第338話 飛び込んできた奥さんのピンチに素早く対処しよう
秋の夜長はまさスラ祭り! 第三弾はさっそくトラブル起こしたイリーナとサリーナをめぐってのお話?です!
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「ふ~~~、やっと一心地着けるか」
俺はいろんな柵から多少なりとも解放されて心身ともにリラックスした夕方を迎えていた。目の前ではメイド長のリンダがお茶の用意をしている。
お茶を楽しんだ後はしばらくすれば夕飯である。それまで俺は特にすることもなく、リビングのソファーに深々と体を沈めたままボーッとするつもりであった。
「ホント、貴族とかメンドクサイ・・・」
天空城ウラーノスの発見から、墜落まで、一通りを報告した後の王国は蜂の巣をつついたような喧騒に包まれることとなった。
技術端の連中は墜落した天空城ウラーノスの調査を主張し、冒険者たちはこぞって俺の領地である神都ヴィレーベに向かった。
魔の森奥に墜落した天空城ウラーノスの調査は危険極まるとして俺は領主としての権限を発動し、大規模な調査を禁止させた。そのため、技術端の貴族や一獲千金を狙いたい貴族たちから突き上げを食らうことになった。ホントメンドクサイ。そして冒険者たちは神都ヴィレーベの冒険者ギルドマスターであるアクアマリンに魔の森調査への制限をかけてもらっている。それでも魔の森へ強行突入する連中もいるが、そこまで面倒は見切れない。止めても無視して魔の森に踏み込むのは自業自得だろう。
実際、魔の森とはその名の通りで、凄まじいランクの魔獣たちの住処であるのだ。生半可な連中がひとたび足を踏み入れれば、再び生きて森を出ることなど到底かなわない場所なのである。俺はいちいち狼牙族のパトロール隊に冒険者たちの命を守らせるようなことはしない。さっきも思ったが、自覚して魔の森に踏み込む以上、その命の管理は自己責任であろう。
「まあまあ、旦那様も上級貴族でありますれば、貴族同士の交流というものも大事になってきますので・・・」
俺のボヤキにセバスが応えてくれる。セバスはスライム伯爵家の執事長であるセバスチュラ、愛称である。
「あの、恐ろしいほどのパーティお誘い連絡、どうにかならんのかな?」
「ある程度はお断りできますが、同格以上の爵家や、子爵家や男爵家でも旦那様と親交の深い貴族は顔を出して差し上げるのがよろしいかと」
「むう・・・チョーしつこいんだよな、キルエ侯爵とかさ」
「それはそうでしょう。キルエ侯爵は旦那様が貴族に叙爵された頃から旦那様を推しておられましたからな」
「キルエ侯爵は元々まっすぐな性格が煙たがられていた女性当主だったな」
俺は美しい銀髪のシルヴィア・フォン・キルエ侯爵の姿を思い出す。
彼女を襲撃した賊から王都警備隊隊長のクレリアとともに命を救ったことがより自分を推すことになったのかと回想する。たまに自分を愛人にしろとか、家を存続させるために種をくれとか恐ろしい冗談を美しい真顔でかましてくるため、非常に困る。うん。
「その他も奥方様の実家であります、ルーゲンベルグ伯爵家やコルーナ辺境伯家からのお誘いなどは必ず訪問すべきかと」
「そりゃそうか、娘を連れて顔を見せろというのは親としては当然か」
「御意」
「そりゃ奥さんの実家からのお誘いを無視するほど空気が読めないわけじゃないけどね。それにしても、その他商会からも多くのパーティに誘われているなぁ」
「旦那様は伯爵家当主であらせられるとともに、今や大商会に名を連ねるアローベ商会の会頭と言うお立場でもあらせられますので・・・」
「俺、忙しすぎない?」
マジでおかしいと思うんだよね。最近。
「それも旦那様の才覚あれば致し方なき事かと・・・」
「俺、田舎でスローライフを楽しめればよかったんだけどな・・・」
奇跡の泉のほとりでのんびり魔力のトレーニングに励んでいたころが懐かしいよ・・・と俺は独り言ちる。
「どうぞ」
メイド長であるリンダがお茶の入ったカップを俺の前にスライドさせる。
僅かに浮かせているのか、テーブルと擦れる音がしない。感心するよ。
「ありがとう」
そう言って俺は一口お茶を含んだ。
「ヤーベ!大変だて!イリーナ殿がカジノで白金貨五百枚も負けたらしいで!」
「ぶぶふぉっ!」
俺はせっかくリンダが入れてくれたおいしいお茶を全開で噴いた。
無言で顔色一つ変えずにテーブルを掃除するリンダ。メイドの鏡だ。
とりあえずノックもせずにリビングに飛び込んできたゲルドンを見る。
ゲルドンはオークだからな。家の中でも真っ赤なフルアーマーが基本だ。
「ど、どうしてそんなことに!? てか、この世界カジノなんてあったのか?」
俺は世間に娯楽が少ない状態を見てリバーシとかゲームを売り出して大もうけしたんだぞ?カジノとかあるなら、もっと娯楽が世間に流行っていてもいいだろうに。
「なんか、この前参加したパーティでどっかの男爵夫人にイリーナ殿とサリーナ殿がカジノに行こうって誘われたらしいだよ。そうして今日昼から出かけて行っただが、ヒヨコがさっき屋敷に飛び込んできて、イリーナ殿たちが大負けして大変だって連絡してきただよ」
身振り手振りを交えて説明してくれるゲルドン。フルプレートの全身鎧なためガチャガチャうるさいが、ゲルドンに文句を言っても仕方がない。
「噂ですが、貴族や金持ちの商人だけを客にした闇カジノがあるとか・・・」
セバスが顎髭を撫でつけながら呟く。闇カジノね・・・。俺は博打の才はからっきしだったからな。カジノなんてあっても行かなかったろうけど。
「セバス。小型のトランクに白金貨を用意してくれ」
「はい。五百枚でよろしいでしょうか?」
「いや、白金貨千枚だ」
セバスの目が大きく見開かれる。俺はニヤリと笑った。
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