第413話 肉フェスを開催しよう
ポンッ・・・! ポポポポンッ・・・!
地球時代の蚤の市開催を知らせるような煙玉があがり、空で乾いた破裂音を鳴らし、赤や青の煙が流れていく。
「おおっ! あれは何と言う魔導具なのですか!」
早々にツッコミを入れてきたのはイカン=セカイショー王国の王様と宰相様コンビか。
異世界組も、そこそこ人数が集まって来ると、俺の知らない知識を持っている連中も出て来るもので。
ユタカ・・・異世界召喚巻き込まれ組筆頭の和田豊君が、ラノベ知識といっていいのか、火薬の作り方を知っていたので、情報交換の上作成にトライした結果、ポンポン煙玉が完成したというわけだ。
・・・戦国時代タイムスリップ物によくあるう〇こかき混ぜで硝石作成パターンは踏襲しなくて済んだのは僥倖だろう。
ユタカと言えば、チートスキルであるはずの創生錬金術をいまだに扱いこませていない。
火薬の原型ができたんだから、ヘタすりゃ銃弾や手榴弾くらい作れそうなもんなんだが。
いまだにコ〇・コーラの精製に成功していない。ペ〇シも出てこない。ド〇ペかルート〇アしか出てこない。
しかも6:4の割合でルートビ〇の方が多いから始末に負えない・・・どっちでも変わらんか。
「まあ、まだ開発途中ですのねで・・・」
イカン=セカイショー王国の王様と宰相様コンビの質問をのらりくらりとかわす。
何と言っても火薬は武器に転用できてしまう。おいそれと話すわけにはいかない。
・・・だとしたらなんで作ったって話なんだが、リーナと約束しちゃったんだよねぇ・・・。花火作っていつか見せてやるってさ・・・。
リーナが夢で見た花火は確かに説明を聞く限り俺たちが地球時代に見た物のようだし、リーナがあまりに夢で見た光景を嬉しそうに話すので、つい、約束してしまったのだ。
ま、約束したからには頑張らないとね・・・。
そう言って知り合いに丸投げしているけれども。
肉フェス会場はなんと王都郊外の森を切り開いて広いスペースを確保した。
一般客も大勢来ることを見越して準備していたのだが、まさか
各国のお偉いさんたちがこぞって国の威信をかけた肉料理を用意してくるとは思わなかった。
おかげで警備体制の見直し、一般客の参加日程の規制などえらく計画の修正を迫られた。
何せ、『ドラゴニア王国』『グランスィード帝国』『ガーデンバール王国』『バドル三国』『ラードスリブ王国』など、バルバロイ王国周辺の多くの国が参加を表明した。
おかげで各国の専用ブースの設置など、大幅に割り当てを変更せざるを得なくなった。
どの国が狭くて、どの国の場所が悪いとか、いざこざになったら目も当てられないからな。
肉フェスとはいえ、せっかく多くの人が集まったんだ。肉以外でも何か面白い事をしようと、会場の一部に舞台を用意している。
楽団の他には、異世界組の牧原アンナちゃんが歌いたいと申し出ているので、ステージを任せている。彼女も歌姫として名が売れれば、王都でも仕事が舞い込むだろう。ここがチャンスと張り切っているようだ。
「ヤーベよ! ひと勝負しようではないか!」
いきなりケンカを吹っ掛けてきたのは創生の七英雄の一人カシムだ。
なにやらフレッシュゴーレム?的な神の奇跡により、元気な肉体をもらっているらしい。
「ホホホ、今までのカシムとは一味も二味も違いますわよ? 今度こそは覚悟なさることね?」
その後ろにはこちらも創生の七英雄が一人、エトナが扇子を広げて口を隠しながら貴族笑いしている。貴族・・・というよりは、コイツら正真正銘の王子と姫様だったらしいからなぁ。
「行くぞヤーベ! オウカイ拳!」
ドンッ!!
いきなりカシムの魔力出力があがったかと思うと、目にも止まらぬスピードで殴り掛かって来る。
ドガガガガガッ!!
「ふははっ! やるなヤーベ! やはり貴様は我の永遠のライバルだ!」
「悦に入ってるとこわりーけど、俺はお前のようなライバルはいらねーんだよ!」
ドンッ! とカシムの胸に掌底を突き入れ、吹き飛ばし距離を取る。
なにがオウカイ拳だよ、ただの身体強化じゃねーか。
ただし、全身の肉体をバランスよく強化しているせいで、近接格闘戦闘力が3倍近くに跳ね上がっているような気がする。この辺りは身体強化のセンスだろうな。
徐にカシムが両手首を合わせて、まるでドラゴンのような口を手で作った。
「ハ・・・メ・・・ハ・・・メ・・・波ァァァァァァァ!!」
「はあっ!?」
何か知らんが結構な勢いの魔力弾がカシムの突き出した両手から放たれる。
いや、ここ肉フェスの会場ど真ん中ですけど!?
「<細胞捕食吸収>」
とりあえず魔力弾を吸収する。
こんなもん会場で破裂したらカチでテロ行為だよ。
ここにどんなけ各国のお偉いさんが集まってると思ってんだ。
「てか、なんだよハメハメ波って!? 誰からそのネタ聞いたんだ!!」
どこのバカがカシムとエトナにマンガ知識与えやがった!?
「ふふふ・・・お前を倒すためには聖典を読めばいいと学んだのだ!」
そう言ってカシムが取り出したのは『龍玉』と書かれた本だった。
「誰だ! どこのバカがマンガを聖典として販売してやがるっ!!」
俺が叫びながら周りを見渡していると、向こうからイリーナが手を振って走って来た。
「ヤーベ! 私はこれから王都を守る『すいーぱぁ』として仕事することにするぞ! すごくかっこいい!」
見ればイリーナが『街狩』と書かれた本を手に大興奮していた。
「ダメだから! そんな危ないことしちゃダメなの!!」
シティーハ〇ターの略し方それでいいのか!?
「イリーナ! それをどこで手に入れた!?」
「ん? この聖典か? あそこで販売しているぞ?」
イリーナの指さす方向には、勝手に小さな屋台を出しているフカシのナツとユタカの姿が。
「ククク・・・我が脳の秘蔵データを取り出せるとは・・・ユタカ・・・ヤーベよりある意味チート」
「いや~、創生錬金術にこんな使い方があるとはね」
見れば、フカシのナツの頭に手を当てたユタカが右手の空間に大量に積まれた紙束を見ながらスキルを連発している。
完成して現れたのは、なんとマンガだった。
「スキルの多大なるムダ使いっ!?」
「あ、ヤーベ」
「ヤーベさん見てくださいよ、こんなにマンガがどっさり・・・これで大儲けだ!」
フカシのナツとユタカが俺を見ながらも悪い笑顔を作る。
「ククク・・・この他にも薄い本を製作・・・」
「なんと! ソレはたまりませんなぁ」
ゴチンッ! ゴチンッ!
「あいた!」
「あいて!」
どこかの悪代官かエチゴヤ張りに顔を歪ませて笑う二人に俺はゲンコツを見舞う。
「お前たちは方々で怒られろ!」
「ええ~~~、異世界に著作権はない・・・」
フカシがブツブツ文句を言ってくるが、俺はギロリと睨む。
「さあさあ、第1回肉料理フェスティバルを開催いたしますよ―――――!!」
アホな連中をひとまず置いて、俺は肉フェス開催を大声で告げた。
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