おわり。
始まりも終わりもない話。
どんなに話してもわからない。
私が許したはずなのに、悪いのは相手のはずなのに。
なぜか私が追い詰められる。
「ねぇ、歩み寄って?」
そう言えば、
「寄ってるよ。」
と言いながら、すり抜けていく。
すりきれる心はもう限界を迎えそうだ。
仕事が忙しい。
疲れた。
それは自分だけ特別なのか?
好きになった方が負け。
それは正しいのかもしれない。
目に見えない心が恐ろしい。
そんな日々をおわりにするのは簡単だった。
自分の荷物は新しい住所へ送った。
家具やらなんかはもういらない。
一からやり直すのだ。
スッキリした気持ちで手紙を残し、鍵をかける。
明日から寂しい時はあるかもしれないが、苦しい日々が終わるのだ。
自分にかける時間も増えるし、この際ステップアップしたい。
自分のために、時間を使い、お金を使い、新しい事にチャレンジするのだ。
そうやって気持ちを奮い立たせ、新しい一歩を踏み出す。
きっと変われる!
俺が悪いのはわかっている。
金を使い、女を侍らせ、アイツの愚痴を言う。
楽しい時間を過ごし帰るのはアイツのところだ。
帰れば飯もテーブルに用意されている。
風呂の準備も出来ている。
ゆっくり休んでまた明日から仕事に精を出す。
それが当たり前だった。
ある日帰ると何かが違った。
足りない。
手紙を見て、呆然とした。
離婚届と弁護士の名刺。
一目瞭然だ。
忙しかったんだ。
落ち着いたら償うつもりだった。
いや、普段から悪かったと思っていたよ。
どんなにいい募っても彼女はもう帰ってこない。
まぁどうせまた新しい女を作ればいいんだよな。
あんなブス居なくなって良かった。
家事も飯もいまいちだったし、陰気で面倒なやつだった。
どんなにそう思っても、何か足りない気がする。
世界から見捨てられたような気分になった。
何が行けなかったのか、俺にはわからない。
なぜ待っててくれなかったのか。
もう少し待っててくれれば、償えたのに。
続きとかはありません。