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投稿400話達成記念 リーナの成長日記⑤ 結成!解決リーナ団(中編)

ついに350万PV、32万ユニークを達成することができました。

これも一重に皆様が西園寺をお見捨てにならずお読みいただき続けた結果であると思います。

これからもどうぞ応援の程よろしくお願いいたします。


「贋金作り?」


「そうなのでしゅ!」


リーナはその夜、夕食や湯あみを済ませ、ヤーベの寝室でパジャマに着替えた後、今日部下である少年たちから聞いた情報を相談していた。


「わるーいやつらが南区の端の古い教会に集まって金貨の偽物を作っているらしいでしゅ!」


身振り手振りで今日あったこと、そしてヤーベの判断を仰ぐべきと判断した贋金作りの情報を話していくリーナ。そんなリーナをヤーベは微笑ましく見つめながら聞いていた。


「なんでも、無理やり贋金作りを手伝わされている人がいるらしいのでしゅ!」


リーナはふんすっと両こぶしを握りこむとぷんぷんと怒ってますポーズでアピールする。

なんでもその後リーナ自ら調査に行ったらしい。

そんな危険な事をと説教したくなるが、実際の所ローガ以外にもヒヨコ十将軍序列第三位クロムウェルとその配下、そして第六位カーデンとその配下もリーナの護衛のため派遣していた。そのため、よほどのことがない限りリーナにピンチが訪れるようなことはない。だが、完璧と思っている布陣でさえ不測の事態に陥り、イリーナを危機に晒したことがいまだにわずかな楔としてヤーベの心の奥底に沈んでいた。


だが、ヤーベはこの楔を決して忘れることなく、自分の大事な人たちが危機に晒されることが決して無いよう徹底した配慮を行っていた。

その上でリーナには自分の意志でいろんな行動を実践し、経験を積んで欲しいと思っていた。特に奴隷だったリーナには自らの意志というものを大事にしてほしいとヤーベは常々考えていたのである。そのため、リーナが自身の意思で持って行動を起こしたことについてはある程度無茶なことであっても万全のバックアップを持ってその行動を擁護していたのである。


わずかばかりのヤーベの助言からリーナは様々な判断を下していた。

パン屋のおばあさんの腰のマッサージだけでなく、パンの仕込みの手伝いを指示したのも、ヤーベのちょっとしたアドバイスからだった。パンの仕込みを手伝うことによって、職業訓練の一環も担っているのだ。孤児たちが路頭に迷うことなく、手に職をつけていける可能性を求めて・・・。ヤーベはリーナを通してその可能性を見出していた。


「無理やり攫われて贋金を作らされている人も、弟が人質になっているから仕方なく従っているみたいでしゅ!」


ふんすっすんすっと興奮しながら握りこぶしを振り回し熱弁するリーナをヤーベはずっと温かい目で見つめていた。


「それで、リーナはどうするつもりだい?」


「早速明日乗り込んでその弟しゃんを助け出して、無理やり働かされているおにーさんももう我慢しなくていいと伝えるでしゅ!」


(おおうっ・・・リーナよ、お前はそれほどまでに立派に育ったのだな・・・)


ヤーベは心の中でダバダバと号泣しながらリーナを見つめた。

ふんすっと力を入れているリーナの頭をなでなでしながらヤーベは言った。


「リーナ、気を付けて行くんだよ。そして、もしリーナが敵に囲まれてピンチに陥ったら・・・」


「陥ったら・・・でしゅか?」


「そう。陥ったら、魔法の言葉を唱えるといい」


「魔法の言葉・・・」


リーナは大きな目をくりくりと開けてヤーベを見つめた。


「そう魔法の言葉は―――――」







「A班、扉の周りを偵察するのでしゅ」


「ラジャ!」


こそこそと三人の少年が古ぼけた教会に近づいていった。

三人の少年は建物入り口周りを調査した後、指先のハンドサインで「オールクリア」を伝えてくる。


「B班、トツニュー準備でしゅ」


「ラジャ!」


大きなトンカチと風呂敷包み。コショウ爆弾など、子供心満載の武器をそれぞれ手にもって廃屋の教会入り口に子供たちが集まる。


「C班、バックアップでしゅ」


「ラジャ!」


組織(リーナ団)の中でも身軽な者たちが配置されたC班が突入部隊であるB班のバックアップに動いた。


各班が所定の位置に着く。一瞬の静寂。


「トツニューでしゅ!」



ドバンッ!



廃屋の扉を押し開け、子供たちが突入する。


「な、なんだ!?」

「ガキだ! ガキが入ってきやがった!」

「ふざけんなよ!ここをどこだと思ってやがる!」


明らかに廃屋とはいえ教会にいるような人物像ではない、堅気ではないチンピラたちが棒や剣を手に五人ほど走ってきた。


だが、


「ピピピィ!(今だ!)」


隠れていたヒヨコたちがロープを一斉に引く。


「ガッ!」


ズダダダダン!


走り出したチンピラたちがヒヨコたちの引いたロープに足を取られ床に転がる。


「今でしゅ!」


「「「おおおっ!」」」


袋を頭にかぶぜトンカチでぶちのめす子供たち。

立ち上がろうとするチンピラにはコショウ爆弾をぶつけて妨害する。


「ゴホッ!ゲヘッ!」


「捕縛でしゅ!」


「ピピィ!(ラジャ!)」


ヒヨコたちが捕縛用ロープでチンピラたちをぐるぐる巻きにする。

さすがに子供たちの力で縛り上げるのは難しいとの判断なのか、ヒヨコたちが精力的に働いている。


「ピピィ!(ここです!)」


ヒヨコ十将軍序列第三位クロムウェルが祭壇裏の床間を指さす。


「引っぺがすでしゅ!」


「「おおっ!」」


ガタイのいいゴードンが床の板を持ち上げる。

下には階段が続いていた。


「気を付けてトツニューでしゅ!」


「「おおっ!」」





降りて行った通路を進んでいき、通路横の扉を開けると、小さな男の子が縛られていた。


「もう大丈夫でしゅよ!」


そう言って縛られている子供を助け出す。


「うわ~~~ん!」


「もう大丈夫でしゅ、大丈夫でしゅよ~」


リーナに抱き着いて泣く少年は三歳くらいの小さな男の子だった。


「にいちゃんが・・・にいちゃんが・・・」


「もちろんおにいちゃんも助け出すでしゅ!」


リーナがぐっと拳を握ると、少年はニパッとやっと笑顔を見せた。






地下通路の一番奥、その扉を開けると、一人の男が机に向かって一心不乱に作業していた。

その足元にはたくさんの金貨が入った箱が置いてあった。


「にいちゃん!」


助け出した少年が泣きながら走って行く。


「トマス!お前、どうして脱走できたんだ!?」


顔につけていた拡大鏡を外して作業していた青年が顔を上げた。

抱き着いてきた弟を優しく抱きとめる。


「我々が助け出したでしゅ!」


ババーンと胸を張るリーナとその子分たち。


「き、君たちはいったい!?」


「我々は!」


ババーンと手を挙げてポーズをとるリーナ。


「東に腰が痛いおばあさんがいれば行って腰を揉み!」

「西に迷子の少年がいれば行って手をつなぎながら親を探し!」

「北に寂しくて泣く少女がいれば行ってともに励まし!」

「南に腹を空かせた子供がいれば、行って近くの教会で炊き出しを行ってくれるようボスに頼み込む!」


「我ら、解決!リーナ団!」


バババーン!


リーナを中心に子分たちが戦隊もののようなポーズで決める。

ドヤァ感が半端なかった。


「早速悪い奴らが帰ってくる前に脱出するでしゅ!」


「どこへ行こうというのかね?」


リーナの声を遮るように入り口から大人が何人も入ってきた。


「どこから嗅ぎつけて来たのか・・・困った子供たちだ」


見れば見張りに残しておいたC班の子供たちが全員捕まって連れてこられていた。

C班のメンバーたちが捕まっているとはいえ、誰も欠けていないことにホッとする一方、この分では縛っておいたチンピラたちの縄も解かれているかもしれないとリーナは思った。


「その男を連れて行かれると困るのですよ・・・仕事に差し支えが出るのでね」


「お仕事でしゅか・・・オジサンのお仕事は偽物の金貨を作ることでしゅか?」


リーナの言葉に主犯格らしき男の目が細まる。


「ほう・・・子供のくせにそんなことまでわかっているのか・・・」


「しかもこのお兄ちゃんが働かないと悪いことができないんでしゅね」


リーナの目も細まる。


「そうだよ。その男は王都の芸術コンテストの彫刻、彫金部門で優勝した新進気鋭の芸術家だよ」


「その腕前で金貨を作る型をつくらせたんでしゅね。しかもできた金貨のチェックまでさせて・・・。悪いコトしてるのにお兄ちゃんにおんぶにだっこでしゅね」


存外に人質取って働かせているだけでお前たちは何もできないのかと言われた主犯格は顔色をかけて激怒する。


「こっ・・・小娘風情が!許さん!子供たちなぞ皆殺しにしろ!」


キレた主犯格が部下のチンピラたちに号令をかけた。


「姫!どうしますか!?」


慌てた部下の少年たちがトンカチやコショウ爆弾を握りしめながらもリーナを見つめる。


「姫は絶対守る!」

「にっちゃ!かっこいー!」


幼い兄妹さえもリーナの前に立とうとする。


だが、リーナは落ち着いて部下の少年たちを制する。

突入時についてこなかったが、ローガが自分をどこかで守ってくれているに違いないこと。目に見える周りにヒヨコたちがいなくてもどこかで待機しているはずなこと。

何より、愛すべきご主人様―――― ヤーベより送られたあの言葉がある。


「リーナたちに手を出すと、後悔しましゅよ?」


「バカが!現状も理解できんか!」


今にも殴り掛かってきそうな勢いでキレる主犯格の男。

だが、リーナは落ち着いて右手の人差し指を天へと掲げる。

そして愛するご主人様であるヤーベから教えてもらった「魔法の言葉」を紡ぎ出す。



神降臨(コールゴッド)



唱えられた言葉。

だが、一瞬の静寂の後――――なにも起こらなかった。


「ブハハハハッ! 神の降臨だぁ? 妄想もいい加減にしろ、ガキめ! 神様が助けてくれるとでも思ったかぁ!」


愉悦に浸るように高笑いする主犯格の男。


その時――――


バキバキバキッ!!


天井が崩れ、瓦礫が降ってくる。


「うわっ!なんだ!?」


だが、リーナたちはなぜか結界に守られており、降り注ぐ瓦礫からも守られて一切のダメージはない。逆にチンピラたちは瓦礫に当たったり埋もれたりしていく。

気が付けば、捕まっていたC班の少年たちもリーナの近くに移動させられており、結界内で守られていた。

そして天井が完全に崩れ、光が地下室に降り注いだ。


「な・・・ななななな・・・」


崩れた天井を見上げ、一人を除いてその場の全員が絶句する。


「神様が来たでしゅ」


一人絶句していなかったリーナがにっこりと微笑む。

見上げた空には巨大なティアドロップの姿に大きな翼を羽ばたかせたスライム神様が顕現していたのである。



今後とも「まさスラ」応援よろしくお願いします!

よろしければブックマークや評価よろしくお願い致します。

下の5つの☆を★にしていただくと、西園寺にエネルギーチャージできます(笑)

ホントに現在深刻なエネルギー不足に陥っておりますので、皆様の応援チェックを頂けるととてもうれしいですv(^0^)v

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