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メタルなアイツで成り上がります  作者: にしんのこ
5/9

《5》ガリルさん、あんた何者?

しばらく、粘着を使っていたが、これと言った成果はなかった。ガリルさん達は出ていったっきり帰ってこない。

ガリルさん達の実力は分からないが、あの猫にあっていたら大変だ。

そう思うと、心配になってくるのであった。


突然、何かが爆発する音と共に、風が吹いた。

「クソッ!スレイがやられちまった!」

「アイツまだ来るぞ!向かい打て!」

拠点に転がり込んで来る、男達。怪我人が出たようだ。


見るとその人は始めに俺に話しかけてくれた人だった。右腕の付け根に引っ掻き傷のようなものがあり、血が溢れ出していた。

先ほどまで元気だった人が重症であらわれ、俺の足はすくんでいた。


「押さえきれねえ!怪我人つれて裏口から逃げろ!」


避けんだのは、ガリルさんだ。細いナイフで巧みに攻撃を受け流し、仲間を逃がしている。

相手は予想通りあの猫だった。先ほどとはうってかわりその巨大な肉体はただ相手を殺し尽くす殺人マシーンといわんばかりにフル稼働している。


怖かった。この体の耐久力を知らないのもそうだが、日本では感じることのなかった純粋な殺気が恐ろしかった。

しかし、ガリルさんの勢いも落ちてきていて、劣勢気味だった。

そんな中、ガリルさんが叫んだ。

「自分に自信が持てねえなら逃げろ!」


その一言で俺は動いた。

人のために動くなんて、ましてや命がかかっているのに行くなんて俺自身も信じられなかった。

だが、その動きはもとの俺の体では出せないスピードだった。このときだけは、この体に感謝をしよう。


猫の爪が俺に迫る。


(固体!)

思わず目を閉じてしまったが、俺の体は爪を弾いた。

ビリビリと感覚が体を走る。


猫の爪による連続攻撃が来る。


(液体ッ!)


猫の腕が俺の体に沈む。衝撃は吸収され、猫は驚いたように目を見開いた。

俺はかかったなと確信した。


(固体!)


猫の腕は俺の体に沈みこんだまま固まった。攻撃はなくとも防御力ならまだ自信があるレベルだ。

すると、猫は腕にくっついた俺を持ち上げ、何度も壁に叩きつけた。

うまく言ったと思ったのに。猫の力が想像していたよりよっぽど強かったようだ。

されるがままに壁に叩きつけられる俺。


その一瞬の隙を狙って、ガリルさんがナイフを猫の頬に突き刺した。

猫の頭は俺を剥がすために下がっていたものの、三メートル位の高さがあり、ガリルさんはそれを軽々ジャンプしている。


ガリルさん、あんた何者てすか?


俺は猫が頬をおさえたすきに、液体化して抜け出した。猫は全身の毛を逆立ててこちらを睨み付ける。

すぐに、猫パンチが飛んできた。一直線にガリルさんの方向へと進んでいく。紙一重で交わしたガリルさんは猫の懐に潜り込み、後ろ足にナイフを刺す。

と、同時に、ガリルさんからナイフが飛んでくる。俺は液体化で優しくキャッチし、落とさないよう握りこんだ。


「グルルルル・・・」

距離をとったガリルさんを猫が睨み付けている。俺はその隙に猫の後ろに回り込む。

猫は興奮状態でまだ気付いていない。猫の後ろ足にナイフを突き刺そうとしたのだが、その瞬間俺の動きが止まった。


想像してほしい。

例えば、自ら殺人犯を名乗るキチガイがいたとして。隣の家の猫を殺せば、お前の命は助けてやるとナイフを突きつけられながら言われたとして、グサッ、とできるか?という話だ。日本人は自分で思っているよりヘタレだったりする。

動物を殺せば犯罪として、警察のお世話になってしまう国出身のヤツが殺しても犯罪にならない国に来てパッと動物を殺せる訳がないのである。


突き刺そうとしている俺のナイフが震えているのをみて、ガリルさんは大きくため息をつき、


「逃げるぞ!このままやっててもいずれ殺される。とりあえずこいつを遠くにやったら全速力だ!」

 

大きく叫んだ。

すると、ガリルさんはポケットから匂袋のようなものをだし、猫にぶつけると全速力で逃げだした。

猫は袋に夢中で追いかけてこなかった。

俺もガリルさんの後ろをついていくのであった。


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