第387話 もうメンドーだからクズ勇者は全員ぶちのめそう(後編)
大変お待たせ致しましたm(__)m
「な・・・なぜだっ!? どうしてオレの<切り裂く者>が通じない!?」
右手をぶんぶんと振りながら叫ぶエセイケメン。
俺は<細胞防御>を展開しながらエセイケメンに近寄った。
「歯ァ食いしばれ!!」
ドコッ!!
「ぐげらっ!?」
右ストレートを放ち、見事にエセイケメンの顎を粉砕する。
残りの連中もボッコボコにした後ロープでぐるぐる巻きにした。
「さて、残りは・・・10人か? とりあえずこいつらのたまり場とやらに出向くとするか」
俺はぐるぐる巻きにした勇者たちを引きずりながら大通りを歩いて行った。
結構な人々が遠巻きに俺を羨望の眼差しで見てくれているのがちょっと恥ずかしかった。
「オラァ! アホ勇者ども! 出てこいや!」
大通りから少し離れた、それでも一等地に立つ大きな屋敷の玄関を俺は蹴破って中に入って行った。
「うおっ!? 誰だよ! 勇者の屋敷に殴り込みって!?」
「相当イカれたやつだぜ、きっと!」
「ああ、頭がおかしい奴だ、間違いない」
「かなりヤベー奴だな!」
「お前らに言われたかねーんだよ!!」
ちょうど玄関ホールにたむろしていた四人の男の言い草に俺は思わずキレた。
誰が頭おかしいヤツだよ!?
イカれてもいねーし、ヤベー奴でも・・・ま、そこは横に置いておくとして。
マジでお前らだけには言われたくねーよ!
よく見れば押し入った玄関ホールに商人らしき男性と、その娘だろうか、幼さを残す少女が震えながら抱き合っている。
「お助けください・・・娘だけは・・・娘だけは・・・」
「お父さん!」
「ククククク・・・、貴様の娘と財産は俺がもらった。お前は死ぬがいい」
おいおい、俺が屋敷の玄関を蹴破ったのに、一人だけ一番奥で世紀末の覇者が座っていそうな頭の悪い巨大な椅子に腰かけて足を組んでいる男が一人いるぞ。
蹴破った俺をおかしいヤツという連中もウザイが、玄関蹴破って乗り込んできた俺を無視するのもどうかと思うんだが。
後、広いとはいえ、ここ玄関ホールだよな?
なんで玄関ホールの奥に頭おかしい巨大椅子が? 玄関だよね?
「悪いが、二人とも外へ出てもらえるか? そこの気持ち悪いバカ含めて全員ぶちのめすから、ここにいるとちょっと危ないよ?」
「へ? あ、はいぃぃぃぃ!!」
商人らしいおっさんは娘を脇に抱えるとダッシュで屋敷を出ていった。結構元気。
「おいおい、俺様が巻き上げるはずの金と女をどうしてくれるんだ 貴様」
頭の悪い巨大椅子に足を組んで右ひじをついて右こぶしを顎で支えている、その恰好を崩さない。もう頭が悪いという以外に表現のしようがない。サ〇ザー気取ってるとしか思えない風貌だしな。
「女って、さっきのお嬢ちゃんのコトか? 貴様救いようのない真正ドロリコンかよ。ヤベー奴だな。命どころか、魂まで救えねーな、貴様」
頭の悪い巨大椅子から立ち上がったドロリコン野郎の顔色が変わる。
「貴様・・・よほど死にたいようだな・・・やれ!」
偉そうに椅子に座ったまま右手を掲げるニセサ〇ザー。
玄関ホールにたむろしていた四人の男たちがこちらに睨みを利かしてきた。
「じゃあまずは四天王の切込み隊長である俺が相手してやる・・・」
ドカッ!バキッ!ボグッ!
「ぶげろっ!」
一人目が俺の足元でボロ雑巾のようにつぶれる。
「さ、佐々木!?」
「ふっ、ヤツは四天王の中でも最弱・・・調子に乗らぬこと・・・」
ドスッ!ベシッ!ボギッ!
「ぎべらっ!」
ぶつくさ言っていた二人目も俺の足者でボロ雑巾のように倒れる。
「い、伊藤!?」
「ちっ! 調子に乗りやがって! ならば四天王筆頭である俺様が・・・」
ゴスッ!ゲシッ!ボカッ!
睨みつけてきた三人目も俺の足者でボロ雑巾のように崩れる。
「わ、渡辺まで!?」
ぐいっ。
「あ、俺の番ですか・・・?」
「そう」
ドゴッ!バゴッ!ボゴッ!
俺をおかしいヤツ、とかぬかしやがった連中4人を瞬殺する。
「貴様・・・一体何をした!? どうしてそいつらのスキルが効かない!?」
四天王とかほざいた馬鹿どもはなんだか魔力を俺に向けていたようだが、すべてはじいたからな。俺には効果を及ぼさないのだろうよ。
「わからんのなら、それが貴様の実力ということだ・・・態度を改めた方がいいぞ、雑魚」
「貴様ァァァァ!!」
「まて、ここは俺たちに任せてもらおう」
おいおい、なんか出てきたぞ?
「ふっ・・・そうだな、俺が出るほどのころはない。任せるぞ! 高橋兄弟!」
え? 高橋兄弟・・・?
俺が首をかしげると、右奥の扉を開けてイケメンの男二人がやってきた。
これが高橋兄弟・・・? まあ、二人とも多少似ているといえば似ているか。
「ふふふ、俺たち高橋兄弟の敵キャラ最速撃破理論の前に敵はいない!」
「さすがアニキだぜ!」
金髪のヤンチャっぽい方が弟かよ。しかも兄貴の太鼓持ち。
「・・・・・・」
なんだろう、俺の今の表情は相当抜け落ちているに違いない。
なんでこう勇者とやらは頭の悪いキャラばかりなんだ?
「ふははっ! 俺たちの幻惑ツインアタックから逃げられるか!」
ベシッ!
「「ふぎゃっ!」」
なんだか縦に二人並んで走ってきて、一人が飛び上がって同時攻撃?らしき感じで突っ込んできたので、どちらも床に引きずり倒して踏んづける。
「やはりトップエンドを封印しての戦いは不利だったか・・・」
「やかましいわっ!」
俺はさらに踏み踏みした。
「ククク・・・高橋兄弟を退けたくらいでいい気になるなよ?」
そう言って手をパンパンと男が叩いた。
「おいおい・・・俺たち呼んじまうのかぁ?」
「どんな敵かはしらねーが、体残らんぜ?」
「退屈しのぎにはなるかもなぁ」
今度は左奥の扉からさっきのイケメン兄弟とは真逆なイカツイマッチョ系の男三人が出てくる。
「いけいっ! 道端三兄弟よ! 無礼な輩を始末せよっ!!」
「「「おおうっ!!」」」
ムッキムキな三兄弟がサイドチェストを決めながらにじり寄ってくる。
「なんで道端の三兄弟がムッキムキマッチョな男なんだよ!? 詐欺だろーが!! せめて姉妹であれ!!」
俺は魂の叫び声をあげた。
「フハハハハハ! 我ら道端三兄弟の力を思い知れ!」
「行くぞ兄者!」
「くらいやがれっ!」
ムッキムキな三兄弟がサイドチェストを決めながらさらに加速して向かってくる。
うん、俺知ってるよ? 蒙〇覇極道だよ、コレ。
「<三位一体撃滅破>!!」
ちょっと違った。三人のマッチョの肩が光る。
だからなんだ。
「暑苦しいんじゃボケェ!!」
トルネーディア・マグナム六連をぶっぱなし、マッチョの顔面に二発ずつコークスクリューパンチをぶち込む。
「がはっ!」
「ぎひっ!」
「ぐふっ!」
ぶっ飛ばした道端三兄弟が頭の悪い巨大椅子を超えてその後ろまで飛んでいく。
「ま。まさか道端三兄弟の<三位一体撃滅破>まで敗れるとは・・・」
戦うたびに頭痛くなるな、勇者相手にするのがこれほどしんどいとは。
数を数えてもこいつが最後の一人のはず。
さっさと仕留めて全員牢屋へぶち込んでおくか。
「ククク・・・ついに俺の力を使わせるか」
「あー、そういうのホントもういいから! 中二臭くってやってられねーよ」
「き、貴様っ! 勇者でありこの世界の支配者になるべきこの俺様にそんな口をききやがって!!」
「うわぁ、中二どころか中三か、中四くらいありそうなほどセリフが痛々しいなぁ。世界の支配者だって。大体悪党のセリフだぜ? それ。宇宙刑事のギャ〇ンとかシャリ〇ンとか見てみ? 悪の総督みたいなカッコした敵キャラがみーんな同じセリフ言ってっから」
俺はハハン? とバカにした笑いを浮かべながら肩をすくめる。
「貴様・・・どこまでもこの俺をコケにしやがってぇ! スキル発動! <王者>!!」
なにやらスキルとやらを発動する世紀末覇者を気取った男。
「フハハッ! <王者>を発動させた俺様は無敵だ! もう俺には逆らえんぞ! さあ! 貴様は土下座をして俺の靴を舐めて許しを請うのだ!!」
俺はそのまま歩いてそいつの前まで行くと、偉そうに前に出されている右足を思いっきり踏んづけて踏み砕く。
「ウッギャァァァァァァ!!」
尻もちをつきながら右足を抑える男の髪の毛を掴み、顔を上げさせる。
「き、貴様どうして<王者>の影響を受けないんだ! はっ! そうか、貴様スキルを無効化するチート能力の持ち主だな!?」
ピキッ!
「あ? チートだぁ? こちとら女神なんぞに会ったこともないノーチート野郎ですが何か? 問題でも? ノックしてもしも~し!」
胸倉をつかんで頭をげんこつでゴンゴンとノックするようにぶっ叩く。
「ウゲッ! アダッ! イテェ! イテェよぉ!」
「うっせぇわ」
俺はつかんだ頭をそのまま床にたたきつけた。
「・・・さて、これで勇者どもは片づけたはず・・・」
俺は屋敷の中を見て回った。誰か捉えられていたり捕まっていたりするとまずいしな。
ガチャリ。
屋敷の奥、小さな部屋の中で俺はそれを見つけた。
「・・・勇者たちは確か15名じゃなかったか?」
小さな部屋の粗末なベッドに寝かされていた小柄な少年。
それは明らかに日本人の顔立ちであった。
勇者の総数を間違えていたので、14名から15名に修正しています。




