第284話 宰相との決着をつけよう
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いやー、見事に挟撃作戦が決まったね!
もちろん、フィレオンティーナの幻術魔法で王都ログリアの城壁に見せかけた幻術の裏にはガーデンバール王国の兵士が隠れていたわけだけど。
敵が<索敵魔法>を使ってきたらもっと魔法隠蔽対策が必要だったけど、まあ、完全に油断していたレオナルドが相手だしな。楽なもんだ。
ジャーンジャーンと銅鑼を鳴らしながら襲い掛かってもらった。
異世界では銅鑼を鳴らしながら攻め込むなんて襲撃を知らせるようなもので、使ったことはないらしいが、完全に油断しているであろうレオナルドたちラードスリブ王国兵を蹴散らすために、あえて銅鑼を鳴らし、ありえない奇襲が現実であることを刷り込ませるためだ。
・・・俺が三国志の諸葛亮孔明ファンで、常に神出鬼没の兵がジャーンジャーンと孔明の策で奇襲を決めるのが大好きだから・・・というわけではない、うん。ないはずだ。
「伯爵様・・・いえ、将軍! 敵総大将を捕らえました!」
「しょ・・・将軍!? 将軍だと!!」
地面に押さえつけられているレオナルドが激昂する。
「き・・・貴様!バルバロイ王国の伯爵の身でありながら、ガーデンバール王国で将軍の地位を受けたか!それなら、お前はバルバロイ王国に二心ありということになるなぁ!」
ニヤリと顔を歪めるレオナルド。
「今なら見逃してやるぞ! この俺を離せ! さもなくばお前はバルバロイ王国の反逆者だ!」
うーん、恐るべきご都合論理。まあ、どうでもいいけど。
「その心配には及びますまい」
そう答えたのは俺の後ろにやってきたガーデンバール王国のエドガー内務卿だ。
「ここにあるのは正真正銘、バルバロイ王国ワーレンハイド国王様よりの書状です。これにはヤーベ・フォン・スライム伯爵を総大将としたガーデンバール王国救援軍の派遣決定と、伯爵を将軍へ格上げする旨の内容が書かれているのですよ。国賓としてガーデンバール王国へ招かれたスライム伯爵ですが、この書状が届いた時点で彼はバルバロイ王国救援軍の総大将たるヤーベ将軍となられたわけですな」
エドガー内務卿が懐から見せた書状。それは合従軍が報告された時に俺がバルバロイ王国のワーレンハイド国王へ報告の手紙を届けたため、その内容を見て返答をヒヨコに渡してくれたものだ。転移で手紙を送ってもよかったのだが、日数的にあまりにも早すぎるといろんなことに疑惑を招きかねないからな。
そしてヒヨコに遅れること数日。
バルバロイ王国より援軍として五千の兵を率いてきたのはタルバリ伯爵本人だった。
奥さんのシスティーナさんまで帯同させてきたのは驚いたが、タルバリ伯爵は久々の実戦だと張り切っていた。
ガーデンバール王国王都ログリアの兵が二万五千、援軍五千と合わせて総勢三万の軍勢を二つに分けて奇襲に当てたわけだ。
「と、いうわけで黒衣の宰相殿。そなたの心配は全くの無用。ヤーベ・フォン・スライム伯爵はれっきとしたバルバロイ王国の救援軍総大将の任につかれている人物。何の心配もなく断頭台に向かわれるとよいでしょう」
人のよさそうなエドガー内務卿だが、言ってることはえげつないな。
まあ、自国を攻められてニコニコしていられる奴は裏切り者の内通者くらいなものか。
少なくともガーデンバール王国にそんなヤツがいなくてよかった。
「なっ・・・なんだと!?」
「いや、普通にお前から攻めてきて、一度許されたのにそれを裏切って再度攻めて来たんだぞ? 首を落とす以外の選択肢はないわな」
俺の言葉に驚愕の表情を浮かべるレオナルド。なんだろう、こいつ。自分は死なない英雄だとでも勘違いしていたのか?
「ヤーベ大将軍。敵軍を蹴散らしましたので、戦闘の終了をご報告いたします」
馬で駆けつけてきたのはガーデンバール王国の軍務卿を務めるガレン将軍だった。
「ガレン将軍、お疲れさまでした。後、俺はとりあえず将軍の地位にいますが大将軍ではないですよ?」
「いやいや、これほどの見事な兵法を見せられては、大将軍とお呼びしないわけにはいきますまい」
快活に笑うガレン将軍。いや、将軍としてはずっと俺よりも長い間その地位にいる先輩だろうに。
「よう、ヤーベ。まったくお前って奴はたいした奴だよ」
そう言って同じく馬を降りてこちらへ向かってきたのはタルバリ伯爵だった。
「おかげさまでわが方の兵にはほとんど損害はありません」
「ウチはゼロだったな、一万五千の相手に完全完勝だよ、ヤーベ殿」
ガレン将軍とタルバリ伯爵が自軍の損害を報告する。
「・・・ほとんど、ね」
俺は誰にも聞こえないほど小さな声でつぶやいた。
「で、コイツが件の宰相サマかい? 迷惑な話だな」
タルバリ伯爵がため息をつきながらつぶやく。
「ばかな・・・、はっ!? 勇者は!勇者白長洲はどうしたんだ!」
「ああ、アイツなら・・・」
俺は南の方を指さす。
「オラオラオラァァァァァァッ!! コンチクショ―――――!!」
鍬を振り回して大地を耕しまくる勇者白長洲の姿があった。
「な・・・? どういうことだ・・・?」
「ホラホラホラァ、耕すのやめると大変なことになるよ~」
耕しまくる白長洲の後ろをふよふよと浮きながらムチをもって追い掛け回すミーナ。
今のミーナは「勇者使い」という珍しい職業(?)についている。
「な、な、な・・・」
「まあ、そんなわけで人類のためにならない勇者はこちらで使役(?)して、食料不足解消のために働いてもらっている。うん、平和活用だな」
俺はドヤァッと腰に手を当てて説明してやる。
「こ・・・こんなことが・・・」
呆然とするレオナルド。
「まあ、今回の戦争はお前がこのガーデンバール王国と同盟関係にあるバルバロイ王国の両国に戦争を仕掛けたという事になる」
「!!」
「さらにお前は一度俺の停戦協議を受けて命を拾っておきながら裏切り、再度戦争を仕掛けてきた」
「それは・・・!」
何か言いたそうにするレオナルドを俺は遮り話を続ける。
「もはや、ここにおいて停戦協議は受け入れられないと判断した。よって貴様の首を落とし、戦争を終結させ、ラードスリブ王国へ戦争責任を問うことにする」
「な!? なんだとっ!?」
俺の断定的な言い分に信じられないという表情を浮かべるレオナルド。
「俺を殺すのか!? 身代金がたんまり払われるんだぞ! 俺を殺せば金は入らんぞ!それどころかラードスリブ王国から怒りを買って報復戦争が始まるぞ!」
一気にまくし立ててニヤつくレオナルド。
バカだな、もはやそういう次元ではないことに気づいていないのか。
「報復戦争? 何を言っているのか」
俺の冷ややかな言葉にレオナルドがぽかんとした表情を浮かべる。
「貴様の首を落とし、その首をもって一万五千の兵を引いてラードスリブ王国を急襲する。宰相レオナルドに攻められたので、その責任を問うとな。ラードスリブ王の判断次第だが、数日をもってラードスリブ王国はこの世界から消えるだろう」
「ば・・・ばかな・・・」
俺の言葉が信じられないのだろう。
「<鏡よ、鏡>。己の行いは自分に返ってくる。貴様が言ったことだ。戦争は甘いものではないのだろう?殺す覚悟がないものが戦場に立つべきではないのだろう?自分で言った言葉だ。自分の体で味わうといい」
俺は背中から黒い大剣を抜き放つ。
「まっ!待てっ!俺を殺すと戦争が終わらんぞ!俺ならラードスリブ王国との間に立ってうまく話をまとめられる!」
「・・・何言ってるんだ?コイツは」
「宰相の自分が軍を率いて攻めて来たというのに」
タルバリ伯爵とガレン将軍がレオナルドの言い分に首をかしげる。
思うに、この男は自分の多少回る頭を頼りにのし上がってきたんだろう。それも強いものに取り入る形で。だから、その全てが失われた時、ゼロから始めるその第一歩は、まさしく「寄生」からだったのだろう。
それにしても、俺たちに取り入ろうとしてくるとは、相当パニックになっているんだろうな。
三国志とかだと、敵の軍師を我が配下に!とかあるけど、まあ、コイツはないわな。人として最低だし。まったく信用ないし。
「お前の首が落ちることは確定事項だ。それでなくてはラードスリブ王へ責任を問えないのでな。まあ、ラードスリブ王の言い分など想像に難くない。どうせ、すべて宰相のレオナルドが勝手にやったことだと言うに決まっているさ。すべてお前の責任として押し付けて、だからラードスリブ王国は悪くないよ、だから手打ちしてね・・・とな」
「バカな!そんなことが!」
「というか、独断専行で判断しているのはほぼ真実じゃないのか? 王がお前をかばうとは思えんな」
激昂するレオナルドに俺は言い放つ。
「ガーデンバール王に合わせてくれ!俺の言い分を説明させろっ!」
なおも食い下がるレオナルド。
「断る。すでにガーデンバール王からは戦争に関する全ての判断を任せると全権を委任されている」
「なッ!?」
「さあ、俺の覚悟を見せようじゃないか。人を殺す覚悟ってヤツをな」
「まッ!ま・・・」
ズドン!
俺は地面に押さえつけられてジタバタしているレオナルドの首めがけて大剣を振り下ろした。
「お見事でございます」
「お疲れ、ヤーベ殿」
ガレン将軍とタルバリ伯爵が一仕事終えた俺に声をかけてくれる。
俺は大剣についた血を布で拭うと、レオナルドの躯に向けて捨てた。
「首は塩漬けにしておいてくれ。ラードスリブ王への手紙は準備してある。明日朝いちばんで出立しよう」
俺はガレン将軍とタルバリ伯爵に向けて指示を出した。
さあ、こんな諍いは全てさっぱりキレイに片づけてやる。
俺はひそかに力を込めた。
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他にも投稿しています。(更新止まり気味ですが・・・(ー_ー;))
ドラゴンリバース 竜・王・転・生
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魔王様にテンセイ!
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