含め、屋敷の使用人達は一斉に強い眠気に襲われた。

 詳しい原因は分からないが、キイザーが絡んでいそうな気はする。その対策という事か。

「眠気を感じたら口の中で噛んで………どうしたのご主人様?変な顔して」

「俺は感動している。ノーマ、君は凄い人だ!」

 やはり、今回のノーマは神懸(かみがか)っている。

 彼女がいなかったら今頃どうなっていたのだろう。

 消去法での選択だったが、連れて来て良かった。

「それでは行くぞ!」

「「「おー!」」」  

 自然と全員が声をあげる。

 こうして俺達は大広間へ向かったのであった。


読んで頂いてありがとうございます。

間もなくMLBオールスターが始まります大谷翔平選手の活躍が楽しみです。

 

次回もよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 延々と同じような話が長い、飽きた
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