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第296話 オークションに入札しよう

ブックマーク追加、評価、感想等誠にありがとうございます!

大変励みになります。

今後もコツコツ更新して参りますのでよろしくお願い致します!


オークションが開かれる会場の入り口に馬車を止める。


馬車の扉を開いた案内人から目の部分を隠す仮面を受け取る。


馬車を降りる前にこちらを御装着ください。


おおう、さながら仮面舞踏会のようだな。

目の部分だけ隠して意味があるのか?と思わなくもないが。


「ヤーベ様!ドキドキしますわね!」


仮面を受け取ってやたらテンションの高いアナスタシア。


「どうだ?似合うか?ヤーベ」


早々に装着してこちらを見るイリーナ。


「むうっ!視界が遮られるものは好まぬが・・・」


文句を言いながらも装着するロザリーナ。


三者三様だが、とりあえずスタッフの指示通りにして馬車を降りる。

よく見れば、俺たちの乗ってきた馬車のすぐ後ろに豪華な馬車が一台到着していた。


「あれ?この紋章・・・」


よく見ればこの豪華な馬車、見覚えがある。

何せ、王家の紋章が記されているし。


「ほほほほほっ!よろしくお願いしましてよ?」


そう言って口元を扇子で隠し、目元に仮面をつけた、明らかにカッシーナと声でわかる女性が下りてくる。


「カッシーナ、何してるの!」


「はっ、あなた!オークション会場では名前を呼ぶのはマナー違反ですわよ?」


これ見よがしにホホホと笑いながら口元を扇子で隠すカッシーナ。うぜえ。


「姫様?何をしているのですか?会場に入りましょう」


そう言って馬車から出てきたのは仮面をつけたレーゼンであった。


「レーゼン!お前が連れてきたのか!」


「これはこれはヤーベ殿。オークション会場で前を呼ぶのはマナー違反ですよ?」


ちっちっち、と口にしながら指を揺らす。うぜえ。


「あ、こちらのスライム伯爵を私と同じVIP席にご案内してくださいね!」


カッシーナよ!お前も思いっきり俺の家名を呼んどるやんけ!


「「ヤーベ様!先日はとってもおいしいホットケーキをありがとうございました!」」


可愛い声であいさつしてくれたのは同じく目元を仮面で隠したエマとメイのメイドコンビだ。そうか、カッシーナは自分の従者にメイドたちを連れて来たのか。


「それではこちらへどうぞ。係りの者がご案内いたします」


「ささ、行きますわよ!おほほっ!」


謎のキャラで俺の手を引っ張っていくカッシーナ。


「むむっ!実家の力を使うとは。カッシーナめ、何が王家の力などヤーベの前では無意味、だ。早々に活用しているではないか」


「うふふ、頭がいいんですね~」

「あらゆる手段を講じて御屋形様の近くにいる、見事な心意気!我も見習わねば」


ぷりぷりするイリーナに、なぜかカッシーナに感心するアナスタシアとロザリーナ。

とにもかくにも俺はオークション会場の中に案内されて入ることにした。





「おお、立派なソファーだな」


俺は参加者席に座る。

カッシーナと隣り合わせなのだが、なぜか参加者が二人専用のスーパーVIP席のようだ。

従者としてついてきた三人は後ろに立っている。

早々にカッシーナはソファーに沈むと係の者にドリンクを頼んでいる。


「カッ・・・貴殿はオークションの参加になれておられるのか?」


隣のソファーに体をのんびり沈めてくつろぎ始めたカッシーナに声をかける。


「プ――――クスクスッ!何ですか?カッ・・・貴殿って?」


俺の方を見て口元を扇子で隠しながら笑うカッシーナ。マジうぜえ。

カッシーナってこんな感じだったか?


「うふふ、このVIP席は他から少し離れていますから、名前で呼んでも大丈夫ですよ、あなた」


そう言って扇子を外して笑みを浮かべるカッシーナ。ああ、本物だったか。サキュバスのミーナ辺りが化けていた偽物かと一瞬疑ったぞ。偽物だったらどういう風にオシオキしてやろうかまで一瞬考えてしまった。


「そうなのか」


「ここは会場の上層階ですわ。一般参加の方は下の階層の席に座られています」


ふーん、そんなものなのか。


「そこの手すりの奥を覗けば下が見えますわよ?」


そう言われて俺は席を立ち、手すりに近づく。


「ああ、そういうことね」


この会場はまるでコンサートホールだな。

下には多くの席が設置されており、人々が座り始めていた。

そしてこの場所は二階アリーナ席みたいなものか?

とりあえず俺はソファーに体を沈め、オークションの開始を待つことにした。




「紳士淑女の皆様、大変お待たせいたしました。これよりコークションを開催いたします!」


厳かな音楽とともに、重厚な声のアナウンスが始まった。


「ドキドキしますわね、ヤーベ様!」


アナスタシアが後ろから首に抱き着いてくる。


「あ、アナスタシアずるいぞ!私も抱き着くぞ!」


そう言って俺の左腕に絡まってくるイリーナ。


「ぐっ、我は御屋形様の護衛がある・・・」


何か葛藤しているロザリーナ。


「あー!何をしているのですか!?」


カッシーナがこちらに気づいて声を上げた。

立ち上がってこちらに飛びかかってこようとしたカッシーナの首根っこをレーゼンがひっつかんだ。


「ぐえっ!?」


おおよそ元王女とは思えないような声を上げるカッシーナ。


「カッシーナ様、もうオークションが始まりますのでご着席願います」


ドスンと席に戻されるカッシーナ。レーゼン強し。

オークションが始まるが、目を回したままのカッシーナは大丈夫だろうか?




次々紹介されていく出品物。

最初はどうやら小物が多いらしく、落札額も大したものではない。


「次の商品は新進気鋭の作家の新作になります」


「あら、新作の物語ですの?できれば親娘ドーンがいいですわ!」


「いや、それは・・・」


「ヤーベよ!貴様そのような性癖に目覚めたのか!?」


俺がアナスタシアの言動にゲンナリしたところへイリーナがツッコむ。

一息落ち着こうとティーカップを口にもっていく。


「作品名は

『百八男ってそれはないでしょう!』

『魔王様カムバック!』

『賢者の甥っ子』

の三作です」


「ブフッ!!」


「うおわっ!?」


俺は思いっきりイリーナの顔にお茶を吹いた。


「な、なにをするか!」


あ、イリーナがぷんすか怒っている。そりゃそうか。


「スタートは金貨10枚からです! ではスタート!」



シーン



「え~、金貨10枚からですが、入札はありませんか?」



シーン



「なんでぇ!? なんで誰も入札しないんだぁ!? ボクの力作を!」


ズドドッ!


俺はソファからずり落ちる。


「おまー何してんの!?」


覗いた隣のVIP席には、来賓として招かれているアビィ・フォン・スゲート伯爵が。

というか、加藤君が。


「おおっ!矢部君!というか、ヤーベ卿! みんなにはボクの力作が伝わらないんだ!よ!」


「だからパクリで儲けようとするなっつーの!」


「はい、こちらの商品は入札無しということで」


「ああ!」


「ああ!じゃねーよ!」


そして次々と商品が登場しては落札されていく。


「次はアローベ商会の大人気商品、蜂蜜の出品です。これは店頭では並んだ瞬間に売り切れるという幻の商品ですが、当オークションで落札すれば確実に手に入ります! さあ金貨10枚から」


「15枚!」

「20枚!」

「30枚」

「50枚」

「100枚!」


いやいや、金貨25枚の蜂蜜だけど、メチャメチャ価格上がってるよ!

よく見ればドエリャだなありゃ。仮面付けてても白いシェフ帽子かぶってたら意味ないけど。


「500枚!」


ブッ!


誰だよ!?蜂蜜に金貨500枚!?


「ほっほ!やっと蜂蜜が手に入るわい!」


てか、あの声ワーレンハイド国王かい!


俺が頭を抱えていると、ドラゴンの素材が死ぬほど高い値段で落札されていく。

設定の倍なんてもんじゃない。落札の何倍だよ、このままいくと、白金貨でどれだけもらうことになるやら。


謎の物語本も、謎の鎧も、怪しい宝石も古そうな家具も買わされたが、大した額ではない。

こんなもので奥さんズの機嫌がよくなるなら、本当に安いものだ。


「うふふ~どんな本かしら? 楽しみ~」

「あの鎧、我の鎧を上回る防御力があればいいが・・・」

「あの家具、ルシーナへの土産にちょうどいいだろう。サイドチェストが欲しいって言っていたからな」


俺はソファーに体を沈め、ゆっくりとお茶を飲んだ。


「さあ、最後の出品になります。こちらの出品は奴隷です。伝説と謳われた亡国の血を引く姫君です。姫君を手にできるチャンスはこのオークションだけ! 黒髪黒目の珍しい美姫を手に入れるのは誰か!オークションスタートです!スタートは金貨1万枚からです! ではスタート!」


「1万5千」

「2万」

「3万!」


おお、日本円にして3億円?

そんなにお金払ってまでお姫様が欲しいですかね~。

俺の奥さんズにお姫様が混じっている件については置いておく。置いておくったら置いておく。大事な事だから二度・・・いや、三度も言ってしまった。


「100万!」


おおうっ!?いきなり?

どんなヤツらだよ。


「ん?」


仮面かぶってるけど、明らかに神官ローブだぞ。

しかも見たことない紋章だな。


「ひゃ・・・101万!」

「200万」


おお、ありゃ完全に譲る気ないな。本気で落としにかかってる。


「んん?」


黒髪黒目の姫だが、今は檻の中に閉じ込められて壇上に連れてこられている。

椅子に座らせられているようだが、手には手錠、足には鉄球が溜められている。

どんなけ脱走疑われているのよ?


「んんん?」


よく見れば泣いている?

こういう時は・・・


「<スライム的地獄耳(スライヤー)>」


なんて言ってるんだ?


『ウソよ・・・ウソの世界よ・・・だって女神様は言ったもん・・・失われた伝説の国の血を引くお姫様に転生させてくれるって・・・世界最強の力が手に入るよって言ってたもん・・・世界一お金持ちにもなれるよ~って言ってたもん・・・』


ブフ―――――ッ!!


俺は飲んだお茶を全力で吹いた。


今後とも「まさスラ」応援よろしくお願いします!

よろしければブックマークや評価よろしくお願い致します。

大変励みになります(^0^)

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― 新着の感想 ―
[気になる点] オークションで落札すれが確実に手に入ります!  ~が〜入ります  ってことは、『オークションで落札すれ』が主語  ってことですか? [一言] 楽しみにしてたのにぃ(இ﹏இ`。)ウゥ…
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