投稿350話達成記念 リーナの成長日記⓸ リーナ、ヤーベのために料理を作る(前編)
すっかり遅くなりましたが、投稿350話達成記念にて、リーナの成長日記⓸をお届けいたします。
短いですが、前後編に分けております。
達成記念の話を投稿する投稿すると投稿詐欺を繰り返しておりましたが、やっとここまでこぎつけました。
2月は異常に忙しく、なかなか書く時間が確保できず・・・(西園寺の書く書く詐欺はもう聞き飽きたというお叱りはそっと横に置いておきます)
3月に入って暖かくなってきたら、執筆も調子が上がるといいなと思っております。
(西園寺、去年3月は年度末で忙しいから書く時間がないと言っていただろうというツッコミはそっと横に置いておきます・・・)
何はともあれ、本編のオークション編は次の大きな話題へのワンステップにすぎません。
今後ともどうぞ「まさスラ」応援のほどよろしくお願いいたします。
「とお―――――でしゅ!」
ニンジンを宙に放り投げ、自身も空中に躍り出るように飛び上がるリーナ。
右手に握りしめた包丁を大きく振りかぶる。
スパパパパッ!
きらめく刃!
飛び散るニンジン!
「危ない! 危ないから!」
振り回される包丁を避けながらマカンが涙目になって叫ぶ。
「うりゃりゃりゃりゃりゃりゃ!!」
ガシャガシャガシャガシャ!
ビチョビチョビチョ!
左手にボウルを抱えて中身を全力でかき混ぜるチェーダ。
飛び散る生クリーム!
きらめく汗!
「飛び散ってる! 飛び散ってるから!」
飛んでくる生クリームを顔面に浴びながらマカンが叫ぶ!
木霊する慟哭!
ちょちょぎれる涙!
「誰か助けて―――――!!」
<地獄の台所>と化した魔窟でマカンのSOSが響いていた。
時を戻そう。
「ふみゅみゅみゅみゅ・・・」
ある日の朝。まだ眠い目をこすりながらもベッドから起き上がったのはリーナであった。
いつもの事だが、ヤーベのベッドにもぐりこんでヤーベの腰に張り付いて寝ていたのだが、朝起きてみるとヤーベの姿はベッドになかった。
「ふみゅみゅ・・・ご主人しゃまはお仕事に出かけてしまったでしゅか・・・」
残念そうにリーナは独り言ちる。
いつもは朝優しく起こしてくれるヤーベだったが、王城へ出かけなければならない時は朝早いことが多く、まだ寝ているリーナをそのまま寝かせたままにして出かけていた。
「いつもいつもご主人しゃまに優しくしてもらってばかりでは申し訳ないでしゅ! ここはひとつリーナがガンバッてご主人しゃまを癒して差し上げるでしゅ!」
ふんすっ!と力を入れるリーナ。
だが、まだヤーベのベッドの上から降りてこないリーナであった。
その日、ヤーベの館で料理を担当しているミノ娘のマカンは台所で昼ご飯の後片付けをしていた。
そこへステテテテーっとリーナが小走りにやってきて、マカンの前でシュタッと敬礼ポーズを決める。
「マカンおねーしゃん、お願いがあるのでしゅ!」
敬礼しながらニパッと輝く笑顔を見せるリーナのお願いを断れる猛者はこの屋敷にはほぼいない。
「なーに? おねーちゃんでできることかな?」
リーナの笑顔につられて、マカンもニコニコしながら少し身を屈め、リーナに顔を近づけて問いかける。
「お料理を教えて欲しいのでしゅ!」
「・・・料理?」
マカンはコテンと首を傾げて聞き返した。
「そうなのでしゅ! ご主人しゃまにリーナが手料理を振る舞って日頃の疲れを癒してもらうでしゅ!」
リーナが笑顔で説明する内容が腑に落ちるマカン。
いつも優しいヤーベにリーナは恩返しがしたいのだと思った。
「そうね、リーナちゃんがヤーベ様に手料理を作ってあげたら、ものすごく喜ぶと思うわよ?」
「ホントでしゅか!」
万歳して喜ぶリーナに、何の料理を教えようか考え始めたマカンに、さらなる来訪者が現れる。
「オ、オレも一緒にやるっ!」
なぜかぷるぷるしながら、両こぶしを握りしめ力を入れているミノ娘のチェーダだった。
「・・・なんで貴女も?」
「最近は兎人族のライーナにばかりかまって、ヤーベが全然相手をしてくれないんだ! これはオレの存在意義の危機だ! ここで甘い甘~いデザートを作ってヤーベにプレゼントして俺にもいっぱい甘えてもらうんだ!」
大きな目に涙をいっぱいに溜めてチェーダが宣言する。
「何言ってるの・・・」
マカンがため息を吐く。
確かに新しく屋敷に来た兎人族のライーナに事あるごとにモフモフさせてと声をかけるヤーベに奥さんズのみんながピリピリしていることは知っていた。
だが、ライーナに声をかけてはいるものの、ライーナと二人っきりで長時間過ごしているといったような事はなかった。
それだけに、新しく屋敷に来たライーナが緊張しないようにヤーベが気を使って声をかけているのだとマカンは考えていた。
「甘い!甘いぞマカン! まるで蜂蜜のような甘さだぞ! 油断すれば、俺たちミノ娘の立場など吹き飛んで、ウサ娘たちが屋敷の中を闊歩するに違いない!」
「そんな事ないって・・・」
そう答えながらも、マカンは頭の中で屋敷中をウサ娘たちが大量に歩き回る姿を想像してしまい、慌てて頭をプルプルと振る。
兎人族を警戒するチェーダをなだめようとマカンは言葉を続けようとするが、それよりも先にリーナが言葉を挟んだ。
「それはとってもキケンでしゅ! ご主人しゃまをモフモフの魔の手から守るためにも、おいしい料理を作ってご主人しゃまを喜ばせるでしゅ!」
「そうだ! その通りだ! がんばろうなリーナ!」
「はいなのでしゅ!」
なぜかがっちりと握手するリーナとチェーダに頭を痛めながらも、この二人になんの料理を教えようかマカンは頭を捻るのであった。
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