第406話 イラつく気持ちは食欲にぶつけよう
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ガツガツガツッ! パクッ! ムシャッ! ゴッゴッゴッ!!
バクバクバクッ! ザクッ! ブチュッ! ゴキュゴキュッ!!
「いやはや、英雄殿は健啖家でいらっしゃる・・・」
「まっことそのとおりですなあ」
「ア“ァ”?」
「「イエイエなにも!」」
一心不乱にメシを詰め込む俺様。
なんだか咀嚼音が人気とか意味不明だが、ラノベで書かれるともっと意味不明だろうなぁ。
で、俺様に声をかけて来た偉そう恰好をした二人がスゴスゴと下がっていく。
何の用だったんだ? まあ俺様には関係ないな。
「おい、ヤーベ・・・もう少し落ち着いて食べたらどうだ?」
「ア“ァ”?」
「はあ・・・ヤーベ態度が怖いぞ・・・?」
「んがんぐっ!?」
「ホントにもう・・・ホラ、水だ」
声をかけてくれていたイリーナが俺の前に水を置いてくれる。
「んごんごんごっ!!」
「もっと落ち着いて飲んだらどうだ・・・」
なんだかイリーナが残念な子を見るような目つきをしている。なぜだ。
「ふう・・・少しは落ち着きました? あなた」
イリーナの隣に来たのはカッシーナだ。
見れば他の奥さんズのみんなは遠巻きに俺を心配そうに見ていた。
「落ち着いた?」
「相当イラついているように見えますわよ? お食事に当たらなくても、と思ってしまいましたわ」
苦笑しながらカッシーナが言う。
そうか、そんなに俺はイラついているように見えたか。
「やはり、あの女神の態度でしょうか?」
カッシーナが少し心配そうに俺の顔を覗き込む。
「ああ・・・人々が最大信奉している女神クリスティーナがあれではな・・・」
「女神には何も期待できないという事か・・・」
イリーナが腕を組んで唸る。
「期待できないどころか・・・あのバカ使徒のように、ヘタすりゃ俺たちをオモチャ扱いして世界を混乱に陥れかねない」
俺は鳥のモモ肉をかぶりつくと、引きちぎるように食らう。
「むう・・・それで常々ヤーベはオノレカミメガ!と呪詛を呟いているのだな」
いや、イリーナさん。オレそんなに頻繁に神呪ってる?
「それでも、さすがに国王様と宰相様にあの態度はないと思いますわよ?」
カッシーナが仕方のない人だと溜息を吐く。
「んんっ? そんな偉い人いた?」
「ホラ、あそこに」
カッシーナが指さすところには、なぜか震えながら肩を抱きあうイカン・セカイショー王国の国王様と宰相様が。
「ホントだ」
そういや、俺たちは女神とひと悶着あった後、リーナの故郷の村に一度帰って、リーナを家族団らんのために置いて来た。ギャン泣きしていたが、<古代竜>のミーティアも一緒に残ってもらってリーナ一人が不安にならないよう配慮して来た。
リーナの里帰りを一緒にマンキツしたかったのだが、どうしても俺にはやることがあった。
そう、ちみっこ魔王アレーシアとクソ女神の報告を各国にしておかなければならない。
とりあえずイカン・セカイショー王国に戻って、魔王の無力化と人族国家での生活のための教育を施す報告を行って、魔王の脅威を取り払ったから、今後二度と異世界召喚儀式を行わないよう厳命しておかねば。
もう魔王の脅威が無いのに異世界召喚して勇者増やしたら・・・マジで地獄見せちゃる。
そこへ、ガラガラと反物を積んだワゴンを侍女が押してきた。
「え、英雄ヤーベ様! この度はお見事な活躍おめでとうございます。こちらはイカン・セカイショー王国より心ばかりの贈物でございます。両国の友好を永久的なものとできるよう、是非ともお受け取りの程よろしくお願い致します!」
なんだか、ぷるぷる震えながら緊張しまくっている侍女さんがワゴンに積まれた反物を持って来てくれる。これで絨毯つくれってか。
後、国王様と宰相様が首を捻ってる。国王や宰相が知らない貢ぎ物って、ヤバイ匂いしかしないんだが。
「反物はもらってもいいけどね。反物だけは」
俺の言葉に侍女がビクリと反応した。
「反物だけ?」
カッシーナが首を捻るが、俺の説明より先に反物が積まれたワゴンから声がする。
「ちょっとー! 何でバレちゃってるワケ!?」
ワゴンからいきなり聞こえた声にカッシーナたちが驚いているが、俺は特に驚きはしない。
「呼ばれて飛び出てぱんぱかぱ~ん! ミリアーナやで~」
「呼んでない」
反物を下から吹き飛ばして、幼女が飛び出て来たかと思うと、うっふんとモデルポーズをとる。
「なななっ!?」
「両国の永遠の友好って・・・」
驚くカッシーナの横で、その意味合いを感じ取ったのか、イリーナが国王たちにジト目を向ける。
ブンブンと横に首を振る国王様と宰相様。どうやら二人もあずかり知らぬ事らしい。
幼女の独断専行か?
「そやった! 呼ばれず飛び出てぱんぱかぱ~ん! やった!」
「いや、そこで無理やり現実主義勇者の王○再建記のロ○ア姫かよ」
「○の伏字が意味ないくらい長いタイトルのラノベだで・・・おでも好きで読んでたけども」
「オラもコミカライズもアニメも見てただよ! どぜう〇先生のストーリーは最高だべ!」
「レッドよ、伏字の使い方が秀逸だな」
「いや、コッチ飛び出て来てんじゃん! 何でガン無視なのよ!? なんでムサいオッサン3人で盛り上がってるのよ!?」
呼んでないと一刀両断した後、相手をしなかったらワゴンの上で幼女が地団太を踏み始めた。このまま放置するとワゴンの上で地団太からコサックダンスに移行してしまうかもしれない。
「おい、関西弁が無くなってるぞ?」
「元々関西出身じゃないのよ!!」
なんだ、ただのネタだったのか。
それにしたって<気配感知>や<魔力感知>スキルのある俺に何の処置もなくただ隠れて近づいて来たって、そりゃ丸わかりだよ。
ウキウキでワゴンの中に隠れてる幼女の気配がビンビンだったからね。
「ミリアーナよ、英雄ヤーベ殿の元へ嫁ぐと申すか?」
ふらふらとやって来る国王様が信じられないと言った表情でミリアーナ王女の肩をつかんでいる。そりゃそうか、こんな幼女が俺に自分を貢物とか、もっと自分を大切にしろってことだよな。
「そうよ、お父様」
「よくぞ言った! さすがは我が娘じゃ!!」
「いいんかい!!」
よくねーよ、止めろよ、父親何だから。
「まずは順番をきちんと守っていただかないと」
順番?
「ヤーベ様、改めまして魔王討伐粛清の成功おめでとうございます」
「誠に見事なご活躍ぶりですな」
おおう、悪役令嬢捏造断罪イベに巻き込まれていたカトリーナ嬢とロッテンハイム公爵家当主、リーザマイヤ・フォン・ロッテンハイム殿ではないですか。何用だろう?
「結婚の申し込みはまず私の方が先ですから」
「これは王家と言えど譲れませんぞ?」
おおう、一体どういう事?
ちょっと悪役令嬢イベから助けただけで、結婚申し込みとか、チョロインすぎんか?
フラグどこでおっ立てた?
ああ、カッシーナたちがジト目でこちらを見ている。
奥さんズがジト目ーズになってしまった。
「ええい! 魔王の脅威は去った! 異世界召喚以後禁止! ずーっと禁止!! 以上!!」
早くバルバロイ王国に帰ってワーレンハイド国王にも魔王の脅威が去ったことと、女神クリスティーナがクソだってことを報告せねば!!
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