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第43話 ハーレ・・・奴隷制度について聞いてみよう

評価、ブックマーク追加等誠にありがとうございます!

大変励みになります。

今後もコツコツ更新して参りますのでよろしくお願い致します!


ナイセーが報奨金を準備してくれるとのことで、先に夕方暮れなずむ町に繰り出し、屋台で買い占めることにした。

と言っても夕暮れなので、全部買い占めると生活している人たちにも影響が出てしまうだろう。そのため、各屋台から少しずつ全種類買うとしよう。

・・・え、金持ってるのかって?

モチのロンですよ~、先日狩った魔物の半分を買い取りに出して報酬を受け取った際にもう半分も買い取りに出していたのですよ!

前回最初に稼いだお金は屋台の食事を買い占めるのにほとんど使っちゃったけど、

そんなわけで、預けていたもう半分の報酬を受け取って軍資金として屋台へ繰り出すとしよう。


街へ入る前にローブ姿に戻った俺だが、魔導士の杖は出し忘れていたな。

亜空間圧縮収納から魔導士の杖を取り出す。

うん、これで大魔導士ヤーベの誕生だ。


「おお、ダンナ!久しぶりだな!」

「ダンナダンナ!今日も買い占めか?」

「よっ!御大尽!」


屋台の親父達が次々と声を掛けてくる。


「いやいや、この時間に買い占めたら町のみんなから恨まれてしまうよ。そうだな、各屋台とも10人前ずつ頼むよ」


「「「「「あいよー!」」」」」


『ぬおおっ! これは素晴らしい匂いがしますな!』

『ヒヨコ的にはあの肉を炭火で焼いた串焼きが希望ですぞ!』


ローガにヒヨコ隊長も俺と初めて買い物する屋台にテンションが上がっているようだ。



「おっと親父、ちょっと悪いんだが、串焼きはもう10人前ずつ頼むよ」


「「「あいよー!!」」」


串焼き系の親父達が勢いよく返事をする。


「ダンナ~、そりゃ殺生な」


オークの煮込み屋の親父が苦笑しながらこっちを見る。


「なんだ、俺がさらに10人前買ったら、屋台を贔屓にしている地元民に恨まれたりしないか?」


あはーん、みたいな感じで怪しい外国人風に肩を仰々しくすぼめ、両手を上に向ける。


「何言ってんだいダンナ!ダンナにたっぷり食べてもらおうと、みんなこの前から仕込みには気合を入れてるんだ。ダンナ達の使役獣にだって腹いっぱい食べてもらっても屋台が空にはならねーくらい気合が入ってるぜ!なあみんな!」


「「「「「おお!!」」」」」


「わかったわかった!親父達には参ったよ。みんな後10人前頼むぞ!」


「「「「「おお!さすがダンナ!!」」」」」


俺は屋台街でワイワイと出来た料理を受け取って亜空間圧縮収納へ放り込んでいく。


「ダンナはホントにすげえ魔導士様なんだな。料理が消えて無くなるなんてよ」


「はっはっは、何といっても俺様は大魔導士だからな!」


本当にこの町を守れてよかった。心の底から、そう思う。



・・・・・・



「おーい、ナイセー!準備出来てるかー?」


冒険者ギルドに戻って来ると、受付嬢のラムが受付カウンターから出てきてくれた。


「ヤーベさん、お待ちしてました。ギルドマスター室にご案内しますのでこちらへどうぞ」


そう言って案内してくれる。

夕暮れのため、かなり込み合う冒険者ギルド。特に依頼達成の報告をしようと受付カウンターに並んでいる冒険者たちが一斉にこちらを見る。

ギルドに入っていきなりギルドマスターではなく代官を呼び捨て。

どこの頭のおかしい奴だと思われても仕方がないな。

少し反省が必要か。

そして人気受付嬢でもあるラムちゃんがカウンターを放り出して俺の案内を始めるものだから、他の冒険者からの視線が痛い。心が弱かったら倒れていそうだな。

テンプレでよくある冒険者ギルドでの絡み、マジいらないです。ノーセンキューです。

早くギルドマスター室に入ろう。


「お待ちしていましたよ、ヤーベ殿」


代官のナイセーが声を掛ける。


「ヤーベ、報酬準備できてるぞ」


ゾリアが笑顔で言う。


「まずは冒険者ギルドからだ・・・と言いたいんだが、かなり予算も厳しくてな。代官のナイセーよりお金としての報酬は面倒を見てもらうことになった。だから、ギルドとして特例だが冒険者ランクを・・・」


「あ、結構です」


「何でだよ!」


「なんか強制で呼ばれるとかノーセンキューなんで」


「ギルドのいろんな特別割引受けられるんだぞ!」


「それでもいらないや」


「ぬうううううっ!」


「それでは、今後ヤーベ殿がこのソレナリーニの町の冒険者ギルドに魔物を卸してくれる限り、解体費用を無償にするというのはどうでしょう?」


「お。それいいね!」


「え~~~~~」


副ギルドマスターのサリーナよりなかなか魅力的な提案が出たので喜んだのだが、ギルドマスターのゾリアは不服のようだ。


「ヤーベにはもっとだなぁ・・・」


ぶつくさ言うゾリアにサリーナが耳元に口を寄せて囁く。


「(ギルドマスター、ヤーベ殿は現段階では一組織に縛られるのを良しとしないようです。で、あれば、このギルドに来ることによりヤーベ殿に得があるようにしておけば、また来ていただけます。まずはそれを絆の一つとして残して置く事が最善かと・・・)」


ボソボソと囁くサリーナの話を聞いていたゾリアがニヤリとしだす。


「わかった。それではこのソレナリーニ冒険者ギルド、ギルドマスターのゾリアが保証しよう。ヤーベがこのギルドに魔物を卸してくれる限り解体費用はギルドが持つとしよう」


「わかった。よろしく頼む」


俺は立ち上がり右手(・・)で握手を求める。

ローブの裾から出す右手は、手袋をした手の先だけでなく、下腕までもが見える。だがそれはスライムの緑色でもなく、スライム触手でもなく、紛れもなく肌色の人間の腕に見えた。

それをちらりと見るゾリア。


「・・・期待してるぜ、ヤーベ。これからもな。出来ればこの町にずっと居てもらいてぇところだが、そうもいかねえんだろう。この町を出るときは一声かけてくれよな」


そう言って凶悪な笑みを浮かべる。

まあ、俺もこの男が気に入っていると言えば気に入っている。不義理はしないつもりだ。


「ああ、そうすることにするよ」


「では、ギルドの手続きと解体部への通達を行ってきます」


副ギルドマスターのサリーナはそう言って部屋を出て行った。

部屋には代官のナイセー、ギルドマスターのゾリア、俺とイリーナの4人だけになる。

ちなみにローガとヒヨコ隊長は冒険者ギルドの横にある厩舎で待機中だ。

きっと休憩に入っているギルド嬢たちがローガとヒヨコ隊長に食べ物を持ってモフりに言っている事だろう。この前ローガがヒヨコ隊長を頭にのせてギルド内に入って来て、誰はばかることなく堂々とギルドマスター室の前まで歩いて行き、前足で華麗にノックしたのを見て一気にギルド嬢たちがローガとヒヨコ隊長のファンになってしまったらしい。最初入って来た時は危険なのかと身構えてしまったのだが、非常に堂々と凛として歩いて来たので、誰も止められなかったのだが、それがかっこよかったらしい。その後副ギルドマスターのサリーナがローガのモフモフ具合をこれでもかと自慢して語ったらしい。何してくれてんのサリーナさん。

・・・まあ、ローガ達がいつまでも怖がられているよりはずっといいけど。


「それでは、ヤーベ殿への報奨金をお支払いすることにいたしましょう」


そう言って代官のナイセーが大きめの袋を足元から取り出す。

ドシャッ!

すごく中身の詰まった袋をテーブルの上に置く。

しかもそれを4つ。


「一袋に金貨500枚。合計4袋で金貨2000枚の褒賞です」


おおっ!一気にお金持ち!すげーな、ナイセー太っ腹!

そう思っていたら、


「ヤーベ殿には大変心苦しいのですが、一部を秘匿したまま辺境伯及び王都へ報告を出す以上、あまり金額の融通が利かせられないのです。正確に報告して沙汰を受ければ、間違いなく金貨1万枚以上の褒賞は確実かと思われます。だが、それとは別にやっかいな柵も発生してくるでしょう。それはヤーベ殿の望むところではないはず」


頷く俺。お金の事だけを考えれば、もっとやりようもあるだろう。

だが俺はこの世界の事も、もっといえばこの国の事もよく知らない。あまりにも知識不足だ。ラノベの世界でも知識不足は後で致命的なパターンになる事が多い。転生したてでチート能力振り回して召喚国が正義だと思っていたら逆に腐っていて戦争の道具にされていた・・・なんてパターンが山の様にある。というか、そのパターンの方が多くね?

・・・まあ、ラノベは創作物語だから、その方が盛り上がるということもあるだろう。だが、俺が生きる世界は現実だ。盛り上がるよりも堅実な安全が大事だ。


「問題ない。ナイセー殿の配慮に感謝する」


そう言えば、D~Cランク級の魔物と食用に人気なホーンラビットなどを中心にギルドに卸した時の買い取り額が金貨で200枚ちょっと。その十倍はすごいと言えばすごいが、数は圧倒的に今回の方が多いし、危険度も高いだろう。だが、倒した魔物の大半がオーク、ゴブリンだしな。そうなると褒賞自体は妥当?金銭感覚よくわからなくなってきたな。まあ、食いっぱぐれがない程度で十分だろう。


「後、私の報告が辺境伯及び王都に提出された後、確認に人が来る可能性があります。その場合、出来る限りあなたの事を秘匿するつもりですが、場合によってはそれも叶わない事がありえますのでその点はご留意頂きたい」


「承知しているよ、ナイセー殿」


ナイセー殿は役人だ。どれだけ俺のために無理を聞いてくれたとしても限界があるだろう。特に直属の辺境伯には詳細を問われればある程度情報を出さざるをえないだろう。それは仕方がない。


ナイセーは俺の返事に少しホッとした表情を浮かべる。


「ヤーベ殿この度は本当にありがとう。貴方のおかげでこの町は救われた。大々的に感謝できないのは残念ではありますが、この恩は決して忘れない。何かあれば出来る限り貴方の力になりましょう」


「ああ、俺からも改めて感謝するぜ。ヤーベ、本当に助かった。冒険者ギルドはいつでもお前の味方だ・・・まあFランクだから、他の町へ行ったら舐められるかもしれんがな。その場合はあまりやり過ぎないようにしてくれ」


問題を起こすことを前提にクギ刺しやがって。

そういうテンプレはすべて華麗に回避する予定なんだよ、くっくっく。


「わかった、それから俺からいくつか尋ねてもいいだろうか?」


「ええ、なんでも聞いてください」


「この国でハーレ・・・いや、奴隷制度についてはどうなっている?」


「「??」」


何でそんなことも知らねーの?みたいな表情を浮かべる二人。俺の出目は説明してないからしょうがないけどさ、もちっと常識ない人(?)に優しくしてくれてもいーんでないかい?


ギュッ!


ん? なんだ?

イリーナが俺の頭を自分の胸にギューッと押し付ける様に抱きしめてくる。

今のイリーナは皮の胸当てをしているので柔らかくないです。俺はスライムだから痛くはないけどね。


「どうしたイリーナ?」


イリーナの表情を見れば、あり〇れた日常で世界最強の4コマに出てくる涙目のリ〇アーナ姫にそっくりな表情じゃないですか! あり〇れた職業で世界最強という白〇良大先生の神ラノベを、その日常を切り取ってハイテンションギャグ4コマに仕立てるという、もう神×神でどう絶賛していいのかわからないほどの大ファンな作品をつい思い出してしまった。まるで御餅をちょっと焼いてぷくってしたところを逆さにひっくり返したような目に涙をいっぱい溜めて俺を見るイリーナ。何かあったか?


「奴隷・・・ダメ、絶対・・・」


「え~~~~、コホン」


軽く咳払いする俺。見ればナイセーもゾリアも生暖かい視線を送ってくる。やめろ!そんな目で俺を見るな!


「どういう事かな?イリーナ嬢」


「・・・イリーナと・・・呼んで・・・」


グスグスと泣き始めてしまったイリーナ。お得意の「クッオカ」も出ないじゃないですか・・・今出されても困るけど。


「どうしたんだ、イリーナ」


「奴隷・・・いらない・・・ヤーベには私がいる・・・」


「え~っと・・・」


要約するとこうですか?

俺にはイリーナがいる。

だから奴隷(他の女)はいらない。

だからハーレム禁止。

そう言う事でしょうか?


「なあ、イリーナ。別に奴隷制度の話を聞いたからってイリーナがいらなくなったり、イリーナを捨てたりしないぞ・・・というか、そんな言い方もアレなんだが・・・、イリーナは俺のそばにいたいからずっと一緒に居るんだろ?」


コクンと頷くイリーナ。その目にはまだ焼き御餅を逆さにしたような涙を一杯に溜めている。


「じゃあ、この先仲間が増えたり、奴隷を買うことになったりしても、イリーナが俺のそばに居たいならずっと一緒に居ればいいよ。俺はどんなことがあってもイリーナを嫌ったりしないよ。イリーナの好きにしていいんだぞ」


俺は出来る限り優しく、子供に語り掛ける様にゆっくり話す。


コクコクとかわいく頷き、俺の手を両手で握るイリーナ。

・・・ちょっとかわいい。


その間、ずっと生暖かい視線を送り続けているナイセーとゾリア。

やめれ、その視線!


「コホン、俺はずっと森の奥で魔道の研究を研鑽し続けていたのでな。世の中の事はよくわからんのだ。イリーナという女性も預かる身だしな。社会の常識も身に着けておいた方が良いかと思ってな」


明後日の方を向きながら説明する俺。俺の右手はイリーナに握られたまま。


「そうですか、それはそれは。私で答えられることはなんでもお教えしますよ?」


「そうだな、何でも聞いてくれ。特にハーレ・・・おっと違った、奴隷制度とか、ナイセーは当然この町の代官だしな。詳しいだろうし」


ニコニコしながら話すナイセーと、くっくと笑いながら話すゾリア。

ゾリアてめーわざと言い間違えただろ!


イリーナの俺の右手を握る力がキュッと少しだけ強くなった。


今後とも「まさスラ」応援よろしくお願いします!


よろしければブックマークや評価よろしくお願い致します。

大変励みになります(^0^)

他にも投稿しています。


ドラゴンリバース 竜・王・転・生

https://ncode.syosetu.com/n1684ew/


魔王様にテンセイ!

https://ncode.syosetu.com/n2011ew/


よろしければぜひご一読頂けましたら幸いです。


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