第333話 必殺の一撃を放ってみよう
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「さて、オペレーション『命を大事に』を発動しますかね」
そう言って俺は両手を広げて手のひらからスライム細胞をまるでシャボン玉のように噴射させる。
「<スライム的救命下敷き>」
落ちてくる兵士たちを受け止めるようにスライム細胞で作ったクッションを大量に放出する。兵士たちは勢いよく跳ねるが、その衝撃は吸収され安全に地上に降りることができた。
・・・巨大マットのように一つの塊で受け止めた方が楽だったと思わなくもないが、それはやってみてわかったことだからな。うん、何でも実践してみることが大事。
一応艦長のドルーガは俺が直接空中でつかんで助けた。偉い人らしいし。
オッサンというかひげ面の初老の男だからな、襟首つかんでぷらーんとしてるけど。
お姫様抱っこは女性オンリーなのだ。
「き、貴殿はいったい・・・!?」
「話は後。兵士たちをまとめて離れていてくれ。死にたくなければな」
そう言って地面に下ろす。
「ああ、ちなみにあっちにいる俺の仲間や奥さんたちに手を出したら、あの超巨大ゴーレムと戦う方がマシだったと思えるほどの地獄を見せるからな?」
そう言って威圧するとひげ面のドルーガは首を縦にブンブンと振った。
「よろしい、では兵士を連れて避難していたまえ」
ちょっと偉そうに指示を出す。
ドルーガが離れていったところでローガ達とフィレオンティーナ達に指示を出す。
「俺があの超巨大ゴーレムを倒すための準備をする。空中で常にあのゴーレムの視界に入って的になるように動くから、しばらくあの砲撃が行えないよう、こまめに攻撃してくれ!」
「了解です!」
ローガ達が超巨大ゴーレムの正面に浮かぶ俺を迂回するように左右に展開し、攻撃をちょこちょこ行う。あの口から出す強力なエネルギー波は、かなりも溜めを要した。すなわち、ダメージが通らなくとも、攻撃を邪魔するようにチクチク攻めれば、動く標的であるこちらを捕捉して攻撃してくるので、溜めがいるあのエネルギー攻撃は来ないはず。まずは対処する時間を稼ぐことだ。
ローガ達が攻撃を繰り返し、その間にフィレオンティーナが呪文で援護する。
腕を伸ばして俺たちを捕まえようと暴れるがもちろん俺たちは素早くかわす。
そのうち、捕まらないことにイラついかのか、まるで駄々っ子のように長い腕を振り回して超巨大ゴーレムが暴れ始めた。
ドカンと腕が天空城の屋根に当たり、城の一部が破壊される。
「うわぁぁぁ!」
見ればスクリーンの向こうで振動に驚いたのかしりもちをついているスカームが見えた。
「はっはっは、コントロールできない超巨大ゴーレムを振り回すからだ!」
俺はスクリーンに向かってバカにしたように笑う。
「ぐぐぐ・・・貴様ちょこちょこと逃げ回り追ってぇ!殺せ!最強のガーディアンゴーレムよ!奴らを殲滅せよ!」
「ガァァァァ!!」
さらに激しく腕を振り回し暴れ出す超巨大ゴーレム。
あのスカームとかいうヤツ、結構短気なのな。もうゴーレム制御する気があるのかも怪しい。
というか、細かい命令とか聞けないのかもね。
そう言いながらも俺は超巨大ゴーレムを倒すため、策を準備していく。
「スライム細胞鏡面化・・・現在67.5%。もうちょいだな」
後少し準備に時間がかかる。
それまでヤツに必殺のエネルギー波を撃たせることだけは避けねばならない。
「もう少し時間を稼いでくれ!後少しだ!」
「「「ははっ!」」」
ローガ達が威勢の良い返事をして超巨大ゴーレムに襲い掛かる。
本当に俺にはもったいない部下たちだよ。頼りになるね。
だが、フィレオンティーナの呪文援護が途絶える。どうやらついに魔力切れのようだ。
ポニテ美女の魔法の矢の援護も切れ、アンリ枢機卿の光の魔法のシールドももう維持が限界だ。
そしてついに超巨大ゴーレムが口をカパッと開けてこちらを向いて止まる。
キュィィィィィィン!!
エネルギーが強力に加圧収束されていく嫌な高周波音が響く。
「ローガよ!全員退避!!」
「ははっ!ボスもご無事で!」
俺を信頼して狼牙族全頭を退避させるローガ。お前は本当に俺の右腕だよ。
「スライム細胞鏡面化・・・鏡面化率99.7%・・・鏡面化完了」
俺は思わずニヤッと笑ってしまう。
おいおい、ヤツの咆哮発射ギリギリじゃねーか。まるでラノベの主人公の様だよ、まったく。
毒づきながらも超巨大ゴーレムの光の咆哮の的になるべく、空中に制止する。
「ガァァァァァァァ!!」
そして、俺を的としてとらえた超巨大ゴーレムから放たれる圧倒的エネルギーが俺に向かってくる。
「最強の盾を貫くには、最強の矛を用いればいいってなぁ!」
俺は両手の平を前に突き出した。
「<全反撃>!!」
俺の突き出した手のひらからまるでパラボラアンテナのように円形にスライム細胞が広がる。その表面は向かってくる超強力なエネルギーを反射させるため、極限まで魔力を圧縮して細胞表面をツルツルに鏡面化することによりエネルギーを反射させやすく仕上げてある。
ドシャァァァァァァァァァ!!
凄まじいエネルギーの収束音がすると、まるで鏡に反射したかのごとく白い光の奔流が超巨大ゴーレムに向かって跳ね返された。
キュバァァァァァ!!
あまりのまぶしさにその場の全員が目を開けていられなくなる。
だが、その光もあっという間に収まった。
「なっ・・・!」
モニター越しに見ていたのか、スカームが絶句する。
その漏れたうめき声が合図になったかのごとく、上半身がきれいさっぱり吹き飛ばされ、腰から下、下半身しか残っていないゴーレムの残骸がゆっくりとその場に崩れ落ちた。
「フルカウンター」の「全反撃」表記に問題がある(笑)場合は「全反射」でフルカウンターと表示しようかなって思います(大した違い無し?)
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