第383話 乙女ゲーの断罪イベントに巻き込まれないようにしよう
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「うわっ!? ヤーベさん大丈夫? ボクにまでかかりそうだったよ!?」
俺とゲルドンがお互い向き合いながら酒を吹いたので、近くにいたサリーナが驚いて俺に声を掛けた。
「あなた、一体どうされたんですの?」
「いや、ちょっと・・・」
カッシーナにも心配されてしまった。
何せ俺とゲルドンが酒を吹きあって酒塗れだ。
アナスタシアが困った人ですね~とハンカチで拭いてくれる。ありがたし。
何といってもここは他国の王太子誕生パーティであり、粗相は許されることではないのは理解しているのだが・・・。
「うひょ~~~~~! 乙女ゲー張りの断罪イベントキタ――――!!」
見れば、俺の隣でちみっこい幼女が両手をグーにして興奮していた。
「乙女ゲー?」
「断罪イベント?」
ゲルドンとレッドがお互いに呟く。スゲー聞きたくない。
「それにしてもめぐみん悪辣よね! ニセの証拠をばらまいてでっち上げまくって、ヤバいところはチート級の印象操作スキルでしのぐなんて! 普通の公爵令嬢なんて相手にならないわ~! あっという間に悪役令嬢のレッテルを貼られて国外追放ね! あくどいわ~」
「・・・・・・」
なんだろう、いたたまれない。今すぐおウチに帰りたい。うん、ボク帰る。
「待ちたまえ、ヤーベ卿」
だが、俺の首根っこを掴んで離さない加藤君、いやさアビィ卿。
「やめてください、これいじょうのいせかいねたはこころがしんでしまいます」
「いや、君は死なないから。なんなら無敵艦隊級だから」
「やめてください、しんでしまいます」
「おおう、ヤーベが壊れたロボットのように・・・」
「ヤーベ殿も気苦労が多いだべ?」
うるさいよ、ほっとけっての!
見たくもないが、パーティ会場の奥、偉い人が話でもするような壇上に偉そうにしている王太子とやらと、その腕に縋りつくようにまとわりついているビッチ。(矢部氏の個人的見解です)
その他、適当に貼り付けたようなイケメン面(こちらも矢部氏個人の見解です)が3人ほどいる。
「く~~~、王太子の他、騎士団長の息子と宰相の息子、カトリーナ嬢の義理の弟まで篭絡しているとは! めぐみん恐るべしね! このままこの国がめぐみんやバカ勇者たちに乗っ取られたら、アタシの身も危ないわね・・・どこかうまく逃げられるとこ探さないと・・・」
ぶつぶつとやばい内容をつぶやく幼女。
絶対にかかわってはならない存在だ。
「よし、とにかく帰ろう!」
「いや、どこへだよ?」
俺とアビィ君が押し問答していると、そこへ侍女が誰かを探しているようにやってきた。
「ミリアーナ王女様~、お席にお戻りくださーい・・・って、あ! こんなところにいた!」
そういって俺の隣でブツブツとやばい内容をつぶやいていた幼女をひょいと持ち上げた。
「あら、侍女のメアリーじゃない! いいところへ来たわ! この国はもう危ないわ! 私と一緒にこの国を脱出するわよ!」
「はいはい、今度は革命ごっこですか? もう少しお姫様らしい遊びにしましょうね?」
「ちがーう! もう猶予はないわよっ! めぐみんに国を乗っ取られてからでは遅いんだからっ!」
「はいはい」
足をバタつかせ、メイドの抱擁に抗おうとするも如何ともしがたいようで、そのまま連れ去られていく。
「あの幼女、王女様だったでな」
「うむ、いろいろと内情を知っていたようだべ?」
ゲルドンとレッドが思案顔で呟く。
壇上では、王太子とやらがべらべらと元?婚約者であるカトリーナ嬢がいかにメグミンとやらに不正を働き、いじめなどを行っていたかを説明している。
たまに「そんなことっ!」「わたしではありませんっ!」とか反論しているけど、周りのイケメン面が「黙れっ!」「卑怯者が!」「この悪女めが!」と罵詈雑言のオンパレードで令嬢の反論をぶっ潰す。
「これはあれだでな、乙女ゲーのはめ○らだでな」
「ちげーよ。あの作品はど初っ端こんな断罪イベントから始まらんだろ」
ゲルドンのラノベボケに俺は冷静に突っ込んだ。
これは、あれだな。乙女ゲーと言うよりは、悪役令嬢のざまぁシリーズみたいなもんか?
ハメられて、捨てられて、捨てられた先で力を手に入れて元の国にざまぁする感じ?
悪役令嬢もざまぁパターンもよく流行ってたよなぁ・・・。
てか、ラノベだと楽しく読んでいたのだが、現実にこのシーンに立会うと、ツラいな。
てか、誰もあの王太子を止められないのか?
婚約解消もこの場で言わねばならんのか?
というか、令嬢をこんな大勢の前でひっぱたくってありえなくないか?
「あの王太子、令嬢をこんな大勢の前でひっぱたくって人としてありえなくないか?」
思わずゲルドンに文句を言うように強い口調で話してしまった。
「まあ、気分のいいもんではないだども」
一人泣き崩れても、顔だけは上げて王太子の方に目線を向けている公爵令嬢さん。
だれも味方のいないこの空間の中で、それでも凛とした雰囲気だけは崩さないようにしているのがわかる。
「どどど、どうしてこんなことになっておるんじゃあ!?」
「私にもなんともはや・・・」
王様も宰相さんもパニック状態だ。止めてもらおうと思ったんだが、これではいかんともしがたいな。
「はあ・・・」
俺は大きく溜息をつくと、王太子たちの方へ歩みを進めた。
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