第398話 創生の七英雄について聞いてみよう
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ジュージューと肉の焼ける音がしてくる。
「たまらねー匂いだぜ!」
「もう食べられそう?」
カンタとチコの兄妹が串に刺した肉が火にあぶられるのを見ながらワクワクしている。
「もうちょっとで焼けるから、もう少し待っててくれよ?」
俺はバーベキュー台で燃える薪の火加減を調整しながら串の位置を変える。
「ふおおっ!? 美味しそうなのでしゅー!!」
「あらあら、リーナはお肉が好きなのね?」
「いっぱい食べて大きくならんとなぁ」
リーナと一緒にいるのはリーナの母親のリルシーナさんとリーナの父親のドルーガだ。
リルシーナさんだけさん付けなのは決してリルシーナさんがバインバインだからではない。
ないったらない。大事な事だから二度でも三度でも言おう。
せっかくのバーベキューの機会だ。
神都ヴィレーベからどこでも・・・いや、転移の扉を開き、リーナの故郷であるルオルタ村に帰って来た。
カンタやチコの兄妹や母親のカンナさん、フラウゼアさんの神殿管理組も連れてきた。
カンタやチコちゃんがバーベキュー期待していたからね。
ルオルタ村にしたのは、今後のちみっこ魔王たちの対応検討もあるが、せっかくリーナが両親と再会できたんだ。一緒にバーベキューしながら家族との時間を取れればいいと思っての事だ。
そんなわけで、奥さんズの面々もフルメンバーで呼んできた。
「うまいっ! この肉はうまいですなっ!」
ダークパイソンの丸焼きにかぶりついているのはローガだ。
四天王も呼んだからな。そこら中で狼牙族の連中が肉にかぶりついている。
・・・これだけの狼牙に囲まれていると、この村は世界で一番安全な村かもしれんな。
「あなた。この野菜はこんな切り方でよろしいですか?」
野菜を切っていたカッシーナたちが俺に問いかける。
モチロンカソの村の奇跡の野菜だ・・・カソの村はもうないが。
正確には神都ヴィレーベの旧カソ地区と呼ばれる場所でとれる野菜だな、ウン。
「ぬお~~~! おこちゃま魔王たちですらうまそうに食べているというに! わらわは食べられぬではないか!」
見ればデスベアーが暴れている。
「当たり前だろう? ぬいぐるみがメシ食うかよ」
「無慈悲!?」
なんだかガーン!という顔で驚くデスベアー・・・というかシリ。
ついにぬいぐるみの表情が動くようになってるぞ。
魂とデスベアー・・・じゃなくてクマのぬいぐるみとの融合が進んでいるのかな。
「それよか、貴様はこの地で次元の扉を閉じて魔王軍の進行を止めた七英雄の一人だったんだろ?」
「うむ! その通りよ! だから十分に敬うがいいぞ」
急に腰に手を当ててドヤ顔をキメるデスベアー。もういいや、言い切ろう。
「他の6人はどんな感じだったんだ? その英雄様は?」
「ウム・・・奴らの話か」
急に腕を組んで考えこむように唸るデスベアー。
どうかしたんだろうか。
「ぜひ聞きたいですわ! わたくし、創生の七英雄の話大好きなんですの!!」
「某もぜひ聞きたいものです。創生の七英雄と言えば、まさにこの大陸の解放者であった者たち。並みいる魔獣を屠り、大侵攻した魔王軍を打ち破ってこの大陸に安寧をもたらした英雄たちですからな」
ものすごい勢いで話に食いついてきたのはフィレオンティーナとロザリーナであった。
「そんなすごい人たちだったの?」
「旦那様は知らないのですか!? 創生の七英雄は二人の兄弟と二人の姉妹、そして大賢者と森の精霊王、次元を司る者、この七名を指しているのですよ」
興奮しながら創生の七英雄を説明してくれるフィレオンティーナ。
本当に尊敬しているんだろうな。嬉しそうに話している。
「次元を司る者、と呼ばれていたのがわらわじゃ」
「ええっ!? あなたが次元を司る者だったんですかっ!?」
フィレオンティーナがデスベアーを持ち上げながら驚いている。
まあ、英雄様の魂をクマのぬいぐるみに封じてしまったわけだしな。
尤も、それも致し方ない。リーナの意識が消えることなど良しとできようはずもない。
ナメた事を抜かすシルヴァリーなど、シリで十分。デスベアーに封じても心のカケラも痛まない。当然の処置である。
「創生の七英雄の内、二人の兄弟である兄のカシムと弟のカロッセル、二人の姉妹である姉のエトナと妹のエメロードはそれぞれ恋人同士だったんでしょ!」
「四人とも絶世の美男美女だったそうですね!」
「兄と姉、弟と妹、それぞれが恋人同士・・・」
「すごく仲が良かったんでしょうね!」
おおう、奥さんズの面々が俺の周り、というかデスベアーの周りに集まって来る。みんな創生の七英雄の話に興味津々か。
「・・・あれ? 確か歴史の勉強をしたときに・・・」
俺はある記憶を掘り起こし、首を傾げる。
「む」
デスベアーが俺の方を向いた。
「確か、この大陸に住む現在の人間たちの大半は、大陸創世記に立国した今は亡きシャルワール王国に系譜するという事だったが、そのシャルワール王国の初代国王と王妃の名はカロッセルとエメロードだったはず・・・」
その名は、今聞いた創生の七英雄の伝説と照らし合わせると、弟、妹のカップルだったと思われる。そして大賢者は歴史に名が残っている。伝説を知る奥さんズの話では、森の精霊王は人間だったかどうかも分かっていないらしい。そして謎に包まれた次元を司る者はこのデスベアーだったわけだ。
「・・・わらわはシルヴァリーじゃ、一応念のために言うておこう」
「兄と姉はどうした?」
「聞けよ! わらわの名を無視するでない!」
「今となっては何の価値もないお前の名前などどうでもいいが、兄と姉のカップルはどうしたんだ?」
「な・・・何の価値もない・・・わらわの名に何の価値もない・・・」
絶望の表情を浮かべて突っ伏すデスベアー。
俺は地面に四つん這いになっているデスベアーの首根っこをつかんで持ち上げると、顔の高さで左右にプラプラさせる。
「誰も興味を抱かんお前の名前なぞどうでもいいから、はよ教えろ。兄と姉のカップルはどうしたんだ?」
「だ・・・誰も興味を抱かん・・・」
ダラーンと脱力したまま動かなくなるデスベアー。
「ヤーベ、それだけマシンガン的にデスベアーにトドメをさすと話が進まんだて」
「そうか?」
そんなつもりはなかったのだが、改めて顔の前にデスベアーを持ってきてじっと見つめる。
「あの二人は死んだのじゃ」
「死んだ?」
あまりに唐突な話に俺も奥さんズの面々もゲルドン達も首を傾げるのだった。
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