第349話 その実力を試してみよう
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時はしばらく遡る――――
「ここが地下訓練場ですか」
フィレオンティーナは広々とした訓練場に足を踏み入れると周囲を見渡した。
「王都冒険者ギルドの地下訓練場は広さも強度も随一を誇っているのだ」
偉そうにギルドマスターのセコルスキーが講釈を垂れるのだが、お前は王都に来てまだ一週間だろうというツッコミは誰もセコルスキーの事を知らないのでなかった。
徐にフィレオンティーナが壁まで歩いていく。
バチッ!
「ふーん、あまり魔力結界が強くないですわねぇ。みなさん、全力で攻撃を放つのはやめた方がよさそうですわね」
「そうなのか?」
「まあ、全力を出すこともあるまい。相手もいることだしな。アンリ殿がいない現状では相手を瀕死にしてしまうと回復が追い付かなくなるかもしれませんしな」
イリーナの疑問にロザリーナが相手を殺しかけると問題だと指摘する。
「なんだと・・・!?」
「舐めやがって・・・」
フィレオンティーナたちの会話に苛立ちを隠せない<黄金の道>。
「誰から行く?」
「・・・俺から行こう」
『閃光の勇士』マサキの言葉に『鉄壁の壁』アーノルドが答える。
「おいおい、いきなり壊すなよ?」
「わかっている」
筋肉マッチョの鎧男がずいっと前に出る。
「誰からやる?」
ボキボキと拳を鳴らすアーノルド。
「女ごときに武器などいらん。素手で十分だ」
ギルドの訓練場には木剣のような模擬専用の武器もある。
だが、それすら使わないというアーノルドにカチンとくる奥さんズの面々。
「一番手は私だ。私は一応これでもFランク冒険者だから、登録済みではあるのだがな」
ズイッと前に歩み出たのはイリーナである。
「「素手喧嘩」ならばイリーナ殿の出番か」
腕を組みながらロザリーナが一人で納得する。
「おい、アーノルド。あんまりヒーヒー言わせて泣かすなよ?」
「ああ、それなりにな」
マサキの煽りにいやらしい笑みを返すアーノルド。
「イリーナさん、触手攻撃は人前では避けた方がよろしいのでは?」
カッシーナが普段のイリーナの攻撃方法を思い出して忠告してきた。
「安心しろ。私はヤーベから必殺技を伝授されているのだ。心配には及ばんぞ」
何の根拠か知らないが、自信満々でイリーナが仁王立ちする。
「それでは、テスト始め!」
ギルドマスターの掛け声でアーノルドVSイリーナの試合が始まった。
「こい、女。先に殴らせてやる」
自慢の腹筋を見せてクイクイと指をまげてアーノルドが煽ってきた。
アーノルドはブレストプレートを使用しているため、胸当て部分は鎧があるが、腹筋部分はむき出しであった。
「そうか、後悔してもしらんぞ?」
「効かなかったときは俺が抱きしめてやるよ、骨が折れるほどな」
イリーナのセリフにアーノルドは獰猛な笑みを浮かべた。
「私はヤーベ以外の男に抱きしめられるのは御免被るのでな・・・行くぞ!スライム流戦闘術究極奥義<勝利を運ぶもの>!」
そうイリーナが叫ぶと、まぶしい光に包まれる。光が収まると黄金の甲冑を身にまとったイリーナがそこにいた。
「わわわっ!?」
「な、なにあれ?ボク初めて見る!」
「むむっ!イリーナ殿の切り札か?」
ルシーナ、サリーナ、ロザリーナがイリーナの姿に興奮する。
「ぬんっ!」
ズドムッ!!
イリーナは高速移動するとアーノルドの懐に入り込んでボディーブロー一閃!
一撃でアーノルドを沈める。
哀れアーノルドは体をくの字にしてその場に倒れ込んだ。
「なんだ、もう終わりか?」
つまらなそうにイリーナは皆の所へ戻るのだった。
「チッ、アーノルドのヤツ舐め切っていいものらいやがって・・・」
まるで苦虫を噛み潰したようにマサキは顔を歪めた。
「俺が行くぜ」
次に前に出たのは長身細身で二本の剣を腰に刺したイケメン剣士『双剣の貴公子』ベルキラであった。
「俺の双剣で切り刻んでやるぜ・・・服だけ」
何気に凄いことを言っているのかエロい事を言っているのかわからないベルキラである。
ベルキラは腰の双剣を引き抜くと踊るようにまるで剣舞でも舞っているかのような剣裁きを見せた。
「さあ、俺の前で素っ裸になるお嬢さんは誰だい?」
イケメンの顔がゆがむ。どうもこのAランクパーティーは心に闇でも持っている連中ばかりなのであろうか、フィレオンティーナは大きくため息を吐いた。
「まるで剣舞の様ですわね。それでは私がお相手させていただきますわ」
次に前に出たのはルシーナであった。薄い緑のドレスに皮鎧を上から着込んでいる。この皮鎧も雷竜サンダードラゴンの皮で作った超強力な鎧なのではあるが、ベルキラには判別がつかないようだ。
ルシーナはすっと後頭部に手を回す。
ようなふりをして、髪留めに一瞬触れる。次の瞬間、その手には大きな鎌・・・死神の大鎌が握られていた。
「さあ、第三夫人ルシーナ、推して参りますわ!」
「あ、それは私の口癖では・・・」
ロザリーナが恥ずかしそうにほっぺをぽりぽりする。
まさしく荒れ狂う暴風!というべき勢いで死神の大鎌を振り回すルシーナ。ドレスの裾を翻し、優雅なステップでまるで貴族のダンスパーティで踊るかの如く華麗なステップで敵に迫る。
「うわわわわっ!」
両手に握る剣で迫り来る大鎌を打ち落としたり払うように防御するのが精一杯のベルキラにマサキから叱咤が飛ぶ。
「何やってんだ!しっかりしろ!」
「ふざけろ!コイツ何なんだよ!?」
ルシーナの猛攻が止み、いったん距離を取った二人が構えなおす。
「舐めやがってぇ・・・こっちから行くぜ!『旋風剣斬』!」
ベルキラは自分の体を回転させながら両手に持った剣を振り回す。
だが、切りかかった瞬間ルシーナの姿が消えた。
「なにっ!?」
瞬時にベルキラの死角に滑り込んだルシーナ。
「行きますわよ!<死の大鎌の円舞曲>!」
円舞曲のリズムで軽やかなステップを踏み、ベルキラの周りをまわりながら円を描くようにベルキラの死角を取り続ける。
「ど、どこ!?」
さらにルシーナは大鎌を鋭く振り回す。鎌の斬撃がベルキラを襲う。
「うわわわわっ!?」
キャキャィーン!!
瞬間、両手の剣を鎌で弾き飛ばされ、首に鎌が添えられる。
「チェックメイト・・・ですわね」
「おいっ!どーなってんだよ!?」
マサキが怒鳴り散らしているが、イリーナにボディブローを食らって苦悶の表情で倒れたアーノルドはまだ意識が戻っておらず、ルシーナの大鎌に襲われたベルキラは冷や汗どころか脂汗を掻きまくって震えていた。
「あいつら、尋常じゃねェ・・・」
まるで生まれたての野ネズミの如くプルプルして丸まっているベルキラにマサキは声をかけようにも声が出ない。
「ふむ・・・なんだか高い攻撃手段をお持ちの様ですね~」
「そんな呑気な事言ってる場合かよ!?」
「落ち着いてくださいマサキ、要は攻撃を通さなければいいのです。次は私が出ましょう」
次に中央に足を進めたのは『白き癒し手』の異名を持つ神官サレンダーであった。
「私は神官ですから、人を傷つけることは望みません。防御魔法をかけますので、それを突破できればそちらの勝ち、突破できなければこちらの勝ちでいかがでしょう?」
両手を広げて爽やかスマイルを展開するサレンダー。
いつの間にか地下訓練場には受付嬢や他の冒険者たちが見学に訪れていた。
結構な見学の人数が集まっており、その中の女性たちからサレンダーに対して黄色い声援が飛んでいた。
「その条件で~いいですわ~」
ゆるふわぽよぽよの雰囲気でスキップして前に出てきたのはアナスタシアだった。
「それでは始めましょう、大いなる神の御手よりその力零したもう、わが身を守る盾とならん!<光の壁>」
サレンダーの呪文展開により光の壁がサレンダーを包むように展開される。
「さあどこからでもどうぞ」
自信満々のサレンダーに対峙したアナスタシアは両手を胸の前に出すと、手のひらを向かい合わせる。アナスタシアの魔乳が大きく揺れるため、男たちの視線が集中的に集まっていた。
「収束せよ~、<闇の力>」
アナスタシアの言葉に応じる様に黒い球が両手の間に収束していく。
「あ・・・あああ・・・な、なんだその闇の力は・・・」
滝のような脂汗を流し始める神官サレンダーに応援していた女性たちも異変を感じ始めた。
「<闇の弾丸>~、バキュ~~~ン」
アナスタシアは右手の人差し指をサレンダーに向けると、バキューンと銃を撃つような仕草をする。
ドパンッ!!
あっさりと光の壁をパリンとぶち抜き、ものの見事に神官サレンダーの眉間を直撃した闇の弾丸。
シュゥゥゥゥゥと眉間から煙を噴いてサレンダーは大の字に倒れた。
「やった~、私の勝ち~」
アナスタシアがぴょんぴょんと飛び跳ねるので大きく揺れる魔乳に多くの者たちが釘付けになる。だが、<黄金の道>の残り二人は倒された三人を見て、とんでもない連中にかかわってしまったと顔を青くするのだった。
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