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第308話 思い出した本名に気を配ってみよう

GW5連休中は毎日更新と言っておきながら間に合わず。

お待たせしたお詫びに、何とか本日中にもう1本上げたいと思います。



「さて、何から話したものか」


我が家・・・というか、我が屋敷のリビングはかなり広い。

来客用の応接室は「貴賓室」という名で偉そうな家具やソファーを用意した部屋がある。

このリビングは家族がのんびりできるように準備した。


横長ソファーが二つとテーブル。そしてふかふかの絨毯をよういして、人数が多くなれば絨毯に直接座ったりしてゴロゴロできるようなコンセプトにしているのだが、ふかふかの絨毯とはいえ、地べたに座るという行為には驚かれた。

・・・今では奥さんズのみんながすっかり絨毯でゴロゴロに慣れてくれた。リーナミーティアに至ってはたまに絨毯で寝ている。


そんなわけで、今は俺がソファーの中央に座っているのだが、その反対側にはカッシーナが中央に、その隣にアビィ君、その反対にイリーナが座っている。

そして一人掛けの椅子を持ち込んでテーブルの横に設置した。

このタイミングで宰相のルベルクがやって来たのだ。

資料を持ち込んでいるので、たぶん天空城の情報を持ってきたと思われる。

なぜかいるフカシのナツ、来客扱いの吉田のオッサンと鬼人族?の佐藤君はソファーの後ろで絨毯の上に座ってもらっている。その後ろに奥さんズの面々とシーナが座っている。

絨毯を大きいものにしておいてよかった。


そして、鎧姿のままのゲルドンが部屋に入ってきた。


「ヤーベ、おでを呼ぶとは珍しいだな」


「おう、ゲルドンお疲れ。スマンがその辺に座ってくれ。説明する」


「わかっただよ」


そう言って端の方にドカリとゲルドンが腰を下ろしたところで俺は説明を始める。


「みんな、集まってもらって済まない。これから説明するのは俺がワーレンハイド国王から直々に依頼された仕事の内容についてだ」


俺の説明に奥さんズの面々が少し緊張する。

ワーレンハイド国王からの直々命令。騎士であれば、その栄誉に身を打ち震えされるであろう名誉だろうが、ヤーベという男がそのような事で栄誉を感じるようなタマではないことは奥さんズの面々がよく知っている。


「ワーレンハイド国王からの依頼は空に浮かぶ城の探索・・・つまり天空城の発見と調査だな」


「その話、本当の事だったのですね・・・」


おいおいカッシーナよ。本当に信じていなかったのか。


「それ、さっきも聞いたけど、夢とロマンの塊のような仕事だね!」

「ですが、どのように進めていけばいいのか・・・」


サリーナがわくわくしたように発言すれば、ロザリーナはその困難さに顔をしかめる。


「まずは天空城ウラーノスがどのような存在だったのかご説明いたしましょう」


そこで会話に入ってきたのは宰相のルベルクだった。

手元にある資料を見ながら天空城ウラーノスの情報の説明を始めた。


「天空城ウラーノスはその姿を見た者がほとんどいない伝説の存在でした。文献にはかつて千年以上前に国家として存在していたとの記載がありました」


「国家ね・・・」


「天空城ウラーノスは王政を敷いており、空の城からの地上攻撃は圧倒的な破壊力を誇り、その攻撃力は『神の雷』『悪魔の咆哮』などとも表記されております」


「結構ヤバイ存在だったんだね~」


頭の後ろに腕を組んでのんびり感想を述べるアビィ君。

確かあのアニメもそんな設定だったような?

でもあまり詳しい背景知らんのだよな・・・あ、この異世界で地球のアニメ通りなわけないか。


「ですが、天空城ウラーノスは滅びた・・・そう文献には記載されているのです」


「滅びた?」


「ええ、はっきりと滅びたとの記載がありました。それも複数の文献でです」


真面目な顔をした宰相のルベルクがはっきりと断言する。


「と、すると・・・」


「誰もいない城がただ浮いているだけなのか、それとも誰かが復活させたのか・・・だね」


腕を組みながら思案していた俺にはっきりとそう告げるアビィ君。


「どちらにしてもロクでもないことになりそうだなぁ」


俺は大きくため息を吐いた。


「どうしてだ?」


イリーナがシンプルに小首をかしげて理由がわからないという顔をしている。


「ただ浮いているだけなら、今まで見つからなかった理由が解除されてしまったから見えるようになったという事だ。それだけでも厄介だ。いろんな機能が制御できない状態にある可能性もあるしね」


「ああ、なるほど・・・」


「誰かが復活させたのなら、さらに事態はロクでもないことになるな・・・。誰が何のために復活させたのかは知らんけど、天空城ウラーノスをわざわざ復活させるってことは、古い文献にあるように天空城ウラーノス自体を国家として復活させるつもりか、もしくはその神の雷とやらの能力・・・つまり兵器としての目的で復活させたという可能性が高いのだからね」


「まあ、ただ居住したいから復活させたって可能性は少ないよねぇ」


「俺ならそうしたいけどな。誰もアクセスできない空の城で思いっきりスローライフを送りたい」


「恐ろしい願望駄々洩れな発言だね」


アビィ君が苦笑しながら肩を竦める。


「その天空城ですが、王家は本家と分家に分かれていたそうで、文献では「トゥエール」の名と「トゥルース」の名がありました。発音が特殊ですので、今でもその名を名乗る者がいればその存在は目立つと思います」


「トゥエール・・・?」


宰相のルベルクが説明した名にシーナが反応した。


「シーナどうした?」


「・・・ああー! 思い出した! 私の名前!」


「シーナじゃなかったのか?」


「シーナは愛称なんだよね。実際の名前は長ったらしいから忘れてたんだけど、今思い出した!」


「本名?」


「うん、本名はエルシーナ・トゥエール・グラン・ウラーノス。失われし王国ウラーノスの正当な王家の血を引く姫・・・それが私!」


うん、ドン引き。

死ぬほど大事な自分の本名今まで忘れてるってありえなくね?


「な、なんと・・・」


宰相のルベルクが驚いている。

そりゃ驚くわな。なんてったって、失われし伝説の王国の血を引く存在が目に前にいるんだからな。


「ま、またお姫様・・・」


カッシーナが右手で目を覆いながら天井に顔をむける。

いや、シーナはそういう存在ではないから、安心してほしいのだが。


「その長い名前に失われた王国の継承者って意味があるのかなぁ?」

「そうでしょうね。その意味が分からなくてもその王国を示す独自の意味を持つ言葉もあるものですよ」


サリーナの疑問にアナスタシアが答える。

さすがアナスタシアは魔族の姫と呼ばれていただけはある。

きっとアナスタシアも魔族の中で偉い地位のお家の出だったのかな?

怖いからあんまり聞けないけど。

どうでもいいけど、勇者使いのサキュバスであるミーナも悪魔族の侯爵家?の出らしいしな。どうでもいいけど。大事じゃないけど二度言ってしまった。


「それで? 本名を思い出したお前さんは天空城を見つける手がかりも思い出してくれるとありがたいが?」


俺がシーナをじろっと睨むと、なにやらドヤ顔になって立ち上がりえらそうに腰に手を当てて薄い胸を張る。


「ふっふーん、女神様から私が正当な王国ウラーノスの正当な王家の末裔、王位継承者の証であるペンダントをもらったんだから!」


そう言って薄い胸の内側に手を突っ込んでゴソゴソしている。

もしかしてそのペンダントとやらを探しているのだろうか?


「・・・あれ? ない!」


「そりゃねーだろーよ」


「もしかしてアンタ盗んだのね!」


俺にビシッと指を突きつけるシーナ。


「ご主人しゃまにそんな態度は許されないでしゅ!」


リーナがぷんすこ怒りながらシーナにポカポカパンチを繰り出している。

ほぼ俺にはご褒美のような光景だが、俺がシーナのペンダントを盗んだわけではない。


「お前はバカか? お前は俺に会う前に奴隷に落とされていたんだろう?」


「あ」


「あ、じゃねーよ。奴隷のお前の持ち物なんか、前の奴隷商人か、もしくはお前を奴隷商人に売り飛ばした奴が盗んだに決まってるじゃないか」


「うー」


目に見えて落ち込むシーナを「そんなこともあるでしゅ」とリーナが慰めている。

幼女に慰められるその姿は恐ろしいほど情けない。


「じゃあ、天空城を探す能力はないのね。はい、戦力外ね」


「早くも戦力外通告!?」


俺の言葉に絶望するシーナだが、いきなりシーナの頭のてっぺんにアホ毛が立ったかと思うと、そのアホ毛が光りだす。


「な、なななに!?」


慌てだすシーナだが、光るアホ毛がくるくると回りだし、そしてある一方向を指して止まる。


「わ・・・わかったわ!」


「・・・何が?」


嫌な予感がするが、一応聞いてみる。


「この方向にラ〇ュタがいるのよ!」


「ラ〇ュタじゃねーけどな!」


とりあえずこれで探す手がかりがつかめるのか・・・。


「ふおおっ!? ライバルが現れたでしゅ~~~~~!!」


見ればリーナがアホ毛をピーンと逆立てていた。

いやリーナよ。そんなアホ娘をライバルとしない方がいいと思うぞ。


今後とも「まさスラ」応援よろしくお願いします!

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