第269話 一夜城をぶっ建ててみよう
『秋のまさスラ祭り』プラスワン!お待たせ致しました。
実は、リーナたんの閑話の予定でしたが、あまりに本編の話が進んでいないので、キリのいいところまで本編を進める事にしました。ご了承下さい。
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「そんなわけで、ちょっと3万2千ほどの軍勢を相手にしてくるから」
「いや、どんなわけでそんなことに!?」
客室に戻って奥さんズの面々に一言説明してからポルポタの丘へ向かうかと思ったのだが、イリーナに顎が外れるほど驚かれた。
「ヤーベ様、一体・・・?」
「ヤーベさん、ヤーベ無双する気だね?」
首を傾げるルシーナとニコニコ笑っているサリーナ。いや、ヤーベ無双って何?
「やはり手を貸すことにしたのですね・・・」
少し心配そうにカッシーナが俺を見つめる。
「そりゃね、君のお姉さんが嫁いだ国だからね。それにほっておくと、とてつもない犠牲が出そうだからね・・・」
俺は少し遠い目をしながら説明した。
「旦那様・・・」
不安そうにフィレオンティーナが俺を見つめる。
ちなみにリーナはソファですでに爆睡している。
あ、何故か留守番を命じていた神獣のジョージとジンベーがリーナの上に乗っかって一緒に寝ている。あいつら、ついて来ていたんだな。全然気づかなかったぞ。
「魔獣と違い、敵軍は人間たちです。戦争は多くの人間の命を奪う事になります。その・・・旦那様はいわゆる人の命を奪うという行為は慣れていないものと・・・」
おおう、フィレオンティーナが両手を胸の前で組んで心配そうに俺の顔を覗き込む。
美人お姉さん風のフィレオンティーナがこんな表情を見せるとは。
「そうだね、間違いなく人殺しは苦手だし、やりたくないよ、出来ればね」
そう言って肩を竦める。
「ではわたくしもお連れ下さい。現役の冒険者時代は盗賊退治も数多く経験しております」
いや、ものすごく綺麗な笑顔で話してますけど、それ盗賊相当ぶっ殺してますってコトですよね?いや、仕事だし悪党退治だから別に気にしてませんけど。
「いや、君たちはこの城を守っていてもらいたい。連絡係にヒヨコたちを連れてはいくけど、ローガたちもこの城に待機してもらう予定だ」
俺の説明に奥さんズが驚く。
「それって、ヤーベ一人で戦うって事か!?」
「それほど私たちが信用できませんか!」
イリーナとルシーナが気色ばむ。いやいや、そう言う事じゃないんだけどね。
「そうじゃないんだ。今回は俺の能力でうまくいけば誰も殺すことなく無力化できると思っている。そのために俺の能力を広大な面積で使用するから、みんなには近くにいてもらえないんだ。そのために待っていてもらいたいんだ」
俺の説明に全面的に納得しているわけではないだろうが、とりあえず待っていてくれると言質を取ってから城を後にした。
<高速飛翔>で移動する事数時間。俺はこの戦争の肝になる戦場、ポルポタの丘へとやって来た。
実のところ、この国に来ることになった時からヒヨコ達に先行して情報を集めてもらうため、送り込んでいた。そのため、合従軍の動向自体は把握していたのだ。
そして、現在その後詰にラードスリブ王国が約1万5千の軍勢を出立させたことも把握しているしな。
先ほどまでバドル三国の斥候兵がこのポルポタの丘近くまでやって来ていた。
念のため、ガーデンバール王国の兵がここまでやって来ていないか偵察に来たのだろう。
俺はその偵察に来た斥候兵を全て見逃す。
このポルポタの丘が安全であることを確認して情報として持ち帰ってもらわないとな。
バドル三国の軍勢は明日の朝にはこのポルポタの丘へ到着するだろう。
今はすでに夕暮れ、日が落ちた頃。
暗くなったら派手に準備しよう。
「ベルヒアねーさん、ドーンと力借りていい?」
「もちろん、私の全てはア・ナ・タのものよ」
そう言って俺の後ろに顕現したかと思うと、首に抱きついてくる土の精霊ベルヒアねーさん。
「<土壁建造>」
ドガガガガガガッ!
ポルポタの丘の頂上を中心にぐるりと囲むように城壁を築き上げる。
そして、正面、左右の合計3か所に入口を設ける。
「あら~、ちゃんと穴もあけてあげるのね?」
「そりゃ、ここから入ってきてもらわないとね」
そう言うと、俺はポルポタの丘の頂上に立つ。
「魔力全開!」
ムリムリムリ!
久々に全開でスライムボディを増殖させていく。
あっという間に丘の頂上を占拠するスライムボディ。
大きくなった俺は、細部を細かく調整して行く。まずは大まかなイメージ。そして、部分ごとに細部まで作り込んで行く。自分のスライム細胞で形作るんだから、難しいことは無いが、圧倒的に今までの中で最大級の形を作っているので、時間が結構かかったな。
「あっと、これは忘れない様に・・・」
そう言って出来上がったボディの上部に表示する。
「風雲!ヤーベ城」
そう、俺様はスライムボディを全開に増殖させて、城になった。
正しく一夜城だな。
「シルフィー、ちょっと砂嵐で俺のボディ汚してくれない?」
「ジャジャーン。お兄様に呼ばれたの久しぶり~、任せて~」
そう言って風の精霊シルフィーが砂を巻き上げて俺のボディを砂で汚す。
「これで後は敵軍を待つだけだ」
「私たちの出番は~」
「そうだぞ、ヤーベ。仲間外れは寂しいじゃないか」
水の精霊ウィンティアと炎の精霊フレイアも顕現する。
「じゃあみんなで焼肉でもするか。いいブラックリングカーウの肉があるんだよ」
「やった!」
「食べたいです~」
「あらあら、じゃあいい土で石焼きできるように準備しなくっちゃ」
「炙るのは任せろ!」
「ちょっとちょっと、ボクたちも混ぜてよね!」
「・・・仲間外れは寂しい」
光の精霊ライティールと闇の精霊ダータレラまでも顕現してきた。
「じゃあ敵軍が城・・・というか、俺のボディに突入してくるまで焼肉大会を始めまーす」
「「「「「「わーい!」」」」」」
俺達は明日の朝から戦場となるであろうポルポタの丘の頂上で優雅に焼き肉を楽しむことにした。
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