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投稿350話達成記念 リーナの成長日記⓸ リーナ、ヤーベのために料理を作る(後編)

ブックマーク追加、感想、高い評価等誠にありがとうございます!

大変励みになります。思わず執筆が加速して投稿がこんな朝に!?

今後もコツコツ更新して参りますのでよろしくお願い致します。


「それで、何の料理を作ろっか?」


マカンはリーナに問いかける。


「ご主人しゃまを癒して差し上げるべく、リーナの愛情がた~っぷり詰まった料理を作りたいでしゅ!」


具体的な料理名は出てこないものの、どんな風に作りたいかイメージをリーナは熱く語った。


「オレは甘い甘~いデザートを作るぞ!」


「はいはい、貴女はわかったから」


鼻息荒くチェーダがデザートを作るとまくし立てるのをマカンが宥める。

マカンは台所にある食料棚の野菜を見つめながら、リーナに相応しい料理を考えた。


「じゃあ、リーナちゃんはポトフを作ろっか?」


「ポトフでしゅか! リーナも大しゅきでしゅ! リーナ特製のポトフを作ってご主人しゃまに食べてもらうでしゅ!」


ふんすっとかわいいゲンコツを握って気合を入れるリーナ。


「じゃあ、まずポトフの出汁を魔導鍋に入れて行こうね」


「了解なのでしゅ!」


マカンはリーナと一緒にポトフの出汁を鍋に入れると、具材の野菜を準備するため、食料棚に目を向ける。


「じゃあオレはホットケーキにつける生クリームを作るか」


そう言うとチェーダは来ているシャツを引き下げ、自分の胸を露出させる。


「ちょちょちょ、ちょっとチェーダ!?」


いきなり自分の乳を放り出したチェーダに慌てて首をグリンと向けるマカン。


「ヤーベには新鮮なオレのお乳でデザート作りたいしな!」


そう言ってチェーダは自分の胸を揉んで搾乳する。

プシャーッと結構な量のお乳がボウルにたまっていく。新鮮と言えばこれ以上新鮮なモノはないだろう。

チェーダは自分の生乳(なまちち)を放り出して生乳(せいにゅう)を絞っていた。


「いや、だからって台所でお乳放り出さないでよね!」


文句を言うマカンの横で、リーナが次の工程に移る。


「早速お野菜を切って鍋に入れていくでしゅ!」


「あ、そうね。まず野菜は・・・」


そう話すマカンの横でリーナは空中に野菜を放り投げる。


「えええ!? リーナちゃん何やってるの!?」


驚くマカンを無視してリーナが包丁を握る。


「とお――――っでしゅ!」


リーナ自身も気合裂ぱく!空中に飛ぶ!


スパパパパッ!


「危ない!危ないから!」


だが、ものの見事に野菜は裁断され、鍋にぽちゃぽちゃと落ちる。


「どんどんキルでしゅ!」


ブンブンと包丁を振り回し、野菜を宙に投げるリーナ。


「なんか発音が危険だよリーナちゃん!?」


涙目になって包丁を振り回すリーナを落ち着かせようとするマカン。


「てやっ!そやっ!とぉ―――――でしゅ!」


スパパパパパパパパパッ!


カソの村直送の奇跡の野菜を食べやすい大きさに正確無比に切り刻むリーナ。素晴らしい才能だが、振り回される包丁が危なくて近づけない。


「ヒィィィィィッ!」


あまりにリーナの振り回す包丁のスピードが速いため、残像が見え始めるマカン。恐怖が襲う。


「おりゃりゃりゃりゃ!」


ガシャガシャガシャガシャ!


「ええっ!?」


リーナの包丁さばき?に涙目になっていたマカンは派手な音に驚き、チェーダの方を振り返る。


ビチョビチョビチョ!


「ウプッ!」


いきなり生クリームが顔を襲った。


「な・・・なんなのよっ!?」


まるで顔面にパイを投げつけられたようなマカンは、生クリームを振り払いチェーダを睨みつけた。見れば、チェーダはボウルを左手に抱えて、右手に持った泡立て器を超高速回転していた。


「飛び散ってる! 飛び散ってるからぁ!」


マカンは涙目を通り越して涙をちょちょぎらせながら叫ぶ。


「とぉ―――――でしゅ!」


ブンブンブン!


「うわあ!」


生クリームをまき散らすチェーダから距離を取ろうと一歩下がったマカンの後頭部をものすごい風圧が襲う。リーナが振り回した包丁である。


「危なっ!?」


見れば魔導コンロに用意した魔導鍋に切り刻んだ野菜がぽちゃぽちゃと入っている。空中で切り刻んだのに、すべて鍋に入るという、ある意味リーナの奇跡の御業とも言える技が炸裂していた。


「何なのこのムダな才能・・・」


マカンは<地獄の台所(ヘルズキッチン)>と化した戦場の天井を遠い目で見つめた。





「美味しくな~れでしゅ・・・美味しくな~れでしゅ・・・」


ポトフの出汁を張った魔導鍋にリーナ自身が切り刻んだ野菜や肉を入れて煮込む。

魔導鍋は所謂圧力鍋に近いもので、通常よりも早く火が通る優れモノだ。

だが、圧力鍋と違うところは蓋をしなくても魔力で火の通りが早くなるところだ。

蓋がないため、ゆっくり中をかき混ぜることができる。


リーナは身長が低いため、かわいい踏み台を用意して鍋を覗き込むように長いお玉で鍋の中をぐるぐるとかき混ぜていた。

ヤーベがここに居たらきっとリーナにこうツッコむだろう。


「昔話に出てくる魔法使いのおばあさんが怪しい鍋をかき混ぜているんかい!」・・・と。


「そ、そうね・・・ヤーベ様のために美味しくなるように愛情を込めて鍋をかき混ぜるのはいいことよね・・・」


ぐったりと疲れたマカンは少し遠い目をしたままつぶやく。

とりあえず暴風のようなリーナの包丁作業が終わっただけでほっとしていた。命があってよかった・・・と。


「ううう~~~美味しそうでしゅ・・・」


くぅぅぅぅ。


鍋をゆっくりかき混ぜながら自分で作ったポトフの匂いに当てられたのか、リーナのお腹が可愛く鳴った。


「ふふふ、少し味見して・・・」


言いかけたマカンがビシッと固まる。


ポタポタポタ。


見ればリーナはよだれを垂らしていた・・・鍋に。


「美味しくな~れと願って作ったからきっととびっきり美味しいでしゅ・・・でもこれはご主人しゃまのために作ったポトフだから食べちゃダメでしゅ・・・」


そうつぶやきながら鍋をかき混ぜるリーナ。もはやよだれはポタポタからボタボタへと変化し、滝のような様相を呈していた。


「あ・・・あの・・・リーナちゃん?」


「美味しくな~れでしゅ・・・美味しくな~れでしゅ・・・ご主人しゃまのためでしゅ・・・食べちゃダメでしゅ・・・」


そうつぶやきながら一心不乱に鍋をかき混ぜるリーナ。

・・・だらだらとよだれを鍋に垂らしながら。


「ええ~と・・・」


もはやリーナに声をかけることをあきらめたマカンはチェーダの方へ振り返る。


「おりゃりゃりゃりゃ!」


生クリームやホットケーキの元を飛び散らせていたチェーダに厳しく指導した結果、飛び散ることはなくなったのだが・・・。


「!?」


チェーダはボウルの中身を飛び散らせないように、それでいて全力でかき回していたため、尋常ではない汗をかいていた。

ボウルの中身は飛び散っていないが・・・チェーダ自身が汗を飛び散らせ、それが大量にボウルに投入されていた。


「ちょ・・・ちょっとちょっとチェーダ! 汗が・・・」


「ふぬぬぬぬぬっ!」


ボウルを左わきに抱えながら、右手で泡立て器をぐるぐるかき回す。体全体を振り回すように作業しているため、こちらも近づけない。


「あああ・・・」


片や鍋によだれを大量投入・・・

片やボウルに汗を大量投入・・・


目の前に広がるカオスな状況にマカンの心にはもはや「あきらめ」にも似た境地が広がっていった。






「やあ、これは美味しそうなポトフにホットケーキだ! すごいじゃないか二人とも」


「にへへー」

「むふふー」


リーナとチェーダが並んでドヤ顔をキメている。鼻息は荒い。


夜帰ってきたヤーベは食卓でリーナの作ったポトフとチェーダが作ったホットケーキを目の前に並べられ、食べる前から嬉しそうに感想を述べた。


「(あああああ・・・)」


その後ろに絶望の表情を浮かべてマカンはプルプルと小動物のように震えていた。


「? マカン、どうしたの?」


横に来たパナメーラが訝しげにマカンに声をかける。


「・・・・・」


涙目になりながら無言でパナメーラを見つめるマカン。

これは、聞いてはダメなヤツだとパナメーラ即座に察して食卓に向き直った。


「ウン! うまいよ、このポトフ! ()()()()()がしっかり出てるね!」


「ホントでしゅか!? やったーでしゅ! ご主人しゃまのために頑張って作ってよかったでしゅ!」


満面の笑みを浮かべるヤーベに飛びあがって嬉しそうにするリーナ。


「(あああ・・・それは本当に野菜の甘みなのでしょうか・・・?)」


喜ぶ二人を見つめながらも、リーナがボタボタとよだれを鍋に垂らしていたのを見ていたマカンは気が気ではなかった。


「ヤ、ヤーベ! オレの作ったホットケーキも食べてみてくれよっ!」


チェーダの必死な形相に多少苦笑しながらヤーベはホットケーキに生クリームをつけて一口食べる。


「うん、コレもうまいよ! 甘いだけじゃなく、多少()()を感じるところが大人っぽくていいね!」


「やったー!」


嬉しそうにパクつくヤーベを見てチェーダがジャンプして万歳する。


「(あああ・・・その塩味は間違いなく()()のせいでは・・・?)」


「チェーダおねえしゃんもやったでしゅ!」

「リーナもやったね!」


嬉しそうに勝利の美酒を分かち合うがごとく喜ぶ二人を尻目に、マカンはプルプルと震えている自分の肩を抱いて縮こまる。


「お、リーナが作ったポトフなのか? 私も食べてみたいぞ」


食卓に来たイリーナがヤーベの食べているポトフを覗き込む。


「あら、ホットケーキですの? うらやましいですわね。わたくしも一口頂いても?」


そしてその後ろから来たフィレオンティーナがホットケーキに目をつける。


「ダメーなのでしゅ!」

「ダ、ダメなんだ!」


リーナとチェーダがわたわたと二人を止める。


「ん? ダメなのか?」

「あら、なぜですの?」


「これはご主人しゃまのために作ったものなのでしゅ。ご主人しゃま専用なのでしゅ」

「そ、そうなんだ。ヤーベ専用に作ったものなんだ」


「そ、そうか・・・」

「あら、残念ですわね」


イリーナとフィレオンティーナにあせあせわたわたと説明するリーナとチェーダ。


「(・・・あの二人・・・実はわかってやっているなんてことはないですよね・・・?)」


マカンは訝しげに二人を見つめながらも、ヤーベに決して説明できないその内容を墓場まで持っていくことを固く誓ったのだった。


・・・念のため、申しておきますが、コレは決して西園寺の性癖ではありません。ありませんからね!? 大事な事だから二度言っておきます。


よろしければブックマークや評価よろしくお願い致します。

大変励みになります(^0^) GOGO評価を頂くと加速装置が働きます!?

今後とも「まさスラ」応援よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] ありませんからね。ありませんからね。 つまり二重否定ですね。 わかります。
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