第385話 なぜか名乗ったら驚かれたので人畜無害をアピールしておこう
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ボー然としたまま縄を打たれて体を拘束されるクソビッチ。
「・・・スケサン、カクサン・・・って、テメェら! まさか異世界転生者かァァァァァ!!」
おや、コーモン様は知っていても、タイ○ボカンは年代的に知らないのかな?
「はてさて、なんのことやらね」
「テメェら、このままで済むと思うなよッッッ!!」
「おいおい、無差別殺人の犯人が何か言っているが、もう貴様とは会うこともないだろうよ。なにせ国の要人を皆殺しにしようとしただけでなく、他国のきわめて重要な客人たちをも害そうとしたんだ・・・これがどういうことかわかるか?」
「・・・まさか・・・テメェら・・・」
クソビッチが大量に脂汗をかき始める。今更か。
「もちろん正式に国から抗議するさ。極めて重大な事象が発生しかかったんだ。それだけ厳正な処罰の実施を求めるように圧力をかけるとも」
「貴様ァァァァァァァ!!」
「アディオス、品のない令嬢殿。君の名は興味もないので聞かなくとも結構。それでは~」
そう言って俺は公爵令嬢をお姫様抱っこしたままその場を後にした。
遠くでクソビッチの聞くに堪えない怨念のような絶叫が響き渡っていた。
うるさいね。
「さて、もう大丈夫だよ」
王城の貴賓室の一室にて。
大きめのソファーがある部屋に案内してもらった俺はお姫様抱っこしていた公爵令嬢さんをソファーへ降ろすと、安心するように声をかけた。
「あ、ありがとうございます・・・」
もう冷たくなくなってしまったハンカチを握りしめながら、赤い顔で俺にお礼を伝えてくる公爵令嬢さん。
「ずいぶんと災難だったね。まあ、ご両親と一度話して、あの王太子との関係をどうするか検討してもらった方が・・・」
「すまない、娘が世話になった」
「娘を助けて頂き、感謝いたします」
振り向けば、品のよさそうな男女が。
「お父様、お母様・・・」
「カトリーナ、ひどい目にあったね。あのようなでっち上げの数々など、誰の目にも嘘は明らかなのに、王太子たちは一体どういうつもりで・・・」
ブツブツとつぶやくダンディーな男性が俺の方を向き直る。
「失礼した。私はイカン=セカイショー王国のロッテンハイム公爵家当主、リーザマイヤ・フォン・ロッテンハイムだ。改めて、娘が世話になった」
「妻のカタリーナですわ。娘のカトリーナを救ってくださりありがとうございます」
リーザマイヤ卿が握手を求めてきたので、俺も手を握り返しながら挨拶する。
「西方のバルバロイ王国にて辺境伯位を賜っております、ヤーベ・フォン・スライムと申します」
だが、なぜだか俺の挨拶に二人が固まる。
「お父様? お母様?」
カトリーナ嬢も自分の両親が固まってしまったことに首を傾げる。
「「バ、バルバロイ王国のスライム辺境伯様!?」」
おおう、ご両親がハモッて俺の名を呼んでくれるけど、どしたよ?
「おお、スライム伯ここであったか」
「さきほどはパーティで愚息たちをご説教いただきありがとうございました」
そこへ王様と宰相さんがやって来た。
そういや、ロッテンハイム公爵には正式に挨拶貰ったけど、王様と宰相さんの名前聞いてないよ。とりあえず挨拶に行ったのに、自分の名を告げた後、ワーレンハイド国王の手紙をすぐ渡したら中身を読んでパニックになっていたからな。
非公式の会談ってどっちから挨拶するのが正解なんだろう? よーわからん。
「トルイーヌ国王、彼はバルバロイ王国のスライム辺境伯様なのですか・・・?」
なぜか恐る恐る国王に聞くロッテンハイム公爵。てか、国王様トルイーヌって名前なんだね。
「おう、そうじゃとも! そして魔王を打ち倒しに北の山へ行かれる英雄様でもあらせられる。すでに西側諸国はスライム辺境伯の元大同盟を締結し、大陸の平和に向けて日々活動中とのことだ。我々の国など、スライム辺境伯のご機嫌を損ねればあっという間に吹き飛ぶぞ」
「「し、失礼致しました――――!!」」
急にロッテンハイム公爵夫妻がその場で土下座しようとしたので、慌てて止める。
一体あの手紙に何が書いてあったんだよ!? ワーレンハイド国王なにしてくれちゃってるのかな?
「とにかく、落ち着いてください。俺はそんな大層な人間ではないです。それから、イカン=セカイショー王家及びロッテンハイム公爵家に何か圧力をかけたり、不当な要求をするつもりもありませんから、とにかく安心してください」
「それを聞いて安心しました・・・」
「ヤーベ様は、すごい人だったのですね!」
お父さんのリーザマイヤ卿が心底ほっとしたような感じなのに対し、娘のカトリーナ嬢はなぜか俺にニコニコと笑みを浮かべていろいろと話しかけてくる。
「「「「「ジ―――――――――」」」」」
「うおいっ!?」
カッシーナ以下奥さんズの面々がすごいジト目で俺を見ている。
これはもはや奥さんズではなく、ジト目ーズではないか。なんだそれ。
いや、だってあれは助けてあげないとダメじゃないかい?
「クソッ! 本当なら俺が助けに行っていれば!」
「コータ?」
自称勇者が自称賢者に思いっきりツネられている。
「でも隣の国の王太子とかじゃなくて残念だったわね~」
「あ、それが運命の出会いとかだったら素敵ですね~」
アスカちゃん、それはラノベの設定によくあるヤツだから。
現実的に隣の国の王太子が助けてくれたりはしないのだよ。
そしてセフィリアちゃん。女神クリスティーナ教の信者らしいけど、俺は女神の運命なんて信じてないからね。
「いいえ、運命の出会いですわ!」
カトリーナちゃんが両手を胸の前に組んでウルウルした目をコッチに向けてくる。
「そうじゃのう、アホの息子が大勢の前で婚約解消などと騒いでしまったしのう」
「イカンーセカイショー王国と致しましてもバルバロイ王国の辺境伯と誼が出来るのは喜ばしい事かと」
ご両親吹っ飛ばして国王と宰相が政略結婚企んでいるんじゃないよ。
いつになったらリーナの故郷に行って魔王対策できるんだよ、誰か話を進めてくれぃ!
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