《4》ステータスとスキル
それから、俺はその人たちに付いていき拠点のようなものに帰った。
拠点といっても、行き止まりにカーテンをつけ、しきりを作った程度のものだったが。
中は、生活感がうかがえるようだった。
俺は石の床に敷いていたカーペットの上に座った。頭のなかで(固体)と念じると溶けた状態のまま固まった。
ステータスとやらを見たとき、攻撃が弱かったけどこれはもしかしたら攻撃に使えるかもしれない。
とのんきに考えてはいるが、
(俺、戻れるのかなあ。)
俺が今どんな状況なのかもわかっていないが、そもそも聞く手段がない。
言葉を伝える手段があれば話は変わるんだけど。
「よう、スライム。調子はどうだ?さっきは悪かったな。」
突然声をかけられ、びっくりした。
どうやら俺に話しかけたようだった。落ち着いて固体化をといて、飛び跳ねた。
「おお、今こいつ俺の言葉に反応したぞ。」
「何お前バカいってんだよ。モンスターが人の言葉を理解するわけないだろ。」
「いいからお前もなんかしゃべってみろって。」
「じゃあ、お前試しにくるっと回って跳ねてみろ。」
二人の男に視線を向けられるなか、来るっと回って飛び跳ねる。
男達、固まった。
そして、はっと我にかえるとどこかに全速力で走っていった。
しばらくすると、俺に声をかけてくれた優しいおっさんをつれて、かえってきた。
相変わらず顔が怖い。
「お前、俺がしゃべっている言葉わかるか?」
緊張して、頷く。
おっさんをつれてきた男達はおお、と言葉を漏らしている。
おっさんは俺の顔をしばらくみると、口を開いた。
「俺の名前は、ガリル。ガリル=シロップだ。回りの連中には、親方と言われている。よろしく頼む。」
ただの自己紹介だったようだ。
差し出された右手をとって握手しようとするが、伸ばした腕が重く、上がらなかった。
おっさんは笑って俺の手を持ち上げた。
※※※※※
「お前がわかるように、説明してやる。まず、お前が伸ばしたその腕、スキルだろう?」
スキルは俺だけが使えるとかではないのか。共通の認識だった。
なんか残念だ。
「スキルってのはモンスターが持っている能力みたいなものだ。人間は持っていなかった。」
ゲームみたいだと思ったが、ここ、地球じゃないみたいだし。
何があってもそういうものなんだとスルーしよう。
「しかし、カレン王国初代国王にして第一期勇者、ヒデアキ=シバタ様によって全人類にステータスという能力とスキルが付与された。」
えーと。情報量が多すぎる。
とりあえず、シバタさんすげぇ。俺と同じ日本出身だったのだろうか。
チートだったのか、いいなあ。
「スキルはモンスターを狩り、経験値を獲得し、ステータスを上げるともらえることがある。」
で、俺はその経験値をたくさん落とすから狙われると言うことだった。
それに、話によるとエルフやドワーフもいるようだ。ファンタジーだな。
それだけ話すと、ガリルさんはどこかへ歩いていった。
周りを見ると誰もいなくなっている。
出かけたのだろうか。せっかくだから、スキルの試し打ちでもしてみるか。
まずは、「状態変化Ⅰ」。
液体化しても持ち上げられなかった腕は細くし、動かせるようになった。
でもこれで叩いたところでダメージなどありそうにない。
Ⅰというところは気になるが、今、いる情報ではない。ちなみに、気体には変化出来なかった。
せっかく拾ってくれたのだから、少しでも、貢献したい。
あんな、でかい猫がいる世界など、強くなることが結構役に立ちそうだからな。
正直、戦う覚悟などあるわけないが、工夫して、俺でも戦えるようにしたい。
次、「粘着」だ。
(粘着)と心のなかで意識してみると、足がくっついた。(解除)で外れるようだ。
有効活用するのは、難しいかもしれない。
ところどころ誤字があるかもしれません。
是非教えてくださると助かります。