第410話 対策は万全に行おう
ネズミ・・・
死にかけのネズミ・・・
腹がざっくりと避けたネズミ・・・
イヤイヤイヤ! スルーの一択っしょ!
ネズミだよ!? ドブネズミだよ!?
キッタナイんだよ!?
ビョーゲンキンの媒介者だよ!?
「チュ・・・チュ~~~」
だからそんな目で俺を見るな!
チワワのCMでどんなけプルプルしたと思ってんだ!
てか、ネコの方が明らかに魔物臭いってどーいう事よ!?
「シャ―――――!!」
おおう、俺に魔獣ドラネコが威嚇を放ってきたぞ。
ムボーにもこの俺様に挑むと抜かすか、魔獣ドラネコよ。
でもなぁ。この世は弱肉強食、常に自己満足で弱きを助け強きを挫くことがいい事ばかりとは限らないんだよなぁ。魔獣ドラネコだって食わなきゃ生きていけないわけだし。
ネズミを助けるって・・・ありか?
少なくとも地球時代だったらネズミ助けようとか思わないよなぁ。イメージ的にも。
ネコ型のロボットだってすごく苦手にしていたし。
でもこの異世界に来て、地球時代よりネズミとか、ヘビとかに苦手意識が無いかもしれないな。
魔獣と結構戦闘しているから、耐性がついたのかもしれないな。
でもな~、このネズミを助けるということはだな、俺のスライム細胞を分け与える以外にない。ネズミはすでに致命傷を受けており、<生命力回復>では助けられない。神聖魔法の<完全治癒>でないと助からないだろう。尤も神も女神も信じていない俺が神聖魔法を使えるはずもないけどな!
俺がスライム細胞を与えて復活させてしまったら、きっとローガやヒヨコ隊長のようなトンデモネズミになる可能性大なんだよなぁ。
・・・アレ? なんか問題でも?
「「「シャギャー!!」」」
おっと、俺が葛藤でうだうだ悩んでいたら魔獣ドラネコたちがシビレを切らして俺に襲い掛かって来た。腹が減っているのか知らんが、さすがにムボーが過ぎやしないか?
俺は女神にメンチ切る男だぞ?
「<雷撃衝>」
指先から極細の触手を魔獣ドラネコに発射。接触させて威力を抑えた<雷撃衝>を放つ。
「「「ギャワワワッ!?」」」
黒い煙を上げながら魔獣ドラネコたちが逃げて行く。
悪く思うなよ。お前たちに恨みはないが、これも自己満足のためだ。
「ふう」
俺は一つ溜息をこぼすと、触手を伸ばしてえぐられたネズミの腹をスライム細胞で塞ぐと、同化を命じる。
「チュ・・・チュチュチュ~~~~~!!」
死ぬ寸前だったネズミがいきなり起き上がるとその場でぐるぐると走り回って喜んだ。
「ふっ、よかったな。もうあんなおっそろしいドラネコたちに見つかるなよ?」
そう言って俺はその場を立ち去ろうとした。
『大将! この命を救ってくださいましてありがとうございやす!!』
大通りに戻ろうと振り向いて一歩歩み出した俺の前に、さっきのネズミが土下座していた。
・・・なんで?
『アッシはチンケなドブネズミでやんすが、大将の役に立ちたいんでさぁ! ぜひ連れて行ってくんなせぇ!』
「・・・ええと、ネズミはちょっと・・・」
どう考えてもカッシーナたちが喜ぶ姿が想像できない。
屋敷の中で見つかったらお掃除メイド隊に追い掛け回されることは必定。
事案発生一直線だ。
『大将! アッシがしがないドブネズミだってことはわかってるんでやんす! ですが。少しでも大将の力になりたいんでやんす! お願いしやす!』
いや、一部の隙も無い土部座をネズミに決められてもなぁ・・・。
「いや、まあそこまで言うなら・・・」
俺は<清潔化>をネズミにかけると、膝をついて手を伸ばす。
『大将!!』
ネズミが俺の手のひらを駆け上がり肩まで登ると、ムフーッと鼻息荒く鎮座する。
「・・・ヘンなヤツ拾っちまったなぁ・・・」
俺は大きくため息を吐いた。
「・・・さて、ここがウチの屋敷なんだが」
『大将の屋敷は豪邸ですな!』
俺の肩で二本足で立つネズミが俺の屋敷を見上げる。
「屋敷の中を移動するときは他の連中に気をつけろ・・・。特に俺の奥さんとお掃除メイド隊には気をつけろ。お前は排除対象だ」
『・・・肝に銘じておきやす!』
「とりあえず、外回りを終えて帰って来たお前が屋敷に入る前に綺麗にできる場所が必要か・・・」
俺は一人ブツブツ呟きながらローガ達の厩舎の裏に歩いて来た。
「ここだな」
厩舎の裏側に土魔法で穴を掘り、奇跡の泉の水を浸す。その周りを小山のように土で盛り上げて泉を隠す。
小山の左右に穴を開けてネズミが出入りできる様にしておく。
「屋敷に入る前に、この小山の中の泉で体を洗って綺麗にしてから入って来いよ?」
『大将! そ、そんなにまでオレっちの事を・・・』
ネズミが感動しているが、ぶっちゃけネズミの事を考えたわけではない。
カッシーナ達に見つかったらまず間違いなくお説教事案だからだ。
「いいか、あの屋敷の構造はな・・・」
奥さんズの各部屋、食糧庫、食堂や台所など、ネズミの姿が見られれば悪即斬の懸案になりかねないところを細かく説明していく。
「さて、お前が俺にどんな役に立ってくれるかはわからんが・・・呼び名を決めないと困るよな」
『も、もしかして・・・アッシに名前を!?』
「お前の名は・・・」
「チュ・・・」
ネズミがごくりと唾をのみ込み、俺を真剣に見つめる。
「お前の名はチュースケだ!!」
「チュ・・・チュ――――!!」
なんか、喜ばれた。
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