第297話 お姫様を落札しよう
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「おわっ!? 汚いなヤーベ!」
イリーナに怒られる。
何せ全力でお茶を吹いたからな。被害も広範囲だ。
「あらあら、ヤーベ様は子供みたいですね?」
そう言ってアナスタシアが俺の口にハンカチを当てて口周りをぬぐってくれる。
ありがたいが、お子ちゃま扱いは恥ずかしい。
「どうしたんだい? 何かあったかい?」
隣のブースにいた加藤君・・・いや、アビィ君がこちらに顔を出して訪ねてきた。
隣の席のカッシーナもどうしたのかと俺を見ている。
「いや・・・どうもあの自称お姫様、どうやら俺たちと同じ世界の人間らしいぞ」
「えっ、マジで!?」
「ああ・・・どうやら異世界転生者のようだな・・・」
「いや、犠牲者って・・・」
アビィが苦笑するが、俺は指をさす。
「だって、どう見ても犠牲者だろ? なにせ奴隷として売られてる」
「・・・そうだね」
あっさり納得するアビィ。
「で、どうするんだい?」
「うーん、どう見てもあの謎の神官たちに落札されて連れて行かれたらロクな運命が待っていない気がするな」
俺は腕組みをしながらソファに深く座りなおしてアビィに答えた。
「あなた、もしかしてあのお姫様を落札するおつもりですの?」
カッシーナの問いかけは、明らかに「またお姫様を増やそうとしているんですの!?」というお怒りが多分に含まれている気がするな。
目元を隠す仮面が元々吊り上がり気味なせいか、余計に怒っているように見える。
「ああ・・・、どうやら俺の同郷の人間のようなんだ」
「ええっ!? あなたの同郷って・・・どこですの?」
「えーとね・・・」
そういや説明してねーよ! 俺が異世界人だなんて!
「その話はまた今度ね・・・」
「ちょっと、いきなりごまかそうとしてるじゃないですか!」
ああ、カッシーナがぷんぷん丸に変身だ。
「ヤーベはあの森で生まれたんじゃなかったのか・・・」
イリーナが手を顎に当てて考えるようにつぶやく。
そりゃそうだろ。あんな何もない森でいきなり生まれてたまるか・・・実際スライムとして生まれましたけどね! オノレカミメガ!
そうこうしているうちにオークションは進んでいく。
「に・・・201万!」
「300万」
ありゃ、本気で落としに来てるな。あの神官たち、どういう意図を持っているのか・・・。
まさか、異世界転生者だって知っている・・・のか?
「さあ、300万がでました! 他にありませんか?」
司会者が会場内を見回す。
張り合っていた貴族らしき男は座り込んでしまった。
どうやらこれ以上張り合う人間はいないようだ。
「それでは、300万で・・・」
「1000万」
一気に会場がざわめく。
俺がいきなり立ち上がり、コールしたからだ。
神官たちが気色ばむのがわかる。
何せ決まったと思っただろうからな。
「い・・・1000万! 1000万が出ました! さあ、他に入札者はおられませんか?」
司会者の声に一拍の空白を置いて、神官たちがコールする。
「1100万」
「2000万」
さらにどよめくオークション会場内。
テキの1100万コールに即座にかぶせるようにレイズしてやった。はっはっは、臍でも砂でも噛むがいい。
「お・・・おいおい、君はそんなにお金を持っているのか?」
「さっきたくさん売れたからね」
アビィ君が心配してくれるが、ついさっき死ぬほどお金持ちになったからね。
まだ手元にないけど。
「に・・・2100万!」
「3000万」
会場内のどよめきが止まらない。
何せテキがコールするとノータイムで俺がレイズするからな。
急に跳ね上がった価格に多くの参加者がざわついている。
ついに神官たちがボックス席内でごちゃごちゃ暴れだした。
こちらは階層が上のVIP席だからな。
下の階層の謎の神官連中の動きがよくわかる。
他国からの参加者としては優遇されているようで、オークション舞台の前の方に陣取っていた。その位置関係を見るに、それなりの地位にいる連中のようだ。
何か持ってきた宝箱みたいのモノをひっくり返したり、袋を漁っている。
どうやら持ってきた金を根こそぎかき集めて計算しているようだな。
偉そうな神官と後ろに立っていた神官二名、そして警護についていたであろう騎士にも金を要求しているのか、騎士が懐をまさぐっている。
「3521万飛んで182!」
おーお、金貨1枚まで目いっぱいかき集めたようだな。
じゃあそろそろ引導を渡そうか。
「7000万」
「「「「「うおおおおおおおっ!?」」」」」
今日一番のどよめきと歓声が沸き起こる。
かき集めた金額の倍で入札すれば、さすがに手も足も出ないだろう。
「な・・・ななな・・・7000万! 7000万が出ました! ほ、他にどなたか入札される方はいらっしゃいませんか!?」
会場を見渡す司会者。打って変わって一気に会場が静かになる。
そして誰も入札の声を上げない。
「それではこれで落札です! 金貨7000万枚で落札っ!!」
そして再度起こる大きなどよめき。
謎の神官たちがこちらを見上げて睨んできた。おっと、あまり姿を見せないようにこっそり隠れなければ。
「ヤ、ヤ、ヤ・・・ヤーベ・・・」
横を見ればイリーナが俺を指さしながらプルプルしている。
反対を見ればカッシーナが口をあんぐり開けてこちらを見ていた。
「どうした? みんな」
「ど、ど、どうしたじゃないぞヤーベ! き、金貨7000万枚って!?」
「そうですわあなた! そんなにお姫様が欲しいのですか!? 私では不足ですか!?」
「御屋形様・・・一応我もお姫様的な血統ではあると思うのですが・・・」
イリーナは金額に驚いているようだが、カッシーナとロザリーナは何に驚いているんだ!? 俺が無類のお姫様フェチだなんて思ってないだろうな?
それにしても・・・金貨で7000万枚と言えば、日本円にして約7000億円の価値だぞ・・・。
あの異世界転生者にそれほどの価値があるとは思えんけどね。
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