第332話 人道に基づき行動してみよう
ついに通算400話に到達することができました。
これも普段からお読みいただいている皆様の応援のおかげです。
最近は50話ごとに展開しておりますリーナの成長日記ですが、天空城編が終わった後の平和な日々での話の予定となりますので、キリのいいところまで本編を続けてから投稿させていただきます。
また、先月7月7日には投稿スタートから2周年と言う記念の節目でしたが、諸般の事情により完全スルーとなっておりました。これについてもどこかで記念SSを投稿できればと考えております。(ネタはまだ考えていませんが)
日々皆様にお読みいただいていることが作品投稿への力になっております。
今後ともどうぞ応援の程よろしくお願いいたします。
天空城の屋根に届くような超巨大ゴーレム。
昔の天空人はバカなのか?自分たちの城よりデカイ超巨大ゴーレムって。
・・・まるでスーパーロボットの大戦的な?
何かココロの奥でうずくモノが。
「ヤーベ、何ニヤついてるんだ?」
イリーナのツッコミに我に返る。
「え、俺ニヤついてた?」
「うむ、悪だくみをする悪代官の顔をしていたぞ?」
誰だよ、イリーナに悪代官とか地球の言葉を教えたヤツ。
「荘厳なる精霊たちよ!天空にありし力持ちて雷鳴よ轟け!<雷鳴衝破>!!」
再びフィレオンティーナからレーザーのごとく電撃が放たれる。
ジト目をしてシーナを睨んでいる場合じゃなかったな。
ドゴォォォォン!!
超巨大ゴーレムの胸板を稲妻の咆哮が直撃する。
だが、激しくスパークした光が収まると、やはりそこには傷一つない超巨大ゴーレムが姿を現した。
「<雷鳴衝破>で傷一つつかないとは・・・」
フィレオンティーナの表情に驚愕の色が浮かぶ。
「ボス!奥方様方!お下がり下さい!ここは我々が!」
そう言うとローガ、風牙、雷牙の3頭が踊り出る。
「大魔法を打ち込む!前衛を務め呪文詠唱の時間を稼げ!」
「おうっ!」
「はっ!」
ローガの指示にするどく返事をしながら駆けだす雷牙、風牙。
「ルミナ・バロール・エクステント! 精霊の御名において、数多の子らに告ぐ!」
ローガが自身最大の呪文詠唱を始めると、その上空にはいつの間にかいくつかの火炎球が浮かび始める。
前衛を任された風牙と雷牙はそれぞれ超巨大ゴーレムの左右に分かれて走りだした。
『<雷の雨>』
『<風竜巻>』
雷牙、風牙がそれぞれ呪文を唱えた。
激しい雷が巻き起こり、突風が巻き上がる。
『『合成魔法<雷の嵐>!』』
ドガガガガ――――ン!!
凄まじい竜巻が雷を纏い、とてつもない嵐が超巨大ゴーレムを包み込む。
「火炎界の階層におけるその理を外れ、我が手に集え。ゲヘーナの業火よ、我が敵を焼き尽くせ!!<業火焦熱地獄>!!」
そこへ呪文の詠唱が完了したローガが放ち追撃をかける。
巨大な12もの火炎球が渦を巻くように回りながら超巨大ゴーレム目掛けて落ちてくる。
ドオオオオオオン!!
竜巻に雷に超高熱の炎に晒された超巨大ゴーレム。
だが・・・
「ま、まさか・・・」
「信じられん・・・」
「これほどとは・・・」
ローガ達が絶句する。
ゴーレムの足元の土が高熱で歪むほどの影響が出ているのに、超巨大ゴーレムはその表面に傷一つ入っていない。四聖獣筆頭の<不死鳥>すらその存在すら一片も残さず焼き尽くしたローガ最大の呪文がダメージを与えられなかった。
「<真空断層波>」
キュィィィィン!
ローガ達が放った呪文の効果が無くなった瞬間を見計らって俺は風の上位魔法<真空断層波>を放つ。
圧縮した空気で作り出した真空の刃を纏う強烈な竜巻が超巨大ゴーレムを襲う。
だが、派手に甲高い音を立てるだけで超巨大ゴーレムにはダメージが通らない。
「こりゃあ属性防御ってやつか・・・」
属性防御はある特定のエネルギーに対して高い防御力を発揮する。
だが、ローガ達の呪文を弾いたとなると、四大属性に対して相当高い防御力を持つという事だな。
「破邪霊砲陣」
魔法陣内のあらゆる存在にダメージを与える無属性エネルギーをベースとする攻撃魔法陣を展開する。
魔法陣に強力な無属性エネルギーが加圧され、ゴーレムを押しつぶそうとする。
「グゴガァァァァ!!」
ゴーレムなので痛みを感じることはないだろうが、魔法陣に捕らえられて身動きがしにくくなったことを不快に思ったのか、ゴーレムが咆哮を上げる。
「やはり無属性エネルギーは完全に防御できないようだな・・・」
だが、無属性エネルギーの攻撃力を高めることは難しい。魔力そのものの力でもあるからな。魔纏術で戦っても超巨大ゴーレムを倒しきるだけの瞬間火力を生み出すことはできないだろう。
「皆の者、聞けぃ!」
不意に敵リセル・ローフィリア神聖国の飛空戦艦から放送のような声が聞こえた。
「第一飛空戦艦ゴライトン、艦長のドルーガじゃ! リセル・ローフィリア神聖国の兵士たちよ! 今すぐゴライトンに戻り乗船せよ! 宝など捨て置け! 命より大事な宝などない!」
おお、やっとまともな事を言う人間が出て来たぞ。艦長ってことはそれなりに偉い人だろう。多少なりとも今後の行動に期待が持てそうかな?
「な、なにを言うか!ワシの大事な宝じゃぞ!」
「不敬ですよ!ドルーガ卿!」
ヒキガエルと腰巾着が何やら喚いていたのだが、
「「ちゃぶ!!」」
超巨大ゴーレムが魔法陣を破り、一歩飛空戦艦の方へ足を向けたためちょうどそこにいたヒキガエルと腰巾着は哀れ超巨大ゴーレムに踏まれてしまった。
「あーあ」
なんだかリセル・ローフィリア神聖国の偉い人だったようだが、現在は見る影もないな。超巨大ゴーレムの足の裏にちょっとへばりついているかもだけど。
「宝石よりも命を惜しめ! 早く搭乗せよ!」
最後の飛空戦艦の動力が動き出す音がしてプロペラが回りだす。
どうやらギリギリまで待って離陸するようだ。
なかなか部下思いだな。
「来るぞ! 砲撃準備! 少しでも足止めして兵士を助けるのだ! 撃てぇ!」
ドンドンドン!!
連続して飛空戦艦から砲撃が放たれ、爆風が舞い上がる。超巨大ゴーレムにダメージは通らなくとも、舞い上がる爆風と砂塵で視界が聞かなくなるのか、超巨大ゴーレムの攻撃が鈍り、兵士たちが踏みつぶされたりされたり捕まらずに飛空戦艦に逃げ込んできた。
「よしっ!離陸せよ!全速離脱!!」
飛空戦艦がありったけの砲撃を続けながら天空城を飛び立とうとする。
だが、爆風の切れ間から飛空船が見えたのか、音によって位置を把握したのか、飛空戦艦は超巨大ゴーレムに捕捉された。
「ガアアアア!!」
「飛ぶんかい!!」
手を伸ばしてもわずか飛空戦艦に届かない。そのまま逃げ切れるのかと思いきや、まさかの超巨大ゴーレムがジャンプ!その手で飛空戦艦をつかむ。
バキバキバキ!
「Oh・・・」
まさにその胴体をわしづかみにされ、ばらばらに砕け散る飛空戦艦。若干ちょっと欲しかったと思っていた俺は少しもったいないと思ってしまった。が、それよりも落ちてくる兵士たちをどうするか。さっきまでの完全盗賊野郎どもなら「悪・即・斬」でもよかったけど、青い顔したり泣きわめきながら宝を放り出して命からがら逃げ惑う連中を見殺しにするのもなぁ、何となく寝覚めが悪い。それにドルーガとか呼ばれていた飛空戦艦の艦長の地位にいるらしい将軍は一廉の人物のようだ。死なせるには惜しい気がする。
「あなた!なんとかなりませんか?」
超巨大ゴーレムとの戦闘に巻き込まれないよう遠くに離れていたカッシーナが大声で俺に叫ぶ。そうだな、ただただ失われる命を見ているだけというのも人道的にどうかとも思うしな。
俺は超巨大ゴーレムを横目に、破壊された飛空戦艦から落ちてくる兵士たちを助けるためもうひと働きすることにした。
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