閑話71 王都の片隅で大掃除が行われた日
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ドゴォン!!
深夜。多くの者たちが深い眠りについている時間。
凄まじい爆発音が王都に響いた。
「なんだっ!? どうした! 何があった?」
王城の自室で休んでいたワーレンハイド国王がベッドから飛び起きる。
これほどの爆発音があったのに一緒に寝ているリヴァンダ王妃はすぴーすぴーとまだ寝入っている。
思わず神経ぶっ太いなと思わないでもないワーレンハイド国王であった。
身なりを簡単に整えると部屋を飛び出て執務室に向かう。
従士に宰相を起こしてくるよう指示を出したが、ワーレンハイド国王が執務室に到着した時にはすでにルベルク宰相が待機していた。
「ルベルク、何があった?」
「まだ何もわかっておりません。すでに諜報部統括のグウェインに調査を指示しております」
ドオォォォン!!
再び深夜の王都に響く爆発音。
「まただ、一体何が・・・」
ドオンッ! ドゴーン! ボガーン!
今後は派手な爆発音が連続して響き渡る。
「これは一体・・・!?」
「王城の外部からの襲撃であれば城壁の警備兵から連絡があるはずです。それが無いという事は、王都内部で何かが起こっているという事です」
「そうか・・・」
そこへ兵士が飛び込んできた。
「ほ、報告いたします!」
「どうした、何があった?」
「ははは、はい! 王都南東にあります、通称『暗黒街』と呼ばれるスラムの一部で爆発があったとの報告が入りました!」
「爆発? 原因は?」
「不明です! 目下調査中とのことです!」
ルベルク宰相の問いかけに報告しにきた兵士は敬礼して答える。
とりあえず王城にもたらされた第一報は爆発の事実と場所の情報だけのようだ。
ドオン! ドゴーン! バキバキバキ!!
「なっ、なんだっ!?」
三度の爆発音と、さらに建物が倒壊するような轟音が響く。
「ほっ、報告いたします!」
さらに別の兵士が飛び込んでくる。
「どうした! 何があった!」
ルベルク宰相ではなく、ワーレンハイド国王が直接訪ねた。
「スラム奥の通称『暗黒街にて再三の爆発が発生! そののち周りの建物、瓦礫を一掃するような力場が発生! 周りを更地に変えているとのことです!』
「ば、爆発して更地・・・?」
ワーレンハイド国王はルベルク宰相と顔を見合わせる。
一体何が起こっているというのか・・・。
「ルベルク、大変だ!」
そこへ諜報部統括のグウェインが入ってきた。
「なんだ、どうした!」
「これはワーレンハイド国王様・・・報告します。暗黒街にて『死霊の女王』が現れました!」
「ば、バカな! ここは王都だぞ! なぜそんなアンデット最強クラスの化け物が現れる!?」
「わかりません・・・。もしや、地下深くに会った封印の何かが爆発で壊れたとか・・・」
「そんなものがこの王都バーロンにあったとでも言うのか!?」
「わかりません・・・、調査しようにも、大量の<死霊>が発生しております。至急除霊技術のあるプリーストたちを大至急動員すべきです。このまま王都中に大量の<死霊>が散らばると、王都の人々が<死霊>に取り込まれ生命力を奪われます。奪いつくされると<死霊>になってしまうため、王都が死霊の街と化してしまう可能性があります。対応を急がねばなりません!」
「そ・・・それは大変というレベルではない! 国家の存亡がかかっているレベルだ!」
「すぐに聖堂教会のアンリ枢機卿に協力を求めましょう!」
ワーレンハイド国王の絶叫に対応策を献策するルベルク宰相。
王都の国民たちを守るため、大至急対応しようとしたワーレンハイド国王たちが執務室を飛び出したその時。
ゴッッッッッ!!!!!!
ピカ――――――――――!!!
凄まじい音とともに、闇夜の帳を切り裂くがごとくまばゆい光が迸った。
「・・・いったい・・・何が?」
「わかりません・・・ですが、このまま放置しておくわけにも参りますまい」
「うむ」
そうしてワーレンハイド国王たちが王城を出ようと馬車を用意していると、新たに報告が入った。
「も、申し上げます!!」
現場から走って来たのか、息を切らした兵士がワーレンハイド国王たちの前に飛び込んできた。
「どうした!?」
「ス、スラム街の一角、通称『暗黒街』にて起きた爆発及び建物倒壊により、現場が完全に更地になりました! 現場にて現れた<死霊>たちも強力な浄化の光で一瞬にして討伐されました・・・!」
「「「・・・・・・」」」
ワーレンハイド国王、ルベルク宰相、グウェイン統括は口をあんぐりと開けたまま呆然とその報告を聞くのだった。
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