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第415話 自慢の料理を振る舞おう


「やあアンリちゃん、準備はいいかな?」


白い天幕の一部をめくりあげて、中にいた枢機卿トップのアンリちゃんに声をかける。


「まるで大将やってるって居酒屋の暖簾くぐってるみたいだねぇ」


そんな地球ツッコミを入れてきたのは、ガーデンバール王国のアビィ・フォン・スゲート伯爵だ。

いやさ加藤君だけども。


「なんだい、アビィ君。君も俺の料理目当てなのかい?」


女帝ノーワロディと並んで俺の後ろについてきている加藤君に声をかける。


「もちろんだよ! どうせヤーベ卿の料理なんだ。とんでもないんだろ?」


「まあ、見てのお楽しみだな」


俺はふふんとドヤ顔でふんぞり返る。


「ヤーベさん。準備できましたよ」


アンリちゃんがにこやかな笑みを浮かべて俺に準備OKを告げる。

ちなみに周りのシスターたちは汗をかいている者や、息をきらしている者たちばかりだ。


「アンリ枢機卿様・・・」

「すごい魔力・・・」

「あれだけ浄化の歌を歌って、まだ元気・・・」


シスターたちがアンリ枢機卿に羨望のまなざしを向けている。


「なんだこれは? ヤーベよ、この大釜のどこが料理なのだ?」


そう、俺たちの目の前になるのは、まるで山形の芋煮大会で使うような巨大な鍋である。

その中になみなみと聖水を満たし、そのうえでアンリ枢機卿たちに浄化の魔法をかけて聖水の効力を最大限高めている。


「な、なんだこの巨大な鍋は・・・?」

「これは・・・聖水が温かい?」


ノーワロディが巨大鍋の大きさに圧倒されているが、アビィ卿は巨大鍋に入っている聖水が温かいことに気づいた。


「さすがアビィ卿。沸騰するほどではないが、温かい聖水だよ」


「これで一体何を食べるというんだい・・・?」


アビィ卿が首を傾げ、ノーワロディが目をぱちくりしている。


「これさっ!」


俺はぱちんと指を鳴らす。

すると、さらに奥の白い天幕が外され、そこに横たわる巨体な存在が明らかになる。


「こっ・・・これは!?」

「まさか・・・」


そこに横たわるのは。真っ黒なドラゴンであった。


「まさか・・・この瘴気! 邪竜(イヴィルドラゴン)か!」


「そう、邪竜シュバルツィングスターだよ。ウチの奥さんたちが討伐したんだ」


見れば多くの人たちが清められた白い服装で邪竜シュバルツィングスターの解体作業を行っていた。


「ま、まさか・・・この瘴気まみれの邪竜を食べようってんじゃ・・・」


アビィ卿の顔がヒクつく。


「そう! そのまさかだよ!」


「ヤーベ卿! 邪竜シュバルツィングスターの一番いいところを切り出しましたぞ!」


嬉しそうに語る作業員さん。実は王城の宮廷料理人筆頭の人だったりする。

邪竜解体して食べようって言ったら最初とんでもないって言ってたけど、瘴気を聖水で浄化して清めた肉めっちゃうまいよって説明したらめちゃめちゃ乗り気になった人だ。


解体作業員(多くは料理人だけど、騎士団からも応援が出ている)が瘴気にやられないように神聖魔法で清められた防具やマスクで厳重に防護しながら作業対応している。


宮廷料理人筆頭の人が皿に盛ってきた肉は、黒い瘴気が漂う、とても食べられないような肉だった。


「どーやって食べるのよ、そんなモン!」


ノーワロディがぶちキレているが、そりゃこのまんまじゃ食べられないよ。


「こーやって食べるんだよ」


何のために大鍋の下を魔導具で温めていると思っているんだ。


薄く切ってもらっていた邪竜シュバルツィングスターの肉を橋でつまむと、大鍋の聖水の中につけてしゃぶしゃぶする。


「しゃぶしゃぶかい!?」


「そう、しゃぶしゃぶ」


「しゃぶしゃぶ?」


アビィ卿が驚き、俺が肯定し、ノーワロディが頭をひねっている。


しゃぶしゃぶした肉を聖水から引き上げると、黒く瘴気漂わせていたに具が薄いピンク色になっていた。


パクッ!


「「ええっ!?」」


うま~い!


俺が嬉しそうに口に運んで咀嚼しているのを目を点にして驚いている。


「た、食べちゃった!?」

「あ、味付けしないの!?」


ノーワロディとアビィ卿が驚いているけど、驚いている部分が違うな。


「アビィ卿も食べてみる?」


「うん、いただこうかな。味付けないんだね?」


「そう、邪竜の肉って、旨味がすごいから味付けいらないよ」


「え、本当に食べるの・・・?」


なぜかノーワロディが不安そうにこちらを見てくるが、アビィ卿は気にせず俺から瘴気ただよう肉の乗った皿を受け取ると、新しい箸を使って肉をしゃぶしゃぶした。


「おお~、聖水に清められて瘴気が完全に抜けると、こんなピンク色になるんだねぇ」


目の前にしゃぶしゃぶした肉を引き上げてしげしげと見つめるアビィ卿。


「うん、すごい霜降りの肉だね! A5ランクの一番いいやつみたいだ」


「えーごらんく?」


嬉しそうなアビィ卿が何を言っているのかわからず、胡乱な目を向けているノーワロディの後ろにアナスタシアがやってきた。


「あら、ノーワちゃんも邪竜シュバルツィングスター食べに来たの~?」


「ええっ!? 母上もアレを召し上がったのですか!?」


「ええ、もちろんよ~。私たちが倒したのだし、やーべさんが安全に料理してくれたから、ちょーおいしかったわよ~」


「・・・・・・」


ノーワロディがアナスタシアの説明を受けて呆然としている。


「おお、ヤーベ卿! 邪竜の肉は準備できたのか?」

「本当にお腹壊さないんですかね・・・」

「ヤーベさんの用意するものなら大丈夫でしょう」


バルバロイ王家勢ぞろいですか。国王様に王太子様に王妃様。

その後ろにはガーデンバール王国の国王夫妻も、ラードスリブ王国の国王夫妻も並びだしている。こりゃ忙しくなりそうだ。


「ほれ、食べてみなよ。損はないぜ?」


「アンタにかかわると損しかないのよ」


なぜかジト目で俺を見ながら黒い肉の乗った皿を受け取るノーワロディ。

起用に箸を使って瘴気に犯された黒い肉を清められた聖水の中でしゃぶしゃぶする。


「すごい・・・きれいなピンク・・・」


サシの入った美しいピンク色に変身した肉を見つめるノーワロディ。


「はむっ・・・何コレ!? おいし~~~~!!」


ノーワロディの叫び声に続々と各国のお偉いさんたちが集まってくるのだった。



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