第323話 優雅な食事時間を邪魔する敵には「めっ!」しよう
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予告通り、リーナちゃん潜在能力をちょっと開放!こうご期待!
天空城ウラーノス 『食堂』にて―――――
「うまうまでしゅ――――!」
「確かに、コレはウマいのぅ!」
「キュキュ――――!!」
「ズゴズゴ――――!!」
リーナとミーティアはトロトロの半熟オムライスを書き込むように食べてはお代わりしていた。ヤーベの作るごはんはとてもおいしかったのだが、生卵や半熟卵は衛生上の問題もありチャレンジを後回しにしていたため、リーナやミーティアが半熟卵を食べるのはこれが初めてであった。そしてトロトロ半熟オムライスにドハマりしてしまった二人は、口の周りをケチャップと卵でべちょべちょにしながら一心不乱にオムライスをかき込んでいた。
ちなみに神獣のジョージとジンベーは肉ヤサイマシマシニンニクアブラマシタレカラメラーメンをズバズバ吸い込んでいた。神獣たちは健康に気を使わないらしい。
稼働停止状態となった天空城ウラーノスであったが、『食堂』の施設はシーナが管理者権限を登録していたためか稼働していた。そのため、リーナやミーティアは思いっきり注文ボタンを押しまくって料理を注文しまくっていたのだ。
「みんなすごい食欲ね~」
一人アナスタシアだけがアフタヌーンティーよろしく優雅に紅茶とスコーンを嗜んでいる。
「お!かわいい女がいやがるぜ!」
「マジで!超美人じゃねーか!」
「俺はあの小さい子をもらうぜ!」
「お前やべー性癖だなぁ」
「げっへっへ!」
そこへどやどやと兵士がやって来た。
食堂は巨大ホールのように広いため、多くの人数が集まれる。それが災いして一気に敵兵士が食堂に流れ込んできたのだ。その数百人以上であった。
「なんじゃ?変態ロリコン盗賊が大勢来たようじゃの。主殿がそうであったならば文句ないのじゃが、盗賊の変態などお断りじゃな」
「むー、ご主人しゃまは確かにリーナをまだまだ子供扱いするでしゅ。もうリーナは立派なれでぃなのでしゅ!だからリーナともっといっぱい同衾してもいいと思うのでしゅ!」
「あらあら、リーナちゃんはご主人様大好きね~」
スプーンを咥えながらむーと唸るリーナの頭を撫でるアナスタシア。
お主はほぼ毎日主殿が寝た後にベッドにもぐりこんで同衾しておるじゃろがと思わないでもないミーティアであった。
そして、百人以上の兵士がなだれ込んできても誰も驚かない。
ある意味肝っ玉の据わったメンバーであった。
「なんだこいつら? 俺たちを見ても平然とメシ食ってやがるぜ?」
「へっ!現実を教えてやればいいのさ! ヒーヒー言わせてやればよぉ!」
「そりゃいいや!」
ゲラゲラと下品に大声で笑う兵士たち。そんな連中をリーナは目を細めて睨んだ。
「ふおっ!? この人たちは悪い人たちでしゅか!? 悪い人たちは「めっ!」して俵積みにするでしゅ!」
なぜかスプーンを持ったまま立ち上がりテーブルの前に出て百人以上の兵士に対峙するリーナ。
「リーナよ、めっ!って何じゃ?」
「アビィしゃんに借りた聖典の中に書いてあったでしゅ。かわいいヒロインが悪い人を懲らしめる事をめっ!するって言うって書いてあったでしゅ」
リーナが鼻息荒くドヤ顔で説明した。
ここにヤーベがいたら事案発生である。
アビィ君を屋敷の裏に連行して小一時間は問い詰めることになったであろう。
後、ラノベを聖典と言わすなと別のツッコミも間違いなく入ったに違いない。
「なるほどの、めっ!するのじゃな」
「ちなみに、ヒロインが主人公をオシオキするときはとってもかわいく「めっ!」するでしゅ。悪党たちを懲らしめるときは強めに「めっ!」するでしゅ」
ふんふんと興奮しながら熱く語るリーナ。
「ふむ、で、こやつらはどう「めっ!」するのじゃ?」
ミーティアが戦えばこの程度の兵士は物の数ではない。
なにせミーティアは<古代竜>であり、生物の頂点に立つ存在と言っても過言ではないのだ。
(尤も、主様は別次元じゃがのう)
ミーティアはほぼ何もさせてもらえずヤーベに完封負けを喫した過去を思い出し、少し身震いした。
「ぎゃははは!」
「お子ちゃまたちが何か言ってるぜぇ!」
「オレ、もう我慢できねーよ!」
「いきなりズボンを脱ぐな!気が早えーよ!」
「これだから侵略戦争は止められねぇ!」
「そうそう、俺たちは神聖なる神の軍団。敵は浄化してやらんとなぁ!」
どこかの国の兵士であることはわかったのだが、それ以上に兵士たちは盗賊と何ら変わらないゲスな集団であった。
「この人たちは間違いなく悪党なのでしゅ。容赦しなくていいので思いっきり「めっ!」するでしゅ」
そう言ってリーナが両手を開いて前に突き出す。
手のひらには黒い靄が現れ、やがてリーナの両手を覆い包むように揺らめく黒い球体が出来上がった。
「この小娘魔術師か!?」
「油断するな!」
「間違っても殺すんじゃねーぞ!俺のお楽しみが無くなるからな!」
口々に欲望を口にしながら兵士たちが迫ってくる。
「最近リーナの中に怖いおねーしゃんがいるような気がするでしゅ。でも怖いおねーしゃんもご主人しゃまの事が大好きになって、リーナに力を貸してくれる気がするでしゅ。だからこんな悪党たちはリーナにとっては余裕なのでしゅ。めっ!して俵積みなのでしゅ」
ニコニコしたリーナは一人仁王立ちする。
そんなリーナにとてつもない形相をした兵士たちが雲霞のごとく迫りくる。
だが、リーナは微動だにせず、呪文を紡ぐ。
「<地獄の閃光>!!」
瞬間、リーナの両手から黒い光が弾けるように放たれた。
「あぱー」
「はぺー」
「ぴぽー」
黒い閃光が収まった時、兵士のほとんどがその場で武器を取り落とし、立ち尽くしていた。
顔は呆けて、言葉も怪しいうなり声をあげているだけの状態になっていた。
「あら~、どうしちゃったのかしら?」
優雅に紅茶を飲んでいたアナスタシアが敵兵士を見ながら驚いた表情でリーナに問いかけた。
「この魔法は悪い欲望を膨らませて弾けさせるのでしゅ!悪い心を持っている人ほど心が壊れて立ち直れなくなるのでしゅ!」
ふんふんと鼻息荒く、腰に両手を当てドヤ顔で説明するリーナ。
「リーナちゃんすごいのねぇ」
「正義は勝―つのでしゅ!」
アナスタシアが褒めると、腕をブンブン振ってリーナは勝利のポーズを決めた。
「<地獄の閃光>って、正義の味方が唱える呪文ではない気もするがの・・・」
思わずミーティアは呟いたのだが、リーナには聞こえなかったようだ。
(精神破壊の一種かの・・・。ヤーベと同じ殺さずはいいとしても、相当えげつない魔法じゃの。リーナの中の怖いおねーさんというのが気になるのじゃが・・・、ある意味潜在能力を解放させ始めたというところかの)
顎をさすりながらドヤ顔のリーナを見て思案するミーティア。ミーティア自身も最近ではすさまじく年は離れているものの何かとライバルライバルと張り合ってくるリーナをかわいい妹分として認識していた。そのリーナに何かあってはヤーベに申し訳が立たないし、何より自分が許せなくなる。そんなリーナの言う内なる怖いおねーさんが気にはなるのだが、リーナ自身がその潜在能力を解放し、強くなることは喜ぶべきことでもあった。
(ま、様子を見てそのうち主殿に相談するかの)
ミーティアは呆けている兵士たちを縛っては俵積みにしていくリーナを微笑ましく見つめるのであった。
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