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第369話 王太子の相談に乗ってみよう

ブックマーク追加、★評価、感想、誤字脱字報告等誠にありがとうございます!

大変励みになります。

今後もコツコツ更新して参りますのでよろしくお願い致します!




「・・・実はね、相談に乗ってもらいたいことがあるのですが・・・」


ふう、と溜息を吐きながら弱り切った表情を見せるカルセル王太子。

俺は呼び出されて王城にやって来ていた。

尤も、呼び出したのはカルセル王太子ではなかったのだが。


「コレ・・・いいわねぇ~、これからもなくなったら補充お願いするわ~。あ、費用は夫にいいだけ請求してね!」

「ええ・・・いいんでしょうか、私まで・・・」

「いいのよ、もちろん。あなたももはや私の娘みたいなものなんだから」

「えええ・・・」


俺の渡したビンを片手にリヴァンダ王妃がニッコニコでご機嫌だ。

その横にはつい先日カルセル王太子と婚約が発表されたライラック嬢も一緒にいる。


「じゃあね~、ヤーベ君またよろしく~」


そう言ってあああ~と震えているライラック嬢の腕を取って部屋から出ていくリヴァンダ王妃。よほど俺の渡したビンがうれしかったようだ。


「いや、本当にすまないね、母が・・・」


「まあ、お気に召したのならよかったですけどね」


俺が渡したのは、まあスライム汁が入ったビンだ。


・・・言葉のイメージが悪いな。

まあ、ライラック嬢を癒した時に使った、お肌がスベスベツヤツヤになるよう命じたスライム細胞だな。イメージは肌の補修と保湿を行う化粧水?のような感じだ。


ライラック嬢のヒドイ栄養状況やダメージに鑑みて、相当回復力の高いイメージを持たせてしまったからな。おかげで全身浸かったライラック嬢は頭のてっぺんから足のつま先までツヤッツヤのスベスベプルンプルンになったからな。それを見てリヴァンダ王妃が自分もやれとえらい目で脅し・・・いや、お願いされたので、一応ワーレンハイド国王の許可をもらって全身浸かってもらった。嬉々としてスライム触手に飛び込んでくる人初めてだよ・・・。後、ワーレンハイド国王の許可って言っても、俺が確認している後ろからとんでもない圧力かけてるのが丸わかりだったからなぁ、リヴァンダ王妃。女性の美に対する執着が凄すぎる。


「こんな事をヤーベ卿に頼むのも筋が違うというか・・・なんというか・・・」


リヴァンダ王妃とライラック嬢が部屋を出ていき、二人っきりになると再びなにやら相談したいのか呟きだすカルセル王太子。どしたよ?


「とにかく相談承りますよ? 私にできることであればいいのですが」


「・・・いや、ヤーベ卿にできないことなんてあるのかい?」


「・・・ありますよ? いっぱい」


俺はちょっと遠くを見つめながら答えを返した。


「私が個人的に頼み込むことなんだけども・・・国としての指示とかではなく」


やたら回りくどいカルセル王太子。相当言いにくいことを相談するつもりか? 相当やばい話か? 面倒な話かも。

・・・どうしよう、実は男好きで俺に告白とか。ライラック嬢はカムフラージュとかで。


・・・ないな。うん、真面目に話を聞こう。


「とにかく、一度説明してもらえます? 聞いてみないとさすがにわかりませんよ」


「そうだね・・・」


そう言って額の汗をぬぐうようにハンカチを動かすカルセル王太子。

そんなに言いにくいことなのか?


「実は、ライラックの実家の事でね・・・」


「実家?」


ライラック嬢の実家と言えば・・・確か、ドムラン商会か。

すでに実家の鬼ババアやアホ三姉妹は捕まっている。元妻の実家のヒステリーク男爵家もお取り潰しだ。なんせヒヨコ軍団の詳細な調査により、ヒステリーク男爵家の不正をみーんな暴いてやったからな。


「うん、ドムラン商会の経営状況がだいぶ悪くてね・・・ライラック嬢への風当たりが強い連中もいるんだよね」


ああ・・・。なにせライラック嬢は貴族ではなく平民からの大抜擢だしね。その上、実家の商会の経営が傾いているとなれば、王家におんぶにだっこの結婚かよってツッコミでも入るんだろうか?


「それで、カルセル王太子は何をお望みで?」


「うん・・・、アローベ商会がスペルシオ商会と懇意にしていることは重々承知しているんだけど・・・なんとかドムラン商会とも商流を開いてもらって、アローベ商会の商品を下ろしてもらう事はできないだろうか?」


苦渋の決断・・・とも言えるような弱り切った顔で俺を見つめるカルセル王太子。

そりゃまあ、嫁さん(まだ婚約者だけど)の実家を助けてくれないか?という、言って見れば図々しいお願いになるわけだが、その相手の商会はアローベ商会が懇意にしているスペルシオ商会のライバル商会になるわけだ。

そりゃまあカルセル王太子の顔も苦渋に歪むわな。


「・・・うーん、この場ですぐにどうこう返答は難しいですね・・・」


俺は腕を組んで顔を上げ天井を見つめる。

別にやろうとすれば難しいことじゃない。

ドムラン商会が儲かるように協力すればいいだけだ。


だが・・・当然ながら、今までのお付き合いというものがある。

スペルシオ商会に何の話も通さずにライバル商社を立て直すような付き合いをすればスペルシオ商会としては面白くないだろう。

商人は信用が第一だからなぁ・・・。


「大体、今アローベ商会から出荷して市場に流通しているものをドムラン商会に流してもそれほどのインパクトにはならないでしょうしねぇ」


俺は溜息を一つ吐く。


「すまない・・・なんとかライラックの風当たりを和らげてやりたくて・・・。やり方はヤーベ卿に任せるから、頼むよ・・・」


うん、それを世間では丸投げと言います、カルセル王太子殿。


「ま、カルセル王太子のために一肌脱いでみますかね・・・」


「本当かい! 頼むよヤーベ卿!」


さてさて、どうしたもんですかね・・・。






「と、まあそんなわけで、どうしたもんですかねぇ。という相談なんですよ」


俺の目の前にはスペルシオ商会の会頭であるアンソニーさんとその奥さんであるスパルタニアさんが難しそうな顔をしていた。


「王太子様のお願いですか・・・無下にはできないわけですが」


アンソニーさんが頭をバリバリと掻きむしる。


「困りましたわねぇ」


スパルタニアさんも眉をしかめる。


そりゃそうだわな。ドムラン商会に手を差し伸べるという事は、スペルシオ商会にとってはマイナスにしかならないわけだし。


「そうですなー、アローベ商会から仕入れているいくつかをドムラン商会に融通しますか・・・」


アンソニーさんの提案に俺は首を振ると、テーブルに()()()()を置いた。


「実は、これはまだ販売前の試作品なんですがね・・・。これを大々的に流通させようとしているんですよ」


「これは・・・」


スパルタニアさんが目を剥いた。


「これが世に出回れば爆発的に売れるでしょう。大幅な利益も見込まれます」


「・・・間違いないでしょうねぇ・・・」


ほうっと溜息を吐くスパルタニアさん。


「これを一年、ドムラン商会に専属で販売させようと思っています」


「こ。これをドムラン商会に専売させるのですか!? それはあまりにも殺生というものですぞ!」


アンソニーさんが涙目になる。コレの爆圧的な売れ行きが想像できてしまったようだ。


「だから一年ですよ・・・。婚約、そして結婚お祝いを兼ねて・・・と言ったところでしょうか? それ以降はアンソニーさんの所にも卸しますよ」


そんな~と涙目になるアンソニーさんをスパルタニアさんが手で制した。


「・・・今回の件、二つほど条件というか、お願いを聞いていただきたいのですが・・・」


スパルタニアさんの目が妖しく光ったような気がした。


誤字脱字報告、本当に助かっています。

多いのが、(言う⇒いう、見る⇒みる、無く⇒なく)のような無駄な漢字変換ですね。

これはワードの変換がいけないんですよ! ええ、私のせいでは・・・、あ、やっぱり私のせいですか(汗)


今後とも「まさスラ」応援よろしくお願いします!

よろしければブックマークや評価よろしくお願い致します。

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