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第83話 すっぽかした約束の埋め合わせに御馳走を作ろう

ブックマーク追加誠にありがとうございます!

大変励みになります。

今後もコツコツ更新して参りますのでよろしくお願い致します!


2018/10/14 誤字・表記修正致しました。ご指摘、アドバイス誠にありがとうございました。


「いやー、実に計画通りだな」


『ヤーベはとんでもないチートを持っているだな』


「馬鹿言え、俺はチートなぞ一つも持っていないぞ。神様にも会えなかったし。大体気が付いたらスライムになってた。ゲルドンと同じだよ」


『ス、スライムだか!?』


「そう、ものすっっっっっげー努力の末にスライム細胞をいろいろ変化させてできる事を増やしてきたんだよ。ステータスウィンドゥとか開いて、スキル選択したらそのスキル使えました、なんて一つもねーよ」


『はー、おめはそれだけ努力してきただな。すごいやつだで。これは使役してもらえてラッキーだべな』


「これからどうすれば正解なのかはまったくわからねーけど、お互いラノベファン同士、仲良く異世界で生き抜こうぜ!」


『こっちこそよろしく頼むだべ』


俺たちは往来でガッチリ握手した。


『・・・どうしました、ボス?』


後ろからついて来たローガが大通りでいきなり握手しだした俺たちを訝る様に声を掛けてくる。


「おお、すまんすまん」


俺たちは冒険者ギルドへ歩いて行く。


つい先ほどまで、1000匹近いオークの軍勢を倒していた。

俺の<スライム的狙撃(スライフル)>とゲルドンのハルバードぶん回し、狼牙達のサポートで危なげなく仕留められた。慣れて来たころにはゲルドンのハルバードで実際にオークを仕留めていたし。

そう言えば、レベルという概念が無いし、ステータスも見られない。魔物を倒しても経験値として何が上がってるという事も無い感じがする。オークのゲルドンもこれからどう強くなっていくのか考えなくてはならないだろう。

ちなみに俺はぐるぐるエネルギーの増大をトレーニングと魔物取り込みで対応している。それが「強くなる」という事だと思っていた。

ゲルドンはどうなのだろう?

落ち着いたらゆっくり前世の事も含めてゲルドンとは話し合いたいものだ。

その時は良い酒と良いツマミを用意せねばなるまい。


それにしても、先ほどは完全にゲルドンヒーロー!であった。愛と正義のオーク騎士「赤カブト」として名前を売る事に成功した。突撃してくるオークをばったばったと切り伏せるその姿はまさに一騎当千であった。

すぐに西門の衛兵や冒険者たちから声援が飛んだ。

最後は切り伏せたオークたちの真ん中で

「うおおおおお―――――!」

と雄たけびを上げていたゲルドン。

紛れもなくこのバーレールの町を守り切った英雄である。

・・・オークだけど。

・・・使役獣だけど。

まあ、それは冒険者ギルドが分かっていればいい事だ。

すでに北門の迎撃に出たローガ達はもう戻って来ている。

ローガ達、早かったなー。本当に早かった。

もはやローガ達にとってオークごときは三時のおやつ程度のものかもしれない。

・・・例えがおかしいか?



カランコロン


「毎度ー、ギルドマスターいる?カイゼル髭の?」


「「「ぶふっ」」」


何人かの冒険者が噴き出す。

というか、西門や北門に行かない冒険者たちがいたのか。

たまたま帰って来たタイミングだったと思いたい。

俺が全面的に信用されているとはとても思えないしな。


「ヤーベさん、カイゼル髭のとか言わなくてもギルドマスターは一人だけですから・・・」


ギルドの受付嬢がカウンターを出てこちらへやってくる。


「ギルドマスター室へご案内します。」


その受付嬢を手で制す。


「悪いけど面倒だから、オークの頭を1500匹分出すので倉庫へ案内してくれない?」


「え・・・? あ、しょ、少々お待ち下さい」


そう言って慌てて奥の部屋へ行くギルド嬢。

完了報告と討伐確認に何で部屋へ案内するかね。

部屋の中をオークの首1500個で埋め尽くしてやろうか!・・・悪趣味だな。


がちゃりと扉を開けて出てくるカイゼル髭。


「ヤーベよ。報告は聞いておる。見事な討伐であった」


「どーも。1500個の首出すから、討伐証明受け取ってよ」


「うむ、裏の倉庫で出してもらおうか」


案内されて、倉庫で1500個のオークの首を纏めて出す。


「んんっ?」


ローガの回収してきた方の首・・・なんかだいぶデカいし、イカツイですケド?


「こ・・・これはっ! オークキングか!? こっちはオークジェネラルか!?それもジェネラルの首がどれだけあるんだ・・・!?」


カイゼル髭が衝撃の声を上げる。


「ローガ、これ、オークだけじゃなかったんだな」


ローガを見る。


『そう言えば真っ先に突っ込んできたのがオークキングでしたな。まあスッパリ首落としてやりましたが。わっはっは』


わふわふと笑いながら自慢げに言うローガ。


「いや、真っ先にオークキング瞬殺って・・・」


さすがに俺も引き気味だ。


『他にもオークジェネラルやオークナイトといった上級種ばかりでしたぞ。出来ればキングの肉をボスに焼いていただけるとこの上ない幸せなのですが』


「お、おお、任せておけ。腹いっぱい食べさせてやるぞ。泉の畔に帰ってからだけど」


『楽しみにしております』


「で、依頼完了の処理よろしくね」


「あ、ああ・・・ギルド証を受付に出してくれ。報奨金は見直しが必要だ。まさかオークキングやジェネラルのような上位種がこんなにもいるとは・・・」


「では、明日の朝一で受け取りに来るからよろしく」


そう言って俺は冒険者ギルドを後にした。




外へ出ると、時間は夕方に差し掛かっていた。

1000匹のオークを狙撃で対応していたしな。

そこそこ時間がかかったな。


『おで、ついて行っていいだか?』


「もちろんだよ、というか、普通に金払って部屋取ろう。鎧着てりゃわかんないよ」


『助かるだよ』


「飯も部屋に運ばせれば大丈夫だな」


『何から何まで悪いだね』


「なに、良いってことよ!今度ゆっくりラノベ話でも・・・」


そう言いながら到着した宿の扉を開ける。

ホールに入って俺は固まった。


「・・・ヤーベ・・・」

「・・・・・・」


うおおっ!?

イリーナにサリーナ!

めちゃめちゃほっぺがブンむくれてます!


「ヤーベ、お昼から買い物に一緒に行く約束だったはずだぞ・・・」


ものすごいジト目で睨んでくるイリーナ。


「ずっと待ってたんですよ・・・」


悲しそうに言うサリーナ。


「いや!これには深い理由が・・・」


「ルシーナちゃんも途中まで待っててくれたのに・・・」


「え!? ルシーナちゃんも!」


「そうだぞ、ヤーベ。みんなヤーベと買い物に行くのを楽しみにしていたのに」


「うおお~~~~! スマヌ!」


俺はその場で土下座する。

何故か、この町の危機を救っていたという説明は頭から吹き飛び、パンパンに膨れたほっぺで怒りを表している二人にどう償うかを考えていた。


後で埋め合わせをするので、今日はもう休むように伝えて、ゲルドンの部屋を取った後、俺は片付けが始まろうとしている露天商の通りへダッシュするのであった。



・・・・・・



「ふふふ・・・この失態を何としても取り戻す・・・」


俺は怪しい笑みを浮かべて、終わりかけていた露店を回りまくって材料をかき集めて来た。


「ふふふ・・・お前たちの力、存分に発揮してもらうぞ・・・」


「ヤーベ、ずいぶん悪い顔してない?」

「お兄様、どうしたのですか?」

「ヤーベちゃん、今日はなんだか男っぽいわ~」

「ヤーベ、私の力が必要か?」


四大精霊、水の精霊ウィンティア、風の精霊シルフィー、土の精霊ベルヒア、炎の精霊フレイアを同時に呼び出す。


「今こそお前達の力を集結させる時だ!」


「どうしたの?」

「何か悪い物でも食べたか?」


俺が芝居がかっているので、訝しむウィンティアとフレイア。


「実はね・・・」


俺はイリーナたちとの約束をすっぽかして町を救っていたと説明する。


「いや、ヤーベは正しい事をしたじゃないか、何でそれを言わないんだい?ボクは全然わからないや」

ウィンティアが分からないと言った表情で肩を竦める。


「そうね~、正直に言えばいいのに~」

ベルヒアねーさんも説明すべきという。


「まあ、そうなんだろうけど。とりあえず随分待たせちゃったのは事実だから。お詫びにおいしいおいしい料理を作って二人を呼ぼうと思ってね」


「お兄様、どんな料理を作るのですか?」

「ヤーベ、俺の力をドーンと使ってくれ!」


シルフィーもフレイアも力を貸してくれそうだ。

俺はちっちゃな鍋置きをセットする。


「ベルヒア、これくらいの器を作ってくれ。火にかけて使う」


そう言って土を出す。


「まかせて~」


そう言ってベルヒアは土を綺麗なポット状の鍋にする。

ベルヒアの作る鍋は表面がつるつるで全く焦げ付かない。

これが地球ならバカ売れすること間違いなしなのに。


出来たポット状の鍋をセットして、買って来たチーズを入れる。


「フレイア、下からゆっくり温めてくれ」


「任せてくれ!」


フレイアが手をかざすと小さな火が出て、ベルヒアの作った鍋を温めて行く。

少し経つとチーズが温められて溶けて行く。


「シルフィー、ゆっくり鍋の中を風でかき混ぜてくれ」


「了解、お兄様!」


鍋の中のチーズがゆっくりとかき回されていく。


以前ベルヒアに作ってもらったコップを出し、自分の分と、イリーナ、サリーナの分で3つ並べる。


「ウィンティア、おいしいお水を出してくれ」


「うん、任せて!」


おいしい水が注がれて行く。

その間に、露店で買い込んできた果物とパンを一口サイズに切って行く。


「よし、準備出来た。二人を呼んで来るから、ちょっと待ってて」


そう言って二人の部屋に向かう。




「どうしたのだ、ヤーベ、こんな時間に。というか、夕飯にも来ずにどこへ行っていたのだ?」

「コルーナ辺境伯家の皆さんも心配していらっしゃいましたよ?」


イリーナとサリーナを部屋まで連れて来る。


「これは・・・すごくいい匂いだ。どうしたんだヤーベ」


「今日二人に迷惑をかけたお詫びだ。ぜひ召し上がってもらいたい」


「ヤーベの手料理か?すごく久しぶりな感じだな」

「あ、いいですねイリーナ様は。私は初めてですよ」


そう言って二人を鍋の周りに座らせる。


「精霊のみんなもいるんだね」


「彼女たちの力を借りたからね。みんなでおいしく食べてもらいたくて」


「ヤーベ、これは何という食べ物なのだ?」


「これはチーズフォンデュという料理だよ。一口サイズに切った果物やパンをこのチーズに付けて食べてね」


そう言って長いフォークを渡す。


「それは楽しそうだな・・・頂きます」


そう言って早速イリーナが果物の一つをフォークで刺し、チーズに付けて食べてみる。


「う、うまいっ! なんだこのトロトロは!」


「では、私も・・・」


そう言ってサリーナもフォークでパンを刺してチーズに付けて食べる。


「んんっ! おいしー!」


「よかった、さあみんなも食べて食べて!」


精霊たちにも長いフォークを渡して食べてもらう。


「ヤーベ、コレすっごくおいしい!」

「お兄様、蕩けますわ!」

「ヤーベちゃん、これすごいわね~」

「とってもおいしいぞ、ヤーベ!」


精霊たちも大喜びだ。

みんなでワイワイと食べていたら・・・


バンッ!と扉が開いてルシーナが立っていた。

なぜか枕を抱えて寝間着姿だった。


「皆さんだけで何をされているのですか!私だけ除け者ですか!」


若干涙目で捲くし立てるルシーナちゃん。


「ごめんごめん、悪気はなかったんだ。よければ一緒に食べないか? チーズフォンデュって言うんだけど」


「う・・・、頂きます!」


と言ってルシーナちゃんもチーズをたっぷりつけて食べる。


「おいしい!」


ルシーナちゃんにも大満足してもらった。


「あ、ルシーナちゃん専用のコップはまだ作ってなかったね。良ければ俺のコップだけどこれでお水飲んで。お水はウィンティアに出してもらった超おいしい水だよ」


にっこり笑って俺のコップを渡す。


「あ、ありがとうございましゅ!」


なんだか頬を赤らめて水を飲むルシーナちゃん。


「ああ、う、羨ましい・・・」


なぜかイリーナがルシーナちゃんを羨ましがっていた。


この後結構な時間食べたりお話したりしていたので、

フェンベルク卿にめっちゃ怒られることになった。


今後とも「まさスラ」応援よろしくお願いします!

よろしければブックマークや評価よろしくお願い致します。

大変励みになります(^0^)

他にも投稿しています。


ドラゴンリバース 竜・王・転・生

https://ncode.syosetu.com/n1684ew/


魔王様にテンセイ!

https://ncode.syosetu.com/n2011ew/


よろしければぜひご一読頂けましたら幸いです。


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