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お正月特別SS 人間(?)すごろくで大波乱!?

ヤーベがまだ辺境伯に陞爵する前のお話です。

ブックマーク追加、★評価、誤字脱字報告、感想等誠にありがとうございます!

大変励みになります。

今後もコツコツ更新して参りますのでよろしくお願い致します!


新年が明けての新年を祝う会を恙なく終了させて、ヤーベは二階の書斎で紅茶を飲んでいた。

今年の新年会も去年以上に盛り上がった。何せワーレンハイド国王、リヴァンダ王妃、カルセル王太子までもが屋敷にやって来てそれはもう盛大に盛り上がったのだ。キルエ侯爵、エルサーパ侯爵、ドルミア侯爵、ルベルク宰相などの重鎮も挨拶に訪れていた。


「だが・・・今年はこれからが本番だ・・・ククククク」


飲んでいた紅茶のカップをソーサーに戻すとヤーベは邪悪な笑みを浮かべた。






「・・・それにしても、ヤーベにしては思い切った案内にしたものだな」

「たしかに、ヤーベ様にしてはストレートなんですよね」

「ついにヤーベさんの本性がむき出しに!?」


イリーナ、ルシーナ、サリーナがエントランスに集まっていた。壁に貼られたポスターを見る。


「・・・一体どのような目的が・・・」

「みんなで楽しむのが目的では?」


首を傾げたフィレオンティーナに対して、カッシーナが楽観的な意見を述べる。


「ふんふんふ~ん、ヤーベ様に何をお願いしよっかなぁ~」

「お、アナスタシア殿はすでに勝利した後の事を考えておられるのかな?」


アナスタシアとロザリーナもエントランスへやって来た。


「ふっふっふ・・・アタイはヤーベとの二人っきりのデートをお願いするんだ!」

「それ、いいわね!」

「負けませんよ!」

「みんな節度を守ってよね?奥様方もいらっしゃるんだから」


チェーダ、マカン、エイカ、パナメーラたちミノ娘たちも集まってきた。


「だ、旦那様のお手付きになるチャンス・・・!」

「わたしも頑張ってみちゃおっかなー」


屋敷で働くメイドさんたちも続々と集まって来る。

みんなエントランスに貼られたポスターを見ていた。


『スライム伯爵家スタッフ慰労会開催!人間すごろくにチャレンジ! 優勝者は伯爵家当主ヤーベに、何でもお願いを1つ聞いてもらえます(できることに限る)

今回の参加資格は

①女性

②当主のお手付きになってもいいと思っている人

になります。ふるってご参加ください』


ちなみに男性のスタッフには後日ドキッ!野郎だらけのBBQパーティ開催予定と説明書きが付いていた。


そしてこの人間すごろくなる催しに屋敷で働くほとんどの女性と奥さんズの面々が参加希望としてエントランスに集まっていた。


(ククククク・・・ここまで何とかうまく忍びこめた・・・。後は優勝してヤーベ殿のご褒美を確保するのみ・・・!)


一人のメイドが怪しい笑いを浮かべていたがメイドはたくさんいたため、誰にも気づかれる事は無かった。



「レディースア~ンドジェントルメ~ン! あ、ここにジェントルメ~ンは俺だけだったから複数形じゃなくてもよかった・・・いや、アナウンスするのは俺だから子猫ちゃんたち~でよかったかな!」


いかにもテンションノリノリといった感じでヤーベの声がエントランスに響き渡る。

声はすれども姿は見えないヤーベに奥さんズは訝しむが、メイドたちはこれからご主人様との遊戯が始まるのかとドキドキワクワクであった。


「みんなには『すごろく』というボードゲームにチャレンジしてもらうよ! ルールは簡単! スタート位置からサイコロを振って出た目の数だけマス目を進んでいくんだ。止まったマス目に書いてあるお題をクリアすれば次のサイコロを振れるチャンスをゲットだ!逆にお題をクリアできなければそこでゲームオーバーさ!」


シンプルな説明に参加者たちが頷きあう。特段ルールに難しいところは無い。


「マス目にはお題以外にも、お小遣いがもらえるマス目や、さらにサイコロを追加で振れるマス目、勝負所で使用できるチャンスカードをゲットできるマス目もあるよ!」


「なるほど・・・そういったマス目に止まった人はラッキーなのですね」


カッシーナが頷く。


「逆にペナルティのマス目もあるよ!サイコロを振った数だけ逆に戻るマス目や、罰ゲームのマス目、最悪なのは振り出しに戻るマス目かな?」


「・・・ゴール直前にそんなマス目に当たったら・・・」

「・・・地獄ですわ」


イリーナとルシーナがプルプルする。どうやら振り出しに戻ったところを想像してしまったようだ。


「参加者が多いので、コースは三コースに分かれているよ!」


そういうとエントランスに三つのサークルが現れて光る。

その三つのサークルから四角のマス目がずっと続いていた。


「一番左が『知恵』のコース! 比較的頭を使ったお題目が多いコースだよ! 一番右は『体力』のコース! 比較的力を使ったお題目が多いぞ!」


説明を受け、スタートのサークルを見つめる女性たち。


「真ん中はズバリ『運』のコースだ! お題目は運任せが多いぞ! さあ、スタート位置を決めたらサークル前に並んでくれ!」


説明が終わり、参加者がそれぞれ選んだサークルの前に並びだす。


「スタートのサークルに乗ると目の前にサイコロが現れる。そのサイコロを振った目の数だけマス目を進むんだ! それでは、レッツスタート!」


参加者たちがそれぞれの場所からスタートしていく。


「そりゃあ!・・・『1』! なんだと!」


体力コースを選んだイリーナはど初っ端からサイコロで『1』を振り一マスしか進めない。しかも、


「ふ、振り出しに戻るだとッ!!」


進んだ一マス目が『振り出しに戻る』であった。

いきなり上からクレーンゲームのようなクレーンアームが出て来たかと思うと、イリーナの頭を掴んで持ち上げる。


「ななな、なんだ!?」


わずか一マスとは言えイリーナはクレーンでつられてスタート位置まで運ばれて落とされた。


「あいたっ!」


(クッククク・・・うまくいってるぞ!)


このすごろく、実はヤーベが館中にスライム細胞を薄くコーティングするように伸ばして作っている。マス目もクレーンもヤーベの自由自在であった。


そしてマス目のお題はヤーベの目論見を露見させていく。


「いやーん、こんなちっちゃい水着を着て三十秒間踊るの~」

「す、姿絵の悩殺ポーズをして三十秒間じっとするの~」

「は、伯爵様に見られちゃう~」

「いやあああん♡」


(ええんかええのんか!)


ヤーベはバカであった。


つまりは、お手付きにするような真似はするつもりもないが、ちょっとばかり(?)エッチなお題で楽しもうというヤーベの微エロセンスが溢れた催しであった。

コミカライズされていれば、サービス回である。


そんなおバカゲームの中、お色気バカテンポを無視して猛然とゴールへ突き進む者たちが。


「ふんぬぅぅぅ!!」


『体力』コースを選んだミノ娘のチェーダ。

三十秒間で腹筋三十回、三十秒間でベンチプレス八十キロを十五回など、体力系お題目を次々撃破。マイクロビキニで三十秒ダンスという微エロ(?)お題目では、出てはいけないところ丸出しで踊りまくる根性を見せるなど、ゴールに対して並々ならぬ意欲を燃やしている。


「負けませんわ!」


『知力』コースで奮闘するカッシーナ。


「旦那様の愛を独り占めするチャンス!」


お題目も微エロダンスもなんのその! ゴールに向かって遮二無にサイコロを振るっている。


そしてもう一人・・・。


『運』のコースを選んだ一般メイドさんA(仮)である。

金髪ロングの女性で、マスクをしているだめ、顔はよくわからない。ヤーベもメイドさん全員を把握していないので誰か不明であった。


(何としても・・・トルッ!!)


何を取る気か知らないが、やる気だけは滾っているメイドさんであった。


ちなみに、

フィレオンティーナは途中のお題目「縄抜け」三十秒以内をクリアできず、亀甲縛りで吊り上げられてリタイヤ。


 「ああ~ん、旦那様ご無体ですわ~」


体力コースのイリーナは落とし穴にハマったまま脱出できず、知恵コースのルシーナは知恵の輪が外れずリタイヤ、運コースのサリーナは確率六分の一の水鉄砲ロシアンルーレットで一発アウト。アナスタシアは同じく運コースで途中の振り出しに戻るマス目に必ず止まってしまい何度もスタートへ戻されていた。


「ああ~ん、またヤーベ様から遠くなる~」


クレーンに吊るされながらアナスタシアがめそめそ泣いていた。


体力コースを自信満々で進んでいたロザリーナは極小マイクロビキニで三十秒ダンスをクリアできずにリタイヤとなった。


「く・・・このような衣装・・・殺せ!」


ちなみにリーナとミーティアは深夜のゲームに参加せずにすでに夢の中に旅立っている。




そしてついにヤーベが陣取るゴール二階の書斎前まで三人がやって来た。

三番手のメイドさんが残り六マスのところで止まる。


『ボディコン衣装にセンスを持って台の上で腰を振って三十秒踊る』


(グッ・・・これしきの衣装、何ほどのものでもないわっ!!)


金髪メイドさんは僅かでも屈んだら見えそうなほどの超ミニスカに胸の部分が大きくVに開いたシャツでデデンデンデンとミラーボールが回る中センスをふりふり腰をふりふり踊り続ける。どう見てもバブル時代のディスコネタである。その時メイドさんの金髪カツラが取れた。


「キ、キルエ侯爵!?」


メイドに扮していたのはまさかのシルヴィア・フォン・キルエ侯爵その人であった。


「チッ! バレてしまっては仕方がない! だがここまで勝ち残ってきたのだ、今さらここで失格などと言うまいな? ヤーベ卿」


ヤーベの人となりを認識した上での煽り口上。


「ゲーム続行可とします」


ヤーベはキルエ侯爵のゲーム参加を認めた。


(まあ、最悪ゴール手前のマス目の内容を書き換えればいいしな・・・)


ヤーベは卑怯にも止まったマス目の内容を『振り出しに戻る』にでもすればキルエ侯爵の思惑など断ち切れると踏んでいた。


そして決着の時。

サイコロを振る順番は


①チェーダ、残り四マス。

②カッシーナ、残り八マス。

③キルエ侯爵、残り六マス。


(あれ? キルエ侯爵六振ったらゴールじゃん!)


今頃ヤーベはキルエ侯爵にリーチがかかっている事に気が付いた。


「うおおっ!ヤーベと二人っきりでデートォォォ!!」


優勝したら何をお願いしたいのかモロ出しのチェーダ。サイコロを叩きつけるように振り、出た目は・・・『3』」


「くそぉぉぉぉ!!」


そしてチェーダが三マス進んで止まったゴール一歩手前のマス目は・・・『振り出しに戻る』。


「ぬおおっ!? ヤーベは鬼だぁぁぁぁぁ!!!!!」


スライムクレーンで吊り上げられウィィィンとスタート位置に運ばれていくチェーダの絶叫が廊下に木霊する。


「ふっふっふ・・・ここで勝負ですわ~~~!!」


カッシーナが懐から取り出したのはチャンスカードの一種、『特急カード』であった。


「さあ! サイコロを三つに増やして一気にゴールを頂きですわ!」


カードを使ったので、サイコロが三つに増えた。

カッシーナはサイコロを三つ握りしめると、豪快に振った。


カラカラカラ・・・出目は『1』『1』『1』。


「バッ・・・バカなっ!?」


崩れ落ちるカッシーナ。三つ進んだ先は『一回休み』。

モッテイナイといえばモッテイナイカッシーナである。


「鬼ですわ・・・旦那様は鬼ですわ・・・」


三つ進んだマスで振り子のような涙を流してドボジデドボジデとブツブツ言うカッシーナ。見た目がかわいいと言えなくもないが、その落ち込み様は半端ない。このまますごろくで負けたら後でアフターフォローが必須であることは長年(?)の経験から言うまでもないことであった。これを怠るとカッシーナがすごくメンドクサイ女に変身することをヤーベは経験上身に染みて理解していた。

それにしてもヤーベを直接呼ぶときは「貴方」と呼ぶカッシーナだが、いないところでは旦那様と呼ぶらしい。どちらにしてもゴール前で一回休み。絶体絶命である。


「ククク・・・苦節しばらく! この日をどれだけ待ったことか!」


そう言ってキルエ侯爵がサイコロを構える。


(ちょっと危なそうだから、どこで止まってもカッシーナのマス目以外は振り出しに戻そう)


ここにきてチート級の違反を決意するヤーベ。今までスライムボディで人間すごろくを進めてきたが、マス目は元々始める前から考えていた内容を表示している。

しかしキルエ侯爵に関して言えば何を目的に参加しているのかイマイチわからないため、優勝させてトンデモ無い事を言い出したら困ると自己防衛を兼ねてチート対応することにした。


だが、


「よっしゃあ!六じゃあ!」


キルエ侯爵が振ったサイコロは見事に『6』を示した。


(うわっ! モッテル人はモッテルもんだねぇ)


思わず他人事のような感想が浮かぶヤーベだが、次の瞬間その余裕は吹き飛ぶ。


「ゴールじゃあ~~~!!」


そう言ってヤーベの元へ飛び込んでくるキルエ侯爵。


「うおっ!?ちょ、ちょっと!」


「さあさあ、ヤーベ卿! お願いを聞いてもらうとするぞ?」


「できないことは聞けませんよ?」


「お主にしかできんことじゃ!」


「・・・なんです?」


「お主の子種をくれい!!」


やはりキルエ侯爵はトンデモ爆弾を投げつけてきた。


「はあっ!?」


「ちょっと!キルエ侯爵! 私でもまだですのに! 許しませんわよ!」


一回休みのカッシーナが律儀にそのマスから出ずにぷんすこ怒っていた。


「そんな無茶な!」


「いーや! 無茶ではない! お主にしかできぬことじゃ! しかもチラシには『できることに限る』と明記があるではないか!」


「うぐっ!?」


ヤーベは自分のチラシの作りが甘かったことを後悔する。

だいたいはチェーダのように二人っきりでデートとか、そんな程度のお願いを予測していた。後は臨時ボーナスとか、豪華な食事とか。


「あ、でもキルエ侯爵はうちの使用人じゃないし・・・」


「慰労会とは記載があったが、使用人でなければ参加できんとは書いておらなんだぞ!」


「そりゃそーだよ! 屋敷の使用人や奥さん以外が参加する想定になってないからね!」


胸倉をつかんで抗弁するキルエ侯爵に想定外を告げるヤーベ。


「後生じゃ! このままではキルエ侯爵家は断絶してしまうのじゃ! 跡取りがどうしても必要なんじゃ!」


「それはオレじゃなくてもいいでしょう!?」


「お主はワシに好きでもない男に股を開けというか! 何という人でなしじゃ!」


存外に超美人のキルエ侯爵・・・シルヴィア嬢に涙目で胸倉を揺さぶられながらそんなセリフを吐かれたヤーベは頭が真っ白になる。


(なに? これ? 俺が悪い感じ!?)


その後シルヴィア嬢にのしかかられたヤーベを救出しようと奥さんズの面々が突入してきて大混乱の後にすごろく大会は終了した。


シルヴィア嬢のお願いが叶ったかどうかは定かではない。


今後とも「まさスラ」応援よろしくお願いします!

よろしければブックマークや評価よろしくお願い致します。

下の5つの☆を★にしていただくと、西園寺にエネルギーチャージできますv(^0^)v

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