投稿3年半記念 ヤーベ、異世界に召喚される ⑥
遅くなりました。
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綺麗に土下座を決める小さな水の精。
俺はウィンティアに目を向ける。
「水の精って?」
「簡単に言うと私たち精霊の子供ってイメージかしら。水の精は赤ちゃんや子供、私たちは精霊の大人と言えるかもね」
「・・・その水の精がなんできれいな土下座を決めているの?」
「う~ん、きっとヤーベさんに敵対的な態度を取ってたけど、そのヤーベさんが私を使役しているじゃない? だから、水の精にとってはとんでもない上位の存在に喧嘩を売っちゃった・・・って感じかしら?」
「あ~、じゃああの水の精の存在を消したりせずに、この世界にもう干渉しないようにって命令できる?」
「できるよ」
そう言って土下座している水の精に向けて手をかざすように右手を向けるウィンティア。
水の精が急にビクッと震えると、頭を上げてコクコクと高速で頷くとそのまま消えた。
うわ~、話早っ!
「な、何をしたんだキサマァァァァァァ!!!」
何やら自称勇者が騒いでいるな。
「それで、そちらのお嬢さんはまだやるのかい?」
俺は勇者とやらを無視して、その後ろにいた女性に問いかける。
首をプルプルと振ると「降参します・・・」と小さく呟く聖女と呼ばれた女性。うん、平和的に終わってよかった。
「また、何かあれば呼ぶよ」
「OK!」
そう言って水の精霊ウィンティアは姿を消した。
ここに残るのは唖然としたギルマスと呆然としたサブマス、そのた大勢の観客たち。
それと地面に座りこんでいる二人と憤っている自称勇者。後降参した聖女さん。
「よし、無事終了」
「無事っていうかな!?」
俺の後ろから俺の頭をつかんで揺するビット少年。
「あ~、とにかく決闘は終了でいいな」
「勇者たちの召喚獣が消えてしまったんですよ! どう責任をとるおつもりですか!」
そういうギルマスにサブマスが食ってかかる。
「何、責任って? 決闘だって喧嘩売って来て、負けて召喚獣が消えたら責任って、どんなけバカなんだよ? だったら決闘なんて最初からさせんじゃねーよ、アホか」
「貴様ッ!」
サブマスが激昂するが、全く持って理解できないね。
常に自分たちの都合のいいように物事が進んで、自分たちの不都合が起こらないとでも思っているような態度だもんな。
俺は勇者たち4人を見る。
泣き崩れる2人と呆然とする勇者とやら。
聖女はおろおろしている。
いかに今まで苦難を乗り越えるような経験をしてこなかったかがうかがえる。
得られた召喚獣の能力に頼り切り、力で無双してきただけのただの小物だ。
自身の経験を高め、強敵に立ち向かい、己の信念をかけて戦って来ていれば、このザマはなかっただろう。
「ふっ。勇者? 一体何を勘違いしたんだかな・・・」
「きっ・・・貴様ッ!!」
サブマスが再び激昂するが、なんでサブマスが怒ってるんだろうか。
お前勇者の後見人か何かか?
「ギルマス! 大変です!!」
「なんだ、どうした?」
冒険者ギルドのスタッフらしき男が走り込んできた。
「この公都にワイバーンの群れが向かっているとのことです!」
「何だとっ!? どのくらいだ!!」
「その数100頭以上との報告! 公都を急襲する勢いで、報告では到着は30分以内とのことです!!」
「バ、バカなっ!?」
ギルマスが愕然とする。
100頭以上のワイバーンがどれほど脅威なのかは知らんが、少なくとも30分程度で到着してしまうまで情報が上がってこなかったのは問題だろうな。
それほど突発的なものか、それとも他国の侵略か・・・まあ、俺には関係ないか。
「いや、なんで関係ないって顔してるの!?」
「おや、なぜビット少年は俺のココロが読めるのかね?」
「一応ボクが召喚主だからね?」
「そういえばそんなこともあったっけ」
「これほど召喚主を大事にしない召喚獣って初めて聞くよ・・・」
なんでもビット少年は吟遊詩人たちが村で歌う召喚獣との絆の物語が大好きなんだって。
特に召喚主を命を懸けて守る召喚獣の話とか・・・って縁起でもないなぁ。
ぶっちゃけビット少年とそれほどの絆は感じていないぞ。奥さんズじゃあるまいし。
「貴様ッ! 貴様のせいでこの公都が存亡の危機だぞ!!」
「そうだっ! 貴様のせいで俺が戦えなくなったんだぞ! 責任とれ!!」
うーん、ダメな連中って、すぐ人のせいにするよね!
「あのなぁ。このクズ勇者がワイバーン100頭以上を倒せるとでも思っているのか?」
俺はギルマスに視線を向けてみるが、ギルマスはゆっくりと首を振る。
「まあ、無理だろうな」
そう言うとワイバーン襲来を告げてきたスタッフにCランク以上の召喚士をすぐ招集するよう連絡する。
「フム・・・退屈しのぎにはなるだろう・・・力を貸してやろうか?」
俺はニヤリと笑う・・・が、今の俺の姿はデローンMk.Ⅱだったな。
「・・・ああ、正直お前さんだけが頼りかもな。報酬は弾む。この街を守ってくれ」
「フッ・・・ワイバーンごとき、何百何千だろうと俺の敵ではない」
「フッ・・・頼もしい事だ」
俺はギルマスの後をついて建物の外へ出ていく。
「・・・なんで召喚主のボクを無視して話が進んでいくんだろう・・・?」
ビット少年はナットクがいかなかった。
「おお、爽快な景色だな」
「どこがだよっ!?」
隣のギルマスが怒鳴る。
公都の防壁上から襲来するワイバーンを見る。
「他の召喚士たちの集まり具合は?」
「まだほとんど。何分時間が無さすぎる」
眉を顰め大空を埋め尽くす勢いのワイバーンを睨みつけるギルマス。
「じゃ、俺が片づけるか」
俺は触手を2本伸ばすと、空へ向けて魔法を準備する。
空に多くの魔法陣が浮かび、それとは別に水で出来たレンズが大量に浮かび上がる。
「<砲弾反射陣>」
キュイイイイン!!
「発射っ!!」
ドドドドドドドン!!
派手な音とともに光弾が魔法陣から発射され、ワイバーンを貫いていく。
そして貫いた光弾や外れた光弾も水で出来たレンズで反射され、ワイバーンの死角から再度急襲する。
超有名なスライム魔王様だと、太陽エネルギーを大賢者様がレンズの角度の最適化を行って敵を討つうようだけど、俺にはそんなチート能力はないのでね。カンでいろいろやって経験を貯めようって・・・はい、ウソですけど何か? カンでいろいろやるけど、魔力を込めた水で空中に作り出した反射用レンズは水の精霊ウィンティアにコントロールしてもらってます。所謂丸投げってやつですな。目的は敵の殲滅って伝えてるから、いい具合に反射角をコントロールしてもらっているのだ。
・・・そんなわけで俺のチートではない。ウィンティアがチートなのだ、うん。
「こ、こんな・・・バカな・・・」
次々と打ち落とされて行くワイバーンを見て、見ればサブマスが顎が外れるほど驚いている。
「なんだ、街が守られることに文句でもあるのか?」
俺は触手をへにょりとまげて溜息を吐いた。
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