第407話 国家間の結束を固めよう
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「ハフッ、ハフッ! うまい具合に焼けてるなぁ~」
「おお、ヤーベ卿! どれがもう焼けているのだ?」
「それ、もう大丈夫ですよ」
「おおっ! これか! ガブッ! ウマッ!」
「いや~、肉汁ブシャーってね! それにしても女神があんなに残念だとどうしたもんかなぁ」
「おう、それそれ! ウマッ! しかし実際に女神様に会うとはなぁ、ハフッ! ハフッ!」
「・・・国王様、ヤーベ卿、こんな大事な話を、なぜバーベキューなる立食を行いながらしているのです?」
「んんっ? こんな話、旨い肉でも食べながらでないとやってられませんが、なにか?」
「なにかって・・・」
俺の反論に呆然とするルベルク宰相。
「まあ固いことを言うな、ルベルク。この肉などかなり柔らかいぞ?」
「その肉はブラックリングカーヴのシャトーブリアン、一番イイトコですよ」
「おお、それは食さねば!」
「いや、ワーレンハイド国王様・・・」
右手で顔を覆い大きくため息を吐くルベルク宰相。
「アニキ! こっちの肉もいい感じに焼けましたよ!」
両手で肉串を持って騒いでいるのはドラゴニア王国のバーゼル国王だ。
うれしそうに肉を両手で振り回している。肉に塗ったタレが飛び散るからやめなさい。
女神がどうとかより、俺とメシが食える方が重要らしい。
だからってかわいい奴だとか思ったりしないからな?
「兄上! 少しは自重してください! 他の国々の国王様や重鎮方もいらっしゃるのですよ! ドラゴニア王国の威厳が損なわれます!」
バーゼル国王に噛みついているのは妹のロザリーナだ。
俺の奥さんでもあるが。
「し、しかしだな・・・、久しぶりにアニキに会えたというのに・・・」
「大体兄上はアニキアニキと御屋形様に気安いのです!」
「アニキはアニキなんだから仕方ないだろ!」
しまいには兄妹喧嘩が始まってしまったな。
ロザリーナは兄のバーゼルにもっと国王らしく振る舞ってもらいたいらしいな。
・・・無理じゃないか?
国務大臣のパーシバルは恥ずかしそうに縮こまり、軍務大臣のガレンシアは呆れたように肩を竦めた。ドラゴニア王国は平和だな。
「ホントにもう・・・女神に喧嘩売るとか、アイツ頭おかしいんじゃないの・・・」
大きくため息を吐いているのはグランスィード帝国初の女帝、ノーワロディ・ルアブ・グランスィードだ。
ため息ついているくせに、その右手にはしっかりとイイトコの肉串が握られているのはさすがだ。
「でもね~、結構感じ悪い女だったわよ~」
「ひとって・・・」
ノーワロディがジト目を向けたのは実の母親であるアナスタシアである。
「そんなことよりごめんね~、私が魔王の娘だって隠してて~。ただでさえ魔族とのハーフだっていうのに、また肩身の狭い思いをさせちゃうかも~」
言っていることは結構大変な事のような気がするが、ゆるふわぽよぽよな感じでアナスタシアがノーワロディに説明した。
「そんなこと関係ないよ! 私はお母さんの娘ってことに誇りを持ってるんだから! むしろあのクズ親父の血が半分入っていることにヘドが出るわよ!」
おおう、心底父親嫌いなんだなぁ。そういや、彼女の話では彼女の父親はあまりにクズっぷりがひどくて、母親のためだけでなく、国民のために父親の首を討ったって話だったな。
そして、アナスタシアがノーワロディの頭を撫でてイイコイイコしている。アナスタシアの癒しパワーを受ければノーワロディも元気になるだろう。
・・・俺も後で癒されよう。
「ふおおっ!? ご主人しゃまは癒しが必要でしゅか! ならばリーナがイイコイイコするでしゅ!」
そう言ってどこからか持ち出した木製のみかん箱を3箱も積み上げて俺の頭を撫でてイイコイイコしてくれるリーナ。極楽や~、天使や~。
いつもは遠慮なく肩に乗っかってきたり、頭に抱き着いてきたりするリーナだが、イイコイイコするときは俺の体に触れずに頭だけを撫でるのがこだわりらしい。
「ほっほっほ、良き光景じゃ。欲を言えばリーナちゃんのようなかわいい子供が早くフィレオンティーナとの間にできるといいのう」
「そうですねぇ、早く孫の顔が見たいですわねぇ」
「お、お父様お母様・・・」
フィレオンティーナの肩にポンと手を置いて微笑んでいるのはラードスリブ王国のロイド・テラハイド・ラードスリブその人であり、その横には王妃であるアレーシアさんもいる。何せフィレオンティーナのご両親だからな。季節毎には美味しいものを贈っているんだが、なかなか会いには行っていないな。
その後ろにバドル三国の首脳たちが小さくなって固まっている。
居場所が無く居心地悪そうだな。とりあえず肉食え、肉。うまいぞ。
「カッシーナ、女神クリスティーナはお美しかったですか?」
「え、ええ・・・美しいと言えば美しかったですが・・・」
カッシーナにグイグイきて女神情報を引き出そうとしているのはガーデンバール王国の王太子妃であるコーデリア妃だ。カッシーナの実の姉でもある。その横にはガーデンバール王国の王太子、セルシオ殿にガーデンバール王国の現国王セルジア・ヴァン・ガーデンバール王が並んでいる。
どうやらコーデリア妃は熱心なクリスティーナ教の信者らしいな。
俺もあまり女神クリスティーナの悪口言ってがっかりさせないようにしないとな。
・・・各国のお偉い様が勢ぞろいだが、どうやって集めたのかって?
もちろん俺様の切り札である転移は使っていないし、バラしてもいない。
だが、通常のワイバーンでは時間もかかるし、数も足りないし、ワイバーンたちも長時間飛べないという問題がある。
そこで俺様はワイバーンの一頭を取り込んで形を覚えると、スライム細胞でワイバーンを複製した。取り込んで形を覚えたワイバーンは解放後なぜかぐったりしていたが、きっと俺のせいではない、うん。
そんなわけで、スライム細胞で複製したワイバーンに俺の核のコピーを植え付け、各国に輸送ゴンドラを持たせて送り込んだのだ。通常のワイバーンと違い、俺の魔力で動かす複製ワイバーンは超高速飛行が可能でさらに長時間休みなく飛べる。そんなわけで各国の重要人物を短時間でこのバルバロイ王国に呼び寄せることができたのだ。
複製ワイバーンの首には各国の国王向けの重要書簡を入れた筒を装備させておいた。女神クリスティーナに関する重要な報告と今後の人類国家間の進むべき報告を話し合う会合を開きたいと連絡したのだ。
その催しをバーベキューという形で開いているのだが。
「しかし、肉を食いながら今後の世界的な方針を話し合うとは・・・ヤーベ卿の豪胆さには驚かせられるわ」
「常識が通用しないだけでしょう」
ガーデンバール王国のセルジア国王が笑えば、グランスィード帝国の女帝ノーワロディが俺をけなす。
「それでヤーベ卿。やはり人類一丸となって女神クリスティーナに対応していくつもりか・・・?」
ワーレンハイド国王が小声でそっと俺に耳打ちする。
「いや、表立って女神クリスティーナに敵意を見せれば、神々の反感を買うかもしれません。ここは女神クリスティーナ以外の神々の存在も調べながら、万一神々が我々を粛清にかかるような事態が起きた時に対応できるような地力を我々人類が少しづつ蓄えていきましょう」
「なるほど・・・」
女神クリスティーナの真実を大きな声では言えないが、俺は大陸の西側諸国の面々と神々に対応すべく足並みを揃えていくことにした。
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