投稿3年半記念 ヤーベ、異世界に召喚される ②
・・・この話、なんだか長くなりそうな予感・・・(悪夢!?)
「ココ、ドコ!?」
いやいや、ちょっと落ち着こうじゃないかキミィ・・・。
俺は執務室の仮眠用ベッドにダイブしたはずだぞ・・・。
だが、気づけばこんなところにいる。
これは・・・夢!?
俺は自分で自分のホホ(?)を抓ってみる。
「ウム・・・痛くない。夢だな・・・ってスライムの俺に痛覚ないわ!」
俺は自分で自分にツッコミを入れる。
「な、なななんだコイツ!?」
「ダイちゃんヤバくないか!?」
「どうするっ!?」
ん? 見れば金髪の小僧が寝っ転がっているな・・・。
その向こうにも小僧が3人。そして・・・魔物?が3匹・・・。
周りを見渡すと、どこかの町の路地裏・・・か?
なんで町の中に魔物がいるんだ?
「ヘッ! ビットのヤツが召喚したってことは単なる雑魚のスライムだろ! 俺様の召喚獣<森の狼>だ! 雑魚スライムごときに負けやしねぇ! それに・・・」
「それに?」
取り巻きの少年が問いかけた。
「一度殺された召喚獣は二度と復活しねぇ! つまり、ソイツは召喚士として人生終わりってことだよォォォォォォ!!」
「ガアアッ!!」
おおっ!? いきなり狼が口を開けて襲い掛かって来たんだけど?
ズボッ!
俺は大口を開けて飛びかかってきた狼の口の中に触手を伸ばして突っ込む。
「ギャワワワワン!?」
そのまま溶解液を出して溶かしちゃう。
俺を襲おうなんてなんてふてー狼だ。処す処す。
ムムッ!?
なんかデジャヴ。
前にもいきなりこんなことがあったような?
「うわあああああ!? 俺様のウルフがああああああ!!!」
溶解液によってドロドロに溶けたウルフにちょいデブの少年がすがっている。
というか、すでにドロドロだから少年が地面に突っ伏しているようにしか見えないが。
「人を殺そうとしたんだ、当然ながら自分が反撃されることも想定しているよな?」
「「「ス、スライムが喋った!?」」」
おっと、そう言えば仮眠用ベッドで気持ちよく爆睡しようと思ってデローンMk.Ⅱの姿に変わってたんだっけ。
「それでは、<擬態変身>!!」
・・・
・・・・
・・・・・
「ナンデ!? ナンデ!? ナンデェ!?」
戻らない!? 戻らないぞ!? 矢部裕樹の姿に!!!
・・・というか、元々スライムになっちゃったんだから、戻らないというよりは、人型に変身できないと言うべきか。
・・・体を動かせばうにょうにょ動くことは動く。
だが、人型になれない。なぜだろう?
「「ひいいっ!?」」
鳥と鼠とともに泣いていた二人が逃げて行く。
それに気づいたちょいデブ少年も二人を追いかける様に逃げて行く。
「う、う~~~ん・・・」
お、ぶっ倒れていた金髪少年が気づいたようだ。
「よう、なんか絡まれていたみたいだが、大丈夫か?」
「うわわっ!? ス、スライム!? しかも喋ってる!?」
俺は体をぷにぷにと動かして「ボク、悪いスライムじゃないよ!」アピールをしておこう。
「も、もしかしてボク、ついにスライムの召喚に成功した――――!?」
「え、召喚?」
俺は首(?)を傾げる。
「じゃあ君はボクの召喚魔獣のスライムなんだね! 君のようなスライム見たことないから、きっとユニークモンスターなのかなぁ!」
「おおう、ボーヤええ度胸やのぅ! 誰が召喚獣じゃい!!」
「えええっ!? 違うの!?」
俺のすごみに金髪の少年が涙目になる。
ついでに触手を出して少年の胸倉をつかもうとしたその時。
「コッチです! 魔物が暴れてるんです!」
「見たことない魔物です!」
「どこだ!? 魔物は!」
何やら衛兵っぽい連中が路地裏に集まって来る。
「本当に見たことないぞ!?」
「スライムなのか!?」
「どうして町に入り込んだ!?」
衛兵3人が槍を俺に向ける。
「・・・やだなぁ~、ボク、悪いスライムじゃないよ!? なんたってコイツの召喚獣でっす!」
俺は胸倉を掴んでいた触手をするりと少年の肩に回して仲良さげにアピールする。
「ええっ!?」
「(シーーーー!! お前が驚くなよっ! いいから俺に合わせとけっ!)」
「(ええ・・・?)」
実に嫌そうな顔を向けて来る金髪少年。なんとも不敬なヤツだな。
こんなステキなスライム(所謂ステッキースライム)である俺が曲がりなりにも召喚獣のマネをしてやろうというに。
「少年・・・本当か?」
「その奇妙なスライム・・・本当にお前の召喚獣か?」
「えっ・・・あのっ・・・(コクコク)」
俺は触手で少年の頭を後ろから押して強制的にうなずかせる。
「召喚は初めてか?」
「は、はい」
「じゃあ冒険者ギルドでちゃんと召喚獣登録しておけよ」
「あ、はい」
そう言って兵士たちは大通りへ戻っていく。
「ふ~~~、で、どうなってんだ?」
「どうなっているのかはボクが聞きたいよ!? なんで君はスライムなのに喋ってるの!?」
「喋るだろ、スライムなんだから」
「それ、どこの常識!?」
金髪少年が目を丸くして俺にツッコミを入れて来る。
よく見れば、身長150cmくらいの金髪コゾーだな。
冒険者登録しておけって言われていたが、このコゾーもしかして冒険者なのか?
・・・そういや、首から何やらプレートぶら下げてるな。
俺の知ってる、というか持っているSランクプレートと形も違うし、Fランク時代に持っていたプレートとも違うな・・・。
「よう、コゾー。ちょっくらこのステキなスライム、所謂ステッキースライムのヤーベさんに教えて欲しいことがあるんだが」
「えっ!? ステッキー・・・スライム? 聞いたことがないんだけど・・・」
「ノックしてもしも~~~し! 俺様の質問に答えてくれるかなぁ!?」
ボーゼンとしながらボソボソ呟く金髪コゾーの頭を触手でポカポカ叩きながら情報を早く引き出そうと頑張る。
「ココ、ドコなんだよ!?」
「わ、わあっ! え、えーと、ここはドラスティック公国の公都コズファンだけど・・・」
「し、知らねぇ~~~~~!?!?!?」
もしかして、本当にこのコゾーに俺は召喚されたのか!?
異世界に飛ばされたのに、さらに異世界に召喚って・・・アリ!?
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