投稿3年半記念 ヤーベ、異世界に召喚される ⑤
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「キミの召喚獣なのかい? 傍若無人な振る舞いを見逃すわけにはいかないね。年端もいかない少年のようだし、危険な召喚獣は始末することにして冒険者などではなく真っ当に仕事につくことを推奨するよ」
如何にもまともな事を言ってますと言わんばかりの偉そうな態度で勇者とやらが物申す。
お前の意見だけで少年の未来の道を勝手に閉ざすんじゃないよ。
ストレートの黒髪を肩まで伸ばしたいけ好かない似非イケメンタイプ。好きになれる要素が見つからない。白長洲のような全身クズですオーラが出まくってるヤツも鬱陶しいが、いかにも自分が正しく正義ですヅラする自称勇者もぶん殴りたいくらい嫌い。
ラノベで言うと、所謂天○河タイプの勇者な。
それにしても、見た目でキショイから抹殺って、どこの悪逆非道キャラだよ。
傍若無人すぎないか?
「よー、ギルマス」
「なんだ?」
俺は足元に3匹の召喚獣を転がしたままギルマスに問いかけた。
「何? この国って、勇者はこんなヤツしかいないわけ? いきなり見た目に因縁つけてきて、勇者パーティと言うよりはタチの悪いチンピラパーティにしか見えないが?」
俺は思ったことをストレートに口にする。
もっとも思った事の半分だな。もう半分はヤロー1人で女3人パーティーとか、クソ勇者モゲろ! と思ったがそっちは口にしていないぞ。俺は自重できるスライムだ。
「誰がチンピラよ! 気色の悪いスライムなんか一瞬で蒸発させてやるわ!」
赤いローブの魔法使い風の女が息巻いている。
さっきサラマンダーがどうとか言っていた女だな。
サラマンダーごとき召喚したところでどうというほどの事もなかろうに。
俺やローガはレッドドラゴンに『火トカゲとは小さき者ですなぁ』などと煽りくれるからね。サラマンダーなんて本物の火トカゲだから。問題外だな、アウト、オブ、眼中とも言う。
「勇者として馬鹿にされては引き下がれないね。どうせ君は抹殺しなければならないんだ。ギルドの地下訓練所で決闘と行こう。まさか逃げるなどとは言うまいね?」
勇者とやらも眉を吊り上げて決闘だと騒ぐ。
ところで、勇者の召喚獣ブッ殺したら問題になるのかねぇ? でもまあ勇者から決闘を申し込まれたわけだしな。自分の召喚獣が負けて殺されて自分が召喚士として働けなくなることも織り込み済みだろ? それがリスク管理ってもんだ。
召喚獣の居なくなった勇者・・・おお、何の価値も見いだせねぇ。
「ねー、こんなガラの悪い連中がSランクの勇者パーティーとか言ってのさばってるワケ? 案外治安、悪い国なんだねー」
そんな俺の言葉にギルマスが苦虫を50匹くらい噛み締めたような表様になる。
あら、これは勇者たちの態度に困っている感じだね。
「もしかして、あの連中の召喚獣の強さが、他に類を見ないからこの国を守っていくには、あの連中が増長しちゃっても仕方ないってトコロ? 止められるほど力を持っているヤツもいないから?」
「・・・まあ、そうだ」
はい確定! 鼻持ちならない連中がグレードの高い召喚獣引き当てて粋がっていると。
もっともSランクに認定されているのだから、最低でもそれなりの討伐実績があるという事か。
「・・・君はずいぶんと卑劣かつ最低な召喚獣のようだね。世の中に害悪しかもたらさない存在のようだ」
「随分と一方的な決めつけだな」
俺はハハンと触手を2本、へにょりとさせてまるで手のひらを上に向けて肩をすくませているような態度を取る。
「我々国のために働く勇者パーティーにケチをつけるような召喚獣に価値なんてないだろうさ」
「国のために働いているからと言って、偉っそうで横柄な態度な上、初対面で殺すとか消し飛ばすとかぬかす連中に礼儀もくそもないわな。国のために働いてりゃ、何をしてもいいってもんでもないだろう?」
「君が冒険者ギルドで暴れている。それだけで十分な状況証拠というものさ」
髪をわざわざかき上げた上でビシッと人の事を指さす。ウザイ。
「どうしてこの3匹が俺に襲い掛かってきたと思わない? 俺の方が被害者かもしれないだろ?」
「君の態度でそれはないだろうさ。一目瞭然だ。君が冒険者ギルドで暴れてそれを止めようとした善良な召喚士たちの召喚獣を踏みにじっている。許せないな、ボクが相手になろう!」
・・・マジで人の話を全然聞かない天○河タイプの勇者かよ。自分の思い込んだ世界が真実っていう、流れる様に自分に都合のいいようにご都合解釈する、会話が通じないタイプ。マジで一番嫌いだよ、こーいうヤツ!
そのまま流れる様に地下訓練場に連れてこられる。
誰も止めやしねぇ。
勇者連中の後ろからさっき土下座してた3人が嬉しそうについて来る。
自分の召喚獣が殺される寸前だったところを助けてもらった上に、勇者が決闘という名で俺を制裁すると期待しまくりのようだ。
「<スライム的地獄耳>」
俺は目に見えないレベルでのスライム触手を張り巡らし、ギルド内や街中での勇者パーティの情報を瞬時に集める。
「・・・お前ら、マジで評判悪いな・・・」
俺は溜息を大きく吐く。
「なんですって!?」
街中で聞いた一般人の評価は想像通りだが、冒険者ギルド内でもさっきの3人以外には評判悪いんだよなー、こいつら。やっぱいつも態度がでかいらしい。
「まずお前」
俺は派手な赤ローブの魔法使いの女を指さす・・・触手で指す。
「な、なによっ!?」
「お前、この街の大手服飾店で金も払わずに服や装飾品を奪っているな? しかも自分が着てやったり身に着けることで感謝しろとまで言って」
「な、ホ、ホントの事でしょ! なんなら服や装飾だけでなく、お金まで欲しいくらいだわ! 私が身に着けてやってるんですからね!」
すがすがしいほどのクズっぷりだ。
どうもこの世界では服のブランド化、などの概念は無いようだ。
ほとんどの服屋はどれもオーダーメードでの仕立てが基本のようだ。
つまり、貴族のパーティでどこどこのお店の服ですわ~などと自慢しない限りは、冒険者に着られていてもどこの店の物かわからないので店にとってのうまみはない。
しかもこの女、いろんな店で同じことを繰り返していた。1店舗なら常にあの店の常連、というイメージもつくだろうが、それすらない。
その上で最近の増長ぶりから当人の評価がダダ下がりのため、この女に絡まれる服飾店は単なるいい迷惑でしかない。
「次にお前」
「へ? アタシ?」
前衛を務めていそうな剣士風の女に触手を向ける。
「お前、相当食い意地がはっているようだな。いろんな店でタダ飯を強要しているらしいな。すごぶる評判が悪いぞ。最近はお前の顔を遠くから見ると『営業を終了しました』の看板を出されているようだぞ。身に覚えがあるだろ」
「げっ!? 最近お気に入りの店が営業してないと思ったらそういうことだったのかよ!」
あの連中~アタシのゴーレムで店の扉無理やり開けてやる!なんて息巻いてやがる。反省の色なしだな。
もう一人の神官風の女性はどうやらこのパーティの勇め役らしいが、いかんせん機能していない。
「あと、勇者のお前・・・はいいか。もう話したくもないわ。シンプルに自分勝手な自己正義を振り回すただのガキ・・・それがお前の評価だ」
「・・・もう許さない。出でよウィンディーネ!!」
勇者の後ろに水が浮かび上がり妖精の形を作っていく。
体長は50cmくらい? 小さいなぁ。水の精霊というよりは、水の妖精みたいな?
「出てらっしゃい、サラマンダー!」
『ギャオオオッ!!』
「出て来い! ガードゴーレム!!」
『ゴゴゴゴッ!!』
赤いトカゲが体長3m程度か? 口から赤い舌がチロチロ見えている。火は出てないのか。ファイアブレスは腹の中で作るのかな?
ガードゴーレムとやらは体長2m越えの土くれだな。実に大したことなさそうだ。
「・・・それでは決闘を・・・」
「ファイアブレス!!」
『ギャオオオッ!!』
「いっけー! メガトンパンチ!!」
『ゴゴゴゴッ!!』
ギルマスの始めの言葉を待たずにサラマンダーとゴーレムが俺に攻撃を仕掛ける。
炎の中をゴーレムが突っ込んで殴り掛かって来る。
なるほど、土くれのゴーレムは炎が効かないから炎に焼かれている俺に直接攻撃を加えるって、まあいいコンビネーションかな。
「<細胞防御>」
ガキィィィン!
俺が前方に伸ばした触手の先からシールドの様に展開した俺の細胞により、炎は俺まで届かず、ゴーレムのパンチも防がれる。
「なっ・・・!?」
「まさかっ!?」
「ではこちらの番だ・・・覚悟はいいな?」
「ふざけるなっ! サラマンダー最大出力よ!」
「ゴーレム! フルパワーで押せっ!」
そんな連中を冷めた目で見ながら俺は触手を2本、それぞれの召喚獣に向ける。
「<滅殺光線>」
キュイン。
何かが光った、その一瞬。
サラマンダーの脳天に穴が開き、ゴーレムの胸にある核にも穴が開く。
そして召喚獣たちがドロドロと溶けて地面に液体になる。
「いやああああああああああ!!!」
「うわああああああああああ!!!」
女魔法使いと女剣士が絶叫しながらドロドロ溶けていく召喚獣に駆け寄る。
最初に倒した狼の召喚獣を操っていた少年もおんなじだったが、ドロドロに溶けていくと目で見ても信じたくないのか、縋ろうとするんだよな。
「貴様ッ!! よくも仲間の召喚獣を!!」
「いや、それでキレるのおかしくないか? 今お前たちの方が決闘を無理やり押し付けて来たんだろう? それで負けてキレるのか? 人に決闘だと喧嘩売っておいて自分たちが何一つ傷つかないとなぜ思っていた? 頭悪いにもほどがあるだろう」
半狂乱になっている女魔術師と女剣士をよそに、俺の言葉にさらに怒りを見せる勇者が水の精霊だか妖精だかをけしかけてくる。
「ウォーターレーザー!!」
まっすぐ伸びてきた水が俺の目の前でバシャンと音を立てて飛び散った。俺が再度展開した細胞壁に当たってあっさりと消え去ったのだ。
「なっ!?」
「こんな子供の遊びみたいな水鉄砲でホントに勝てると思ってんのかねぇ」
無傷の俺に驚く勇者だが、こんな水鉄砲で何が殺せるんだろう? ゴブリンとかに勝てるのかね、この勇者。
「ちょうどいいや、おーい! ウィンティア~、出てこれる?」
俺の問いかけに少し間を置いて水の精霊ウィンティアが姿を現す。
「はいは~い、ボクのこと呼んだ~? あれ~? ヤーベさんどこにいるのかと思ったよ~。なんで違う世界にいるの?」
「いや、それについては俺も聞きたい」
おう、問題なく召喚に応じてくれたな、水の精霊、ショートカットのボクっ娘ウィンティア。ウィンティアの身長は160~170cmくらい? 高校生くらいのイメージだ。どこかの小さな妖精ちゃんとは違うのだよ。
「あら? 随分とかわいらしい水の精ね?」
ああ、水の精霊じゃなくて、水の精ね・・・。何が違うんだろうとも思うが、きっと精霊の下位互換?みたいな感じだろうか?
そう思ってふと見れば、勇者の前で水の精がきれいな土下座を決めていた・・・なんで?
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