第380話 魔王退治には勇者も連れて行こう
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『な、なんで貴様らわらわの名を知らんのじゃ!』
デスベアーがぷんすこ怒りながら地団太を踏んでいる。
おいおい、あまりハデに暴れると右腕が取れてしまうぞ?
「なんで・・・と言われれば、お前の名前に興味がなかったからだな」
「聞かなかったでしゅー!」
俺が興味がなかったと答えると、リーナがにぱーっといい笑顔で聞かなかったからと答える。
『わらわの名前はシルヴァリーじゃ! よーく覚えておけ!』
「汁婆?」
「美味しくなさそうでしゅー!」
おおい、俺の軽口にリーナが顔を(><)にしてまずそうだとアピールする。
そうだなデスベアーを煮込んだ汁婆なんて超マズそうだからなぁ。
『誰が汁婆じゃ!? ふざけるのもいい加減にせいよ!?』
「シルバ〇アファミリーならかわいい感じなのになぁ」
「ふおおっ!? かわいい感じでしゅー!」
リーナがバンザイして喜ぶが、残念なことにデスベアーはシル〇ニアファミリーには入れてもらえないのだよ。
『だから! わらわは汁婆でもシルバニ〇でもない! シルヴァリーじゃ!』
「わかったわかった。シリはこれから何がしたいんだ?」
『誰がシリじゃ! わらわを愚弄すると許さんぞ!』
「うるさいなぁ、捨てるか」
『ぬおおっ!? 無慈悲!』
デスベアーがクラクラしながら泣きはらす。
そんなデスベアーをリーナは持ち上げてくるくる回る。
「くましゃんが動いているでしゅー! すごいでしゅー!」
「うーん、リーナが喜んでいるからいいか。お前のご主人様はリーナだからな。リーナのために動き、リーナを護衛し、リーナを喜ばせ、リーナのために死ね」
『めちゃくちゃ重い!?』
「何をぬかすか。リーナを犠牲にしようなどとたわけた事を抜かした貴様を滅殺せずにデスベ・・・かわいらしいクマのぬいぐるみに封じるだけにしてやったのだ。激アマ裁定に心の底からむせび泣いて感謝するがいい」
俺は両腕を組むと無駄に胸をそらし、足元でプルプルしているデスベアーを上から睨みつける。
『惨い! だいたいお主もデスベアーってほぼ言っておるではないか! このゾンビのような熊のぬいぐるみが可愛くないことに気づいて・・・』
ガシッ!
『ふぎゃっ!?』
「貴様、リーナの作ったこの見事な熊のぬいぐるみが可愛くないと抜かすか!? その傲慢かつ不遜な態度、死を持って償うがいい!」
俺はデスベアーの中にある魔核に封じたシルヴァリーをお仕置きするべく、幽幻体に直接ダメージを与える。
「<黄昏稲妻>!!」
『アバババババババババッ!!』
ぷしゅ~と煙を噴いているように見えるが、実際にデスベ・・・プリティベアーが焦げて煙を噴いているわけではない。幽幻体であるシルヴァリーに直接ダメージを与えたので、精神的に煙を噴いているようだ。
「さて、魔王退治に出かけるとするか」
俺は煙を噴いて突っ伏しているデスベアーの首根っこをひっつかむと、リーナの手を引いて自分の部屋を後にした。
「おーい、自称勇者(笑)」
「ブホッ!? だ、誰が自称勇者(笑)だ!!」
食堂の扉を開けながら冒険者ギルドから帰ってきた自称勇者(笑)に俺は声をかけた。
堂々と人の家でメシ食いやがって。この無許可居候タチ悪いな。
「そうですわ! コータは正真正銘の勇者ですわ!」
搔っ込んでいたどんぶりからブホッと噴出した皇洸太の横で、彼をかばうような発言をするのは自称賢者、綾小路麗だ。帰国子女でコータの彼女?らしい。
文句を言いながらもホットケーキをパクつく手は止めないらしい。
右手のフォークにホットケーキを刺しながら口をモグモグさせて文句を言っている。
「あの・・・居候のみですから、もう少し口の利き方というものをですね・・・」
聖女セフィリナが二人に苦言を呈するが、この子も右手のフォークにホットケーキを刺したままだ。どうもホットケーキには抗えないらしい。
「ところで自称勇者(笑)、冒険者ギルドのランクは上がったのか?」
「フハハハハッ! これを見て驚け! 見事にDランクの昇格だ!」
「私も一緒にDランクに上がりましたのよ!」
コータとレイが鉄色の冒険者プレートを取り出す。
ちなみに一端がCランクで銅色、Bランクで一流の証、銀色のプレート。そして超一流がAランクとして金色のプレートを持つことが許される。
ちなみに聖女セフィリナは気まずそうにしている。
実は彼女の回復魔法の実力が半端ないので、特例でBランク認定になっているのをグランドマスターのモーヴィンから俺は聞いて知っていた。
「あ、コータにレイ、セフィリナ様も帰ってたのね」
そこへやって来たのは如月飛鳥ちゃんだ。
ちなみに、冒険者ギルドでゴブリン退治の常設依頼を受けまくってEランクを脱出した
自称勇者(笑)の皇洸太と綾小路麗だが、基本二人っきりで冒険に出ているようだ。聖女セフィリナは教会でのアルバイトに精を出しておりたまに冒険者ギルドのけが人対応でポイントを稼いでいるようだ。
そしてアスカちゃんは俺たちと一緒に鉱山都市マーロの北山でワイバーン退治に出かけた際、冒険者ギルド登録後冒険初デビューにも関わらず単騎でワイバーンを複数堕とすという離れ業をやってのけ、グランドマスターのモーヴィンから特例としてAランクの冒険者認定を受けている。
つまりはまあ、ここにいる冒険者ギルド登録者の中では自称勇者(笑)とその連れ合いが最も冒険者ランクが低かったりする。自慢げに鉄色のDランクギルドカードを見せびらかす自称勇者(笑)を見ると、哀れすぎて思わず見つめる目が生暖かくなってしまいそうだ。
「おい、自称勇者(笑)。仕事だ」
俺はぞんざいにコータに声をかけた。
「フッ・・・俺の力が必要か。やっと俺を認めたようだな・・・。よかろう、どれほどゴブリンが来てもこの俺が剣の錆にしてくれる!」
「コータ・・・かっこいい!」
目をハートにしているレイは置いておくとして、食堂で剣を抜くんじゃないよ、バカ勇者。
「相手はゴブリンじゃない、魔王だ」
「ほう、ゴブリンじゃないのか・・・。まあ、俺の実力があればゴブリン以上の敵でも・・・魔王?」
掲げた剣をそのままに、首を捻って俺の方を見て来る自称勇者(笑)。
大丈夫か? コイツ。
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