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おしまい
*
「──残念です」
「どうかしましたか?」
「いや、バーニングの魔法、もし私が使えたら私自身にかけてみたかったなあと」
穏やかに師匠が言って、シアは手に持っていた品種改良版の芋を落としそうになって。
素早く反対の手にそれをキャッチした。
「馬鹿なことはやめてくださいよ、貴方がそんなことしたらバーニングどころの騒ぎじゃなくて──おそらく全世界に暗雲が広がり、雷鳴が轟き、地方の町で勇者が生まれ、やがて貴方は討伐されちゃいますよ!!」
「ふふ、容赦ない妄想ですね。──わかってますよ、大丈夫です。このお話は冗談ですから」
にこやかに笑った師匠の眼差しが笑っていないのを認めながら、シアは“こいつはバーニングしなくても禁じられた術式とか結界破りとか、とりあえず何かしらやらかすだろうな”と覚悟しつつ頷きました。
*おわり*
来年も素晴らしい時間をお過ごしくださいっ☆
大吉が降り注ぎますように……!