メンマの飛行
ツンドラには草が生えていない。
やがて近海は流氷に覆われることだろう。
まだ若いメンマが一本そこから飛び立とうとしていた。
空は青くて雲はない。
飛行機の航路としてこの上空が選ばれることもないから
メンマは安心して離陸することができた。
風を切ると耳が痛い。
だからといって耳当てをすると飛行は難しい。
遺跡を越えて、草原が見えてくれば、一群のメンマが飛んでいる。
その様子は、地上に住む動物からしたら、点々に見えるに違いない。
メンマは暖かい点を目指す。
点から点への移動、と言う一点にかけて、彼等は自らを
二次元生命体
と定義する。
年老いたメンマがまた墜落してゆく。
メンマ